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【特集】プラチナは景気回復期待で堅調、3年連続の供給不足見通しも支援 <コモディティ特集>

MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行
 プラチナ(白金)の現物相場は11月、欧州諸国が新型コロナウイルスの感染再拡大でロックダウン(都市封鎖)を再導入したことに上値を抑えられた。しかし、製薬各社がワクチンの臨床試験(治験)で良好な結果を発表すると、景気回復期待の高まりを受けてレンジを上放れ、8月10日以来の高値1002.58ドルをつけた。

 米ファイザーや米モデルナがワクチンの緊急使用を米食品医薬品局(FDA)に申請しており、FDAの諮問委員会は10日の会合でファイザーのワクチンに関する検討を行う。英国では医薬品・医療製品規制庁が米ファイザーと独ビオンテックが共同開発したワクチンを今週、承認する見通しであり、早ければ7日に接種が始まる。また、米ファイザーと米モデルナは1日、ワクチンの条件付き緊急使用許可を欧州連合(EU)に申請した。欧州医薬品庁(EMA)は米ファイザーのワクチンは29日、米モデルナのワクチンは1月12日までに審査が完了する見通しとしており、その後に欧州委員会が最終的な判断を下す。

 感染拡大が続いていることはプラチナの上値を抑える要因だが、ワクチン承認で中長期の景気見通しが改善すれば一段高となる可能性がある。1000ドル前後の抵抗帯を突破すると年初の高値1040.89ドルを目指す可能性が出てくる。

●プラチナは3年連続の供給不足見通し

 ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)の四半期報告「プラチナ・クォータリー2020年第3四半期」によると、第3四半期の供給と需要は第2四半期と比べて大幅に改善したが、供給は引き続き弱く、投資需要が堅調な状況が続き、大幅な供給不足となった。第3四半期は22.1トン、2020年は37.4トンの供給不足。2019年から2021年は3年連続の供給不足となる見通しだが、2020年と2021年の見通しは新型コロナウイルスの影響に引き続き左右されるとしている。

 供給伸び悩みの一因は、南アフリカのプラチナ鉱山会社アングロ・アメリカン・プラチナム(アンプラッツ)が、11月5日に精製工場Bの閉鎖を受けて今年の生産・販売見通しを96~103トンから78トンに下方修正したことにある。同社の精製工場Aは2月に爆発事故を起こし、工場Bを稼働させたが、不安定な状況となっていた。プラチナ鉱山会社はプラチナ価格低迷で設備投資が減少し、鉱山が老朽化しており、設備に問題が起きれば生産回復に時間がかかる。

 欧州自動車工業協会(ACEA)によると、10月の欧州連合(EU26)の新車(乗用車)登録台数は前年同月比7.8%減の95万3615台となった。1~10月は前年同期比26.8%減の801万1490台となった。10月の商用車登録台数は前年同月比1.2%減の17万2743台、1~10月は前年同期比22.2%減の137万9054台となった。9月の登録は昨年12月以来の台数に増加したが、新型コロナウイルスの感染再拡大で再び減少に転じた。ドイツで部分的なロックダウンが延長されることや、英国でロックダウンが解除されたが、厳しい状況に変わりはないとみられており、自動車販売は伸び悩むことになりそうだ。

 ただ、10日の欧州中央銀行(ECB)理事会で追加刺激策を決定するとしており、これが楽観見通しにつながるかどうかは確認したい。

●NYプラチナの大口投機家の買い越しが拡大

 プラチナETF(上場投信)残高は11月30日の米国で38.32トン(10月末38.63トン)、英国で18.94トン(同19.28トン)、南アで16.65トン(同17.35トン)に減少した。景気回復期待が高まったが、短期的な景気の下振れリスクが残り、戻り場面で投資資金が流出した。

 米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、11月24日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万8765枚となった。10月20日の7825枚を当面の底として買い越しを拡大した。欧州の新型コロナウイルスの感染再拡大で売り圧力が強まっていたが、ワクチン開発進展による景気回復期待を受けて買い戻しが進んだ。新規買いも入っており、1000ドルを超えてから買いが続くかどうかが当面の焦点になる。

 一方、ニューヨーク先物市場の指定倉庫在庫は11月30日に62万3474オンス(10月末65万7775オンス)に減少した。景気回復期待から実需筋は買い戻しに動いた。

(MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行)

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