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【特集】大相場から1年、始まった再上昇「自動運転関連」本命と穴株 <株探トップ特集>

アイサンテク <日足> 「株探」多機能チャートより

―ZMPフォーラム登場企業が先行上昇、出遅れ関連株は仕込み場か―

 東京株式市場は、相変わらず市場エネルギーに盛り上がりを欠いているとはいえ、徐々に日経平均株価は“二進一退”の様相を強め、これまで何度も跳ね返されてきた1万7000円大台替えチャレンジの切符を再び手にしている。米早期利上げ観測が強まるなか、日米金利差拡大の思惑が足かせとなっていた円高懸念を後退させ、マーケットのセンチメント改善をもたらせている。

 そうしたなか、株価の出遅れている銘柄やセクターにリターンリバーサル効果を狙った動きが一段と強まる可能性が出てきた。

●ZMPフォーラム境に昨年秋の大相場を想起

 有力視されるのは、国策に乗るテーマ買い対象として、昨年秋口から年末にかけて大相場を形成した「自動運転関連銘柄」。関連企業の連携の動きを絡め再び脚光を浴びそうな気配だ。株価的にも休養十分な銘柄が多く、この秋を入り口に昨年の上昇ロード再現への期待が高まりそうだ。

 この日(31日)、自動運転技術開発の草分けで大型IPO候補としても注目されるZMP <7316> が主催する「ZMPフォーラム2016」が開催された。9月2日まで3日間の日程で六本木において新製品の発表や技術紹介などが行われる予定にあり、同フォーラムでは、ルネサスエレクトロニクス <6723> を皮切りにアイサンテクノロジー <4667> [JQ]、ザインエレクトロニクス <6769> [JQ]、ディー・エヌ・エー <2432> 、AWSホールディングス <3937> [東証M]など自動運転分野に経営資源を注ぎ込む企業が相次いで講演を予定している。例えばアイサンテクノロジーは、同社のお家芸である高精度3次元地図を利用した一般道における自動運転の実証実験をテーマとした講演を行う。

●トヨタの上昇波動転換も追い風材料に

 東京市場ではこれに呼応するかたちで、ルネサスエレクトロニクスが上げ足を強め25日移動平均線を上回ってきたほか、ディー・エヌ・エーが3連騰で3000円大台を回復し年初来高値を更新。さらにAWSHDは一時1350円高と急騰、8000円台半ばまで上値を伸ばし7月7日以来の高値圏に浮上するなど、同フォーラムの協賛企業が存在感を一気に高めている。このほかモルフォ <3653> [東証M]、ザインエレクトロニクス、クラリオン <6796> なども上値追いが鮮明だ。

 また、自動運転分野での研究開発でしのぎを削る大手自動車メーカーも円安を追い風に上昇。自動車株の強調展開が同テーマの隠れた牽引役を担うとの見方もある。この日、東証1部売買代金トップのトヨタ自動車 <7203> は13週・26週移動平均線のゴールデンクロスに加え、長期波動の分水嶺である200日移動平均線との下方カイ離も解消し戻り足本番。8月24日に自動運転システムを搭載した新型セレナが発売された日産自動車 <7201> やホンダ <7267> なども買い優勢の展開となった。

●先鋭化するグローバル開発競争

 自動運転技術を巡る世界の開発競争は一段と先鋭化している。直近、米国ではフォード・モーターが2021年までに運転者の操作を必要としない完全自動運転化された「レベル4」車の量産を開始することを発表して話題となった。異業態の巨人、米グーグルが無人配送による事故回避やコスト低減などを念頭に置き「レベル4」に照準を合わせた研究開発を進捗させていることで、これに刺激されるかたちでフォードやGM、独BMWなどの動きも活発化している。フォードはシリコンバレーを本拠とするハイテク企業への資本投下を加速させるとともに研究開発チームを強化、2021年には米ウーバーテクノロジーズなどのライドシェア事業者に運転手不要の車を提供する計画を打ち出している。

 日本ではアベノミクスが掲げる「インダストリー4.0(第4次産業革命)」の目玉として自動運転分野が注目され、政府は東京オリンピック開催年の2020年をひとつの区切りとして自動運転車の普及促進に向け積極的に取り組む姿勢を明示している。そのマーケット規模も巨大だ。オリンピック開催後10年を経た30年には20兆円前後の巨大市場創出も試算されている。これまで日本は、欧米と比較して官民の連携が弱く、同分野の技術開発では後塵を拝していたが、今後は国を挙げて巻き返しを図る方向にある。

●日進月歩のAIとの融合で相乗効果も

 市場関係者も自動運転関連分野の将来性に対し肯定的な見方が多い。国内準大手証券のストラテジストは「法制面の問題やインフラ(環境整備)で越えなければならないハードルもあるが、技術面では人工知能(AI)との融合で自動運転分野の可能性は非常に大きいといってよい。AI分野も日進月歩であり、相乗効果が見込まれるからだ。株式市場でも“現実買い”のステージは思った以上に早くやってくる」と指摘する。

 政府は自動運転車の安全基準案やサイバー攻撃対策について、9月24~25日に長野県軽井沢町で開かれるG7交通相会合で議題とする方針が伝わっている。自動運転実用化に向けた布石は現在進行形で着々と進んでおり、足もと値動きに乏しい関連銘柄は、ひと足先に今が仕込みの好機といえるかもしれない。

●大化け期待の本命・穴株盛り沢山

 関連銘柄はZMPフォーラム関連として前述した銘柄以外にも数多く存在する。新たな展開材料次第で、株価の居どころを大きく変える銘柄が続出するケースも考えられる。

 3次元マップ関連ではアイサンテクノロジーのほか、ゼンリン <9474> 、パイオニア <6773> 、クラリオン、JVCケンウッド <6632> などをマーク。また、車載用半導体ではルネサスエレクトロニクス、ザインエレクトロニクスに市場の関心が高い。センサーやカメラ部門ではソニー <6758> 、パナソニック <6752> を軸に日本セラミック <6929> や浜松ホトニクス <6965> などに穴株妙味がある。自動走行ソフトの検査サービスではベリサーブ <3724> の実力が高く評価されている。このほか製造開発ソフトを手掛けるアートスパークホールディングス <3663> [東証2]も注目したい。

 さらに自動運転車は、前出の準大手証券ストラテジストが指摘したように、AIとの融合でいま市場が期待している以上の可能性を内包していることも考えられる。同分野を深耕するテクノスジャパン <3666> 、JIG-SAW <3914> [東証M]などは改めて市場の関心を集めそうだ。

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