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【特集】年末IPOラッシュ到来! 精鋭株勢ぞろい「銘柄選別の勘所」は <株探トップ特集>

例年12月はIPOラッシュの月で、今年も月後半に前年を4社上回る26社の新規上場が予定されている。銘柄数が集中するだけに、個々の銘柄の見極めが重要となりそうだ。

―19年より4社多い26社が新規上場を予定、知名度抜群のローランド、バルミューダも―

 年内のIPO予定銘柄が出そろい、今年も例年同様、年末のIPOラッシュが間近に迫ってきた。今年のIPO市場は、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で春先には公開延期や中止が相次いだが、6月に再開されて以降は、相場の回復もあって初値及び上場後の株価推移とも堅調な動きをみせる銘柄も多い。なかには、9月29日にマザーズに上場したヘッドウォータース <4011> [東証M]のように、初値が公開価格の10倍を超える銘柄も出てきており、IPO人気は完全復活を通り越し、例年以上の人気となっている。

 今月は月前半こそIPOは見られないものの、15日に東証2部に新規上場予定のビーイングホールディングス <9145> [東証2]、マザーズに上場予定のスタメン <4019> [東証M]を皮切りに26社のIPOが予定されており、19年12月の22社を4社上回る見込みだ。

●コロナ禍にもかかわらず昨年を上回るIPO数

 今年は年間でIPO数が93社に上る予定で、19年の86社、18年の90社を上回り、07年の121社以来13年ぶりの高水準となる。春先に18社が上場を延期し、2ヵ月以上休止状態だったことから、今年は前年に比べIPO数が大幅に減少するとの見方もあったが、6月以降急回復した。

 東京証券取引所は22年4月をメドに、現在の4市場を3市場に再編する方針だが、新市場の上場基準は詳細がまだ明らかになっておらず、「ベンチャー企業のなかには、新たな基準が明らかになる前に、駆け込み的に上場しようとする動きもあるようだ」(中堅証券)との見方もある。企業側の上場意欲は引き続き高水準であり、これを背景にIPO市場は活況が続きそうだ。

●なぜ12月にIPOが多いのか

 日本企業の決算期は3月と12月に集中しているが、例えば3月期決算では6月末までに決算書を作成し、その後、株主総会、上場申請、証券取引所の審査、そして申請承認というプロセスに要する期間を考慮すると、どうしても新規株式公開は9~12月に集中することになる。

 例年、12月のIPO数の割合は1年間の2割程度だが、今年は4分の1を超える。IPO数が増えることで、投資家の関心が拡散し、選別の目も厳しくなる。19年は公開価格から初値まで2倍以上となった銘柄が9銘柄あったが、その一方で銘柄数が多いだけに公募割れリスクも高まることになる。なかにはその後のセカンダリー市場で急上昇する銘柄もあるが、いずれにしても事前の見極めが必要だろう。

●再上場や知名度抜群のIPOが相次ぐ

 そこで今年12月のIPOだが、春先に一度新規上場を延期した「エニタイムフィットネス」運営のFast Fitness Japan <7092> [東証M]が改めて16日にマザーズ市場に上場予定のほか、14年にMBOを行い上場廃止となった電子楽器大手のローランド <7944> [東証]の再上場が16日に予定されている。また、同じく16日にマザーズ上場が予定されている高級家電のバルミューダ <6612> [東証M]や、22日にマザーズ上場予定で資産運用ロボアドバイザーで預かり資産・運用者数トップのウェルスナビ <7342> [東証M]、17日にマザーズ上場予定でCX(顧客体験)プラットフォーム「KARTE」を展開するプレイド <4165> [東証M]などは知名度が高く、人気を集めそうだ。

 また、12月IPOラッシュの中心は吸収金額が比較的小さい案件が多いが、こうしたなかにも注目される銘柄がそろっている。

●eコマース関連で注目

 17日にマザーズに上場予定のかっこ <4166> [東証M]は、EC分野で近年急増しているオンライン決済での不正対策として、代金未払いとなり得る注文をリアルタイムに検知するSaaS型サービス「O-PLUX(オープラックス)」など「不正検知サービス」を展開。それまでの単純なブラックリスト照合や担当者の目視ではなしえなかった検知精度を実現したのが特徴で、コロナ禍で利用が増加している eコマース関連として注目される。

 同じくeコマース関連では21日にマザーズ上場予定のいつも <7694> [東証M]もブランドメーカーに対するEC支援を手掛けている。EC戦略の立案から、サイトの構築・運営、デジタルマーケティング、カスタマーサービス、倉庫保管、フルフィルメントまで、ECバリューチェーンのあらゆる側面を支援しているのが特徴で、9500件以上の導入事例がある。

●DX関連や事業承継関連銘柄も

 18日にマザーズに上場予定のインバウンドテック <7031> [東証M]は、営業機能を備えた24時間365日対応の多言語コンタクトセンターサービスを展開している。コールセンター企業と営業アウトソーシング企業の両方を合わせた事業で、エンドユーザーからの問い合わせをクライアントに代わって24時間365日・多言語で対応するほか、クライアントの見込み顧客に対する営業を行っている。

 同じく18日にマザーズに上場予定のココペリ <4167> [東証M]は、中小企業の課題解決や成長支援につながる機能を搭載した経営支援プラットフォーム「Big Advance」を、日本全国の地域金融機関に対して提供している。いわば中小企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)に貢献する企業で、DX関連として注目されそう。また、企業のさまざまなビッグデータから意味や妥当性を抽出し、最適な結果を分析・予測する人工知能(AI)モジュール「FAI」を提供しており、AI関連としても評価されそうだ。

 このほか、22日にマザーズ上場予定で、顧客企業WebサイトのUI(ユーザインターフェース)改善に関するコンサルティングや顧客企業のDXをトータルサポートするサービスを展開しDX関連として注目を集めそうなKaizen Platform <4170> [東証M]や、29日にマザーズ上場予定で、主に中小企業を対象に、M&Aの仲介やアドバイザリー業務を展開し、 事業承継関連として注目されそうなオンデック <7360> [東証M]なども人気を集めそうだ。

上場日  コード 市場  銘柄                主幹事
12月15日 4019 東証M スタメン               大和
12月15日 9145 東証2 ビーイングホールディングス      野村
12月16日 6612 東証M バルミューダ             みずほ
12月16日 7092 東証M Fast Fitness Japan 野村
12月16日 7944 東証  ローランド              SMBC日興
12月17日 4020 東証M ビートレンド             みずほ
12月17日 4165 東証M プレイド               みずほ
12月17日 4166 東証M かっこ                SBI
12月17日 4935 JQ  リベルタ               野村
12月17日 6229 東証2 オーケーエム             三菱UFJ
12月18日 4167 東証M ココペリ               大和
12月18日 7031 東証M インバウンドテック          東海東京
12月21日 7358 東証  ポピンズホールディングス       大和
12月21日 7694 東証M いつも                みずほ
12月22日 4168 東証M ヤプリ                みずほ
12月22日 4170 東証M Kaizen Platform    SBI
12月22日 7342 東証M ウェルスナビ             SBI
12月23日 4169 東証M ENECHANGE          みずほ
12月23日 7695 東証M 交換できるくん            SBI
12月24日 4171 JQ  グローバルインフォメーション     HS
12月24日 7359 東証M 東京通信               野村
12月25日 4172 JQ  東和ハイシステム           野村
12月25日 4881 東証M ファンペップ             SBI
12月25日 6230 東証2 SANEI              大和
12月28日 4884 東証M クリングルファーマ          野村
12月29日 7360 東証M オンデック              野村

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