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【特集】オンリーワン銘柄は迷わず触る、海外投資家が初期参戦していればなおさらOK!
目指せ億トレ、頑張り投資家さんの稼ぎ技 IPPOさんの場合-第3回
登場する銘柄
モダリス<4883>、JTOWER<4485>、NexTone<7094>、AI inside<4488>
第1回目記事を読む
第2回目記事を読む
需給とファンダメンタルズのハイブリッド分析で、過熱を避けながら人気の出るIPO(新規株式公開)銘柄を選ぶIPPOさん(ハンドルネーム)。前回は2本柱のうち、需給面のチェックポイントについて紹介した。
今回はもう1つの柱であるファンダメンタルズでのチェックポイントについて、解説していく。
公開から1年をメドとし、短期決戦型の様相が強いIPO投資だが、しっかりファンダメンタルズを分析すれば長期でリターンを狙える銘柄とも巡り会える可能性がある。
これから解説していくポイントはIPO投資に限らず、通常のファンダ投資にも参考になるはずだ。
国内でオリジナリティのあるビジネスか
―― IPPOさんがファンダメンタルズ分析で注目しているのは、どんな要素でしょうか?
IPPO: まず大きな着眼点として、「独自性があるビジネスを展開し、国内の上場会社の中では他に比較できる類似会社がない、"オンリーワン"の存在であるか」ということを重視しています。
独自の技術やビジネスモデルを構築しマネされにくい事業を展開し続ければ、長期的に競争優位を保てる可能性があります。そんな「グレートグロース」が期待できる企業は、長期投資にふさわしいIPO銘柄だと捉えています。
こうした"ぴっかぴか"のファンダメンタルズを持つ企業は、当然ながら需給面でも目を引くものがあります。公開直後から買いが売りを上回って初値は公開価格より高く付き、またロックアップがかかった既存株主からの放出時にも、それを乗り越える買い圧力が生じる可能性が高くなります。
忘れてならないのは、そんな「ぴかぴかファンダ」の会社に対しては公開前から目利きが見逃さないということですね。
海外の先行企業を参考にする海外投資家の評価も注目
―― それはどういうことでしょうか?
IPPO: IPO時に公募・売り出しを行う際に、銘柄によっては国内のみならず海外投資家に割り当てるケースがあります。海外販売は2018年に東証1部にIPOしたソフトバンク<9434>のように、多額の資金を調達するケースでは、国内だけでは需要を満たせない懸念もあってよく見られる光景です。
しかし、東証マザーズに上場するような小型株でも、グローバル展開を視野に入れた企業などは、IPO時から海外資金の調達に動くことがあります。
IPO企業がIR(投資家向け広報)をした結果、公募段階で海外から想定以上の引き合いが出ることもあります。そうしたIPO銘柄は、グレートグロースの潜在力を持っている可能性があると考えています。
―― 例えば、最近の例では?
IPPO: 第1回目の記事で少し触れましたが、今年8月3日に上場したモダリス<4883>は、IPO前に海外投資家の資金を集めることに成功した"ぴっかぴか銘柄"になりますね。
ご存じのように、同社は2016年1月に設立された東大発のベンチャー企業です。その事業は今年のノーベル化学賞の対象となった遺伝子編集技術をベースに独自の創薬プラットフォームを構築し、遺伝子治療薬の開発などを手掛けています。
―― 優秀な人が開発したすごそうな技術を持つ会社というイメージはできますが、バイオ関連の技術は簡単に理解できないのが難点です。
IPPO: まったくその通リで、個人投資家が完璧に理解できる事業内容ではありません。しかし、同社の場合、多くのバイオ銘柄と違って前期時点で黒字化しており、その点からこの技術が夢ではなく現実、実用的になっていることを感じ取れます。
この短期で黒字化に持ち込めたことや、国内の大手製薬会社のアステラス製薬<4503>、エーザイ<4523>とも協業していくこと、パイプラインを5品目持ち、そのうち自社開発品が2つあることもプラスに見ていました。
加えて、それを他の目利きが評価していれば、なおさらその可能性に期待が持てます。
■『株探』プレミアムで確認できるモダリスの通期業績の成長性推移
―― それを探るうえで海外投資家の反応が参考になる。
IPPO: そうなります。結論から述べますと、同社はIPOで新規発行した210万株のうち、海外販売に割り当てられた株は全体の3分の1ほどの69万6000株になります。
モダリスが上場承認を受けた6月24日に提出した有価証券届出書には、210万株を新規発行すると記載され、この時点では海外投資家への販売については「可能性がある」という記述にとどまっていました。
同社はその後、7月13日そして同21日と2回、訂正有価証券届出書を提出しました。この2回目の21日に提出した届出書で、海外販売分が全体の3分の1ほどになることが明らかになりました。
■海外配分の掲載されたモダリスの訂正有価証券届出書のページ
―― 新規発行の3分の1を海外投資家が購入するというのは、同社の潜在的な成長力を探るうえで助けとなった。
IPPO: この分野で最先端をいく企業は、欧米を中心に海外に存在します。そんな彼らの動向を観察している海外投資家が創業から5年のモダリスに投資しようというのです。この事実から、同社が世界の競合相手と伍していけるだけの力を持っているだろうと考えました。
というのも、海外の投資家がわざわざ日本の企業に投資するというのは、自国で先行してそのビジネスを行う企業がないか確認し、それを踏まえて投資判断するはずです。自国の先行企業と比較したうえで日本の類似企業に投資を決定したというのは、自国企業より割安であったり、技術やビジネスモデルで評価するものがあったりした、と推定できます。
もちろん、海外投資家の行動をただ追随すればいい、というほど単純ではありません。投資は自己責任ですから、自分なりに調べられる範囲で、本当に有望と見ていいのか確認しました。
海外類似企業と比べると伸びしろ大きいモダリス
―― 具体的には?
IPPO: 海外にモダリスと同様の技術力を持った同業にはどんな上場会社があり、それらの会社の業績推移や足元の時価総額をわかる範囲で調べました。
例えば同じゲノム編集を行う海外企業では、今年のノーベル化学賞を受賞したエマニュエル・シャルパンティエ氏が共同創業者となるスイスの遺伝子治療開発会社であるクリスパー・セラピューティクス〈CRSP〉、米国のブルーバード・バイオ〈BLUE〉やインテリア・セラピューティクス〈NTLA〉などが思いつきます。
これはあくまでも上場時の比較ですが、私の調べでは、クリスパーの上場時の時価総額は6000億円、ブルーバードについて3000億円の規模で、それからするとモダリスの上場時の時価総額が326億円というのはまだまだ小さい水準です。
足元の現在の時価総額も、約700億円と海外の同業企業に遠く及びません。まだ時間はかかるかもしれませんが、長期的な伸びしろに期待しているところです。
私は、IPO銘柄に投資する際は、類似企業のPERや時価総額を参考にしてだいたいの適正株価の見当をつけて割安か否かを判断しています。
ということは国内のオンリーワン企業を狙う場合は、当然ながら国内の類似企業はありません。そうした場合は、海外の企業に目を向け、その時価総額などを参考にしています。
―― こうした海外上場企業の情報は米国の「Yahoo!Finance」などで確認できますね。
IPPO: そうですね。
ファンドのしぶとい買い注文に安心感
―― 海外投資家の引き合いもあったモダリスですが、初値は2520円と公開価格の1200円の2倍強の水準でした。
IPPO: バイオ関連は利益の見通しが立てにくいことなどが原因してか、IPO直後に大きく跳ねることは少ないというのがこれまでの経験です。
海外の類似企業を考えると、初値が2倍よりもっと上でもおかしくなかったかもしれませんが、同社のIPO時の吸収金額が37.2億円とそれほど小さくはなかったことが影響しているかもしれません。
―― 初値がそれほどでもなかったモダリスに対して、どのようにセカンダリー投資に挑んだのですか?
IPPO: 上場当時におそらく大口のファンドが手掛けていると思われる、大きな買い注文が入り続けたことに注目し、私は強気で買っていきました。上場2日目の8月4日、株価2054円という、かなり底値の水準で拾うことに成功しています。
この上場2日目は、初値割れの水準まで下落する状況だったのですが、2050円どころで大きな買い注文が張り付いていて、「これはきっと個人ではなく、大口のファンド勢の買い」だな、と予想できるものでした。注文金額に対して注文件数が少なかったので、1件あたりの注文の規模が大きいと考えたのです。
この動きから私も自信を持って買いを入れることができたのですが、この大きな買い注文は、少々株価が下がっても微動だにせず、結局4日間、出続けており、「本気で買いに来ているのだな」と思わせる心強いものでした。
最終的にはやはり、あるファンドの注文だったことが分かり「なるほどな」と思いました。通常は株価が下がると大口注文も消えていくのですが、今回のように何日も注文が出たままというのは珍しいことですよ。
■モダリス<4883>の日足チャート(2020年8月~)
注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同
―― 強気に挑めたのは、公開前に海外企業の業績動向を含めて調べたこともある。
IPPO: 私は、すべてのIPO銘柄について、事前に需給状況やファンダメンタルズについて調べます。それによって目標株価を計算し、つまりは適正な時価総額水準の目安を立てています。
ですから初値時点にその水準より上に大きく跳ねていれば過熱を警戒し、逆ならばまだ伸びしろはあるだろうと、判断して取引に臨めます。
ただし、バイオ関連はひとたび悪材料が出ると大きく売り込まれやすいというのも実情です。後に触れますが、長期投資組は「ほったらかし投資」が基本なのですが、この銘柄に関しては、今後も情報収集をしながら注意深く監視していくつもりです。
―― このモダリスに先んじて19年12月にIPOしたJTOWER<4485>も、IPO時に海外投資家からの買いが入っていますね。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
...
登場する銘柄
モダリス<4883>、JTOWER<4485>、NexTone<7094>、AI inside<4488>
編集・構成/真弓重孝(株探編集部)、文・イラスト/福島由恵(ライター)
IPPOさん(ハンドルネーム・30代・男性)のプロフィール:
関東圏在住の兼業投資家。証券会社から公募段階で配分を受けたモバイルファクトリー<3912>のイケイケの波に乗ったことをきっかけに2015年からIPO特化型で投資を本格化する。以降、プライマリー&セカンダリー投資ともに好調で、投資開始直後から資産拡大路線に入るが、18年の2度の相場大暴落に巻き込まれて大コケ。積み重ねた大半の利益を溶かすという苦い経験から、それまでのイケイケ路線を改良へ。身近な知り合いのIPO投資で成功している師匠の影響もあり、リスクを抑えて手堅い株価成長が見込める銘柄選びに転換し、現在に至る。その甲斐あって、今年襲ったコロナ禍では3カ月で資産3.5倍化に成功し、現在も邁進中だ。
関東圏在住の兼業投資家。証券会社から公募段階で配分を受けたモバイルファクトリー<3912>のイケイケの波に乗ったことをきっかけに2015年からIPO特化型で投資を本格化する。以降、プライマリー&セカンダリー投資ともに好調で、投資開始直後から資産拡大路線に入るが、18年の2度の相場大暴落に巻き込まれて大コケ。積み重ねた大半の利益を溶かすという苦い経験から、それまでのイケイケ路線を改良へ。身近な知り合いのIPO投資で成功している師匠の影響もあり、リスクを抑えて手堅い株価成長が見込める銘柄選びに転換し、現在に至る。その甲斐あって、今年襲ったコロナ禍では3カ月で資産3.5倍化に成功し、現在も邁進中だ。
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需給とファンダメンタルズのハイブリッド分析で、過熱を避けながら人気の出るIPO(新規株式公開)銘柄を選ぶIPPOさん(ハンドルネーム)。前回は2本柱のうち、需給面のチェックポイントについて紹介した。
今回はもう1つの柱であるファンダメンタルズでのチェックポイントについて、解説していく。
公開から1年をメドとし、短期決戦型の様相が強いIPO投資だが、しっかりファンダメンタルズを分析すれば長期でリターンを狙える銘柄とも巡り会える可能性がある。
これから解説していくポイントはIPO投資に限らず、通常のファンダ投資にも参考になるはずだ。
国内でオリジナリティのあるビジネスか
―― IPPOさんがファンダメンタルズ分析で注目しているのは、どんな要素でしょうか?
IPPO: まず大きな着眼点として、「独自性があるビジネスを展開し、国内の上場会社の中では他に比較できる類似会社がない、"オンリーワン"の存在であるか」ということを重視しています。
独自の技術やビジネスモデルを構築しマネされにくい事業を展開し続ければ、長期的に競争優位を保てる可能性があります。そんな「グレートグロース」が期待できる企業は、長期投資にふさわしいIPO銘柄だと捉えています。
こうした"ぴっかぴか"のファンダメンタルズを持つ企業は、当然ながら需給面でも目を引くものがあります。公開直後から買いが売りを上回って初値は公開価格より高く付き、またロックアップがかかった既存株主からの放出時にも、それを乗り越える買い圧力が生じる可能性が高くなります。
忘れてならないのは、そんな「ぴかぴかファンダ」の会社に対しては公開前から目利きが見逃さないということですね。
海外の先行企業を参考にする海外投資家の評価も注目
―― それはどういうことでしょうか?
IPPO: IPO時に公募・売り出しを行う際に、銘柄によっては国内のみならず海外投資家に割り当てるケースがあります。海外販売は2018年に東証1部にIPOしたソフトバンク<9434>のように、多額の資金を調達するケースでは、国内だけでは需要を満たせない懸念もあってよく見られる光景です。
しかし、東証マザーズに上場するような小型株でも、グローバル展開を視野に入れた企業などは、IPO時から海外資金の調達に動くことがあります。
IPO企業がIR(投資家向け広報)をした結果、公募段階で海外から想定以上の引き合いが出ることもあります。そうしたIPO銘柄は、グレートグロースの潜在力を持っている可能性があると考えています。
―― 例えば、最近の例では?
IPPO: 第1回目の記事で少し触れましたが、今年8月3日に上場したモダリス<4883>は、IPO前に海外投資家の資金を集めることに成功した"ぴっかぴか銘柄"になりますね。
ご存じのように、同社は2016年1月に設立された東大発のベンチャー企業です。その事業は今年のノーベル化学賞の対象となった遺伝子編集技術をベースに独自の創薬プラットフォームを構築し、遺伝子治療薬の開発などを手掛けています。
―― 優秀な人が開発したすごそうな技術を持つ会社というイメージはできますが、バイオ関連の技術は簡単に理解できないのが難点です。
IPPO: まったくその通リで、個人投資家が完璧に理解できる事業内容ではありません。しかし、同社の場合、多くのバイオ銘柄と違って前期時点で黒字化しており、その点からこの技術が夢ではなく現実、実用的になっていることを感じ取れます。
この短期で黒字化に持ち込めたことや、国内の大手製薬会社のアステラス製薬<4503>、エーザイ<4523>とも協業していくこと、パイプラインを5品目持ち、そのうち自社開発品が2つあることもプラスに見ていました。
加えて、それを他の目利きが評価していれば、なおさらその可能性に期待が持てます。
■『株探』プレミアムで確認できるモダリスの通期業績の成長性推移
―― それを探るうえで海外投資家の反応が参考になる。
IPPO: そうなります。結論から述べますと、同社はIPOで新規発行した210万株のうち、海外販売に割り当てられた株は全体の3分の1ほどの69万6000株になります。
モダリスが上場承認を受けた6月24日に提出した有価証券届出書には、210万株を新規発行すると記載され、この時点では海外投資家への販売については「可能性がある」という記述にとどまっていました。
同社はその後、7月13日そして同21日と2回、訂正有価証券届出書を提出しました。この2回目の21日に提出した届出書で、海外販売分が全体の3分の1ほどになることが明らかになりました。
■海外配分の掲載されたモダリスの訂正有価証券届出書のページ
―― 新規発行の3分の1を海外投資家が購入するというのは、同社の潜在的な成長力を探るうえで助けとなった。
IPPO: この分野で最先端をいく企業は、欧米を中心に海外に存在します。そんな彼らの動向を観察している海外投資家が創業から5年のモダリスに投資しようというのです。この事実から、同社が世界の競合相手と伍していけるだけの力を持っているだろうと考えました。
というのも、海外の投資家がわざわざ日本の企業に投資するというのは、自国で先行してそのビジネスを行う企業がないか確認し、それを踏まえて投資判断するはずです。自国の先行企業と比較したうえで日本の類似企業に投資を決定したというのは、自国企業より割安であったり、技術やビジネスモデルで評価するものがあったりした、と推定できます。
もちろん、海外投資家の行動をただ追随すればいい、というほど単純ではありません。投資は自己責任ですから、自分なりに調べられる範囲で、本当に有望と見ていいのか確認しました。
海外類似企業と比べると伸びしろ大きいモダリス
―― 具体的には?
IPPO: 海外にモダリスと同様の技術力を持った同業にはどんな上場会社があり、それらの会社の業績推移や足元の時価総額をわかる範囲で調べました。
例えば同じゲノム編集を行う海外企業では、今年のノーベル化学賞を受賞したエマニュエル・シャルパンティエ氏が共同創業者となるスイスの遺伝子治療開発会社であるクリスパー・セラピューティクス〈CRSP〉、米国のブルーバード・バイオ〈BLUE〉やインテリア・セラピューティクス〈NTLA〉などが思いつきます。
これはあくまでも上場時の比較ですが、私の調べでは、クリスパーの上場時の時価総額は6000億円、ブルーバードについて3000億円の規模で、それからするとモダリスの上場時の時価総額が326億円というのはまだまだ小さい水準です。
足元の現在の時価総額も、約700億円と海外の同業企業に遠く及びません。まだ時間はかかるかもしれませんが、長期的な伸びしろに期待しているところです。
私は、IPO銘柄に投資する際は、類似企業のPERや時価総額を参考にしてだいたいの適正株価の見当をつけて割安か否かを判断しています。
ということは国内のオンリーワン企業を狙う場合は、当然ながら国内の類似企業はありません。そうした場合は、海外の企業に目を向け、その時価総額などを参考にしています。
―― こうした海外上場企業の情報は米国の「Yahoo!Finance」などで確認できますね。
IPPO: そうですね。
ファンドのしぶとい買い注文に安心感
―― 海外投資家の引き合いもあったモダリスですが、初値は2520円と公開価格の1200円の2倍強の水準でした。
IPPO: バイオ関連は利益の見通しが立てにくいことなどが原因してか、IPO直後に大きく跳ねることは少ないというのがこれまでの経験です。
海外の類似企業を考えると、初値が2倍よりもっと上でもおかしくなかったかもしれませんが、同社のIPO時の吸収金額が37.2億円とそれほど小さくはなかったことが影響しているかもしれません。
―― 初値がそれほどでもなかったモダリスに対して、どのようにセカンダリー投資に挑んだのですか?
IPPO: 上場当時におそらく大口のファンドが手掛けていると思われる、大きな買い注文が入り続けたことに注目し、私は強気で買っていきました。上場2日目の8月4日、株価2054円という、かなり底値の水準で拾うことに成功しています。
この上場2日目は、初値割れの水準まで下落する状況だったのですが、2050円どころで大きな買い注文が張り付いていて、「これはきっと個人ではなく、大口のファンド勢の買い」だな、と予想できるものでした。注文金額に対して注文件数が少なかったので、1件あたりの注文の規模が大きいと考えたのです。
この動きから私も自信を持って買いを入れることができたのですが、この大きな買い注文は、少々株価が下がっても微動だにせず、結局4日間、出続けており、「本気で買いに来ているのだな」と思わせる心強いものでした。
最終的にはやはり、あるファンドの注文だったことが分かり「なるほどな」と思いました。通常は株価が下がると大口注文も消えていくのですが、今回のように何日も注文が出たままというのは珍しいことですよ。
■モダリス<4883>の日足チャート(2020年8月~)
注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同
―― 強気に挑めたのは、公開前に海外企業の業績動向を含めて調べたこともある。
IPPO: 私は、すべてのIPO銘柄について、事前に需給状況やファンダメンタルズについて調べます。それによって目標株価を計算し、つまりは適正な時価総額水準の目安を立てています。
ですから初値時点にその水準より上に大きく跳ねていれば過熱を警戒し、逆ならばまだ伸びしろはあるだろうと、判断して取引に臨めます。
ただし、バイオ関連はひとたび悪材料が出ると大きく売り込まれやすいというのも実情です。後に触れますが、長期投資組は「ほったらかし投資」が基本なのですが、この銘柄に関しては、今後も情報収集をしながら注意深く監視していくつもりです。
―― このモダリスに先んじて19年12月にIPOしたJTOWER<4485>も、IPO時に海外投資家からの買いが入っていますね。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
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