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2017年11月20日19時30分

【特集】“高額消費”関連が来る―25年ぶり株高で“ゆるみ始めた財布の紐” <株探トップ特集>

高島屋 <日足> 「株探」多機能チャートより

―発現“資産効果”、突入“年末商戦”、そして「高級」「高額」が動き出す―

 日経平均株価の急騰劇が、師走間近の日本列島を沸かせている。10月には歴代1位となる驚異の16連騰をみせたほか、11月に入っても騰勢はやむことなくバブル崩壊後の高値を更新。直近でこそ波乱展開を見せているものの、その上昇波は目を見張るばかりだ。年末商戦に突入するなか、株価上昇による消費への好影響は必至で、特に高額品への波及は大きいとの見方は強い。現状と関連株を追った。

●消費者の行動変化を見逃すな!

 11月7日、389円25銭高の2万2937円60銭と大幅高で、ついに終値でバブル崩壊後の高値を更新した。好調な企業業績を背景にして、海外投資家が主体とみられる大口の実需買いが主力株を中心に流入した格好だ。9日には、波乱展開で結局マイナスで引けたものの、一時買い気が盛り上がり2万3000円台を回復する場面もあった。

 この株高が、消費を刺激するという見方が浮上している。特に、中国人観光客によるインバウンド 効果で一時脚光を浴びたものの、ここのところ日の目を見ていなかった「高額消費 」に対する期待は大きい。

 東洋証券ストラテジストの大塚竜太氏も「ここ最近は、消費者の行動変化が観測されるようになり高額消費の流れが意識されている。訪日客のインバウンドもひと頃の勢いはないものの越境ECなどを通じて根強いニーズがある。また、国内でも最近の株高に伴う資産効果が富裕層の財布の紐を緩めているようだ」とする。

 「高額消費の象徴として、三越伊勢丹ホールディングス <3099> や高島屋 <8233> 、松屋 <8237> など増収・経常増益を確保した百貨店の上期業績(3-8月期)などにその傾向がみてとれる」(大塚氏)という。日経平均は2015年6月のアベノミクス高値2万868円を上抜いてから一気に上げ足を加速させたが、「その前後で富裕層の消費行動に変化が出た」(同)と指摘。足もと株価は不安定な動きをみせてはいるものの、2万2000円台をキープしている現状はデフレ脱却モードに変化はないとしている。

●年末商戦突入で高島屋、三越伊勢丹、松屋

 高島屋では「宝飾品、インポートブランドなど全般好調だ。なかでも高級時計の動きが非常に強い。インバウンドの部分を除いても、高額品全般について売れ行きは良い」(広報)という。また、日経平均株価上昇との関係性については「百貨店の売り上げは、株価に比例するといわれ、特に高額品の部分については顕著だ。ただ、その影響は、株価上昇後の1~2ヵ月後に出てくる」(同)という。同社の10月度店頭売上高は3ヵ月連続で前年を上回るなど好調だ。ここでも高額品の売り上げが伸長している。株価は6月23日に年初来高値1167円をつけて以降調整、ここ1000~1100円近辺でもみ合う展開となっている。

 三越伊勢丹HDは7日、第2四半期累計(4-9月)連結決算を発表。売上高が前年同期比2.2%増となる5952億6100万円、営業利益は25.4%増76億4900万円となった。円安基調を背景にインバウンド需要が復調傾向にあることに加えて、株式市場の活況を背景とした資産効果で基幹店の売上高が回復している。また、経費の見える化を進め、コストコントロールを強化したことも寄与した。ただ、純利益が99.8%減となる1800万円と最終大幅減益となったが、これは店舗閉鎖などに伴う損失を計上したのが響いたもの。決算発表の翌日はこれを嫌気し売られたものの、9日には大幅反発している。

 また、松屋も好調継続。前週末17日の取引終了後に発表した10月売上報告で、銀座店と浅草店を合わせた銀座本店が前年同月比8.1%増となり、4ヵ月連続で前年実績を上回っている。

 多くの銘柄が年初来高値を更新するなど上昇基調を強めるなか、百貨店株については相対的に出遅れ感も指摘される。9月以降の日経平均株価の異彩を放つ強調展開のなか、年末商戦突入に伴い再びスポットライトが当たる場面も近そうだ。

●高級時計でセイコー、シチズン、「G-SHOCK」でカシオ

 前述のように、高額商品の一角を占めるのが「時計 」だ。前週、全体相場が軟調となるなか、逆行高して注目を集めたのがセイコーホールディングス <8050> 。同社は14日、18年3月期の連結業績予想について、営業利益を65億円から90億円(前期比20.2%増)へ、純利益を50億円から100億円(同85.4%増)へ上方修正した。上期業績が電子デバイス事業を中心に好調推移、さらに連結子会社である半導体事業会社株式の追加譲渡に伴う特別利益の計上を新たに見込んだことなどが要因だが、ウオッチ事業で独立ブランド化した高価格帯の「グランドセイコー」も業績を後押ししている。

 同社では、「中長的期的なスパンで高価格帯の商品に力を入れてきた。ここ購買意欲の高まりを受けて、グランドセイコーなど高価格帯の商品が好調だ。100万円を超えるものも非常に動いている」(広報)という。株価はここ一気に上げ足を速めており、17日には3145円まで買われ連日の年初来高値を更新している。15日には国内大手証券が、目標株価を引き上げ「高価格ウオッチの拡販により中期的に高い利益成長が続く」と指摘している。以前から高価格帯商品に注力してきた同社だが、“日経平均上昇効果”がさらなる追い風になりそうだ。

 シチズン時計 <7762> も業績好調だ。10日、18年3月期第2四半期累計の連結決算を発表、第2四半期で営業利益が2ケタ成長をみせている。旺盛な半導体需要や車載関連向けに工作機械需要が収益を牽引したが、主力の時計事業も富裕層を中心とする高額商品への需要が回復し業績に寄与した。また、カシオ計算機 <6952> にも注目が集まりそうだ。Gショックブーム再来と囁かれるなか、スマートフォンと連携する中価格帯の「G-SHOCK」(G-STEEL)が人気となっている。前述2社の製品と比較すると価格帯は低いものの、ブーム再来で今後注目度がアップする可能性もある。

●ひらまつはプチ高額消費、旅行関連も注目

 日経平均上昇効果に加え、冬季ボーナスの増加も消費拡大を後押ししそうだ。10日、みずほ総合研究所が「2017年冬季ボーナス予測」を発表。「1人当たりの支給額は3年ぶりの増加を見込む」とし、当面の個人消費を下支えする可能性を指摘している。高額商品というと“モノの消費”に目が向きがちだが、ボーナス増加も好影響を与えそうな食事など“プチ高額消費”にも目を向けたい。

 クリスマスなどイベントを控えるなかで注目が集まるのが、高級レストランなどを展開するひらまつ <2764> だ。同社はホテル事業にも参入、レストランだからこそできるホテル滞在を追求している。株価は調整局面にあるが目を配っておきたい存在だろう。また、エイチ・アイ・エス <9603> 、KNT-CTホールディングス <9726> など旅行関連にも好影響を与えそうだ。さらに、会員制リゾートホテルなどを運営するリゾートトラスト <4681> にも期待がかかる。

●シンワアート、アールビバンには思惑高も

 バブル経済時代、日経平均の上昇とともに不動産価格も高騰、行き場を失った資金は「美術品市場」に流入した。世界的な美術オークションでも日本勢の“買い漁り”が話題になったほどだ。その連想からからは、日本最大の美術オークションを運営するシンワアートオークション <2437> [JQ]、リトグラフなど版画作品を販売するアールビバン <7523> [JQ]も今後脚光を浴びる可能性がある。ただ、ある業界関係者は「バブル時代と現在は違う。事実、投機対象になっていたことはあったが、いまは正常な収集家でマーケットは構成されており、以前のようなことはないだろう」ともいう。とは言え、株式市場においては思惑高を招く可能性も少なくない。

 現在の景気回復局面が、「いざなぎ景気」(1965年11月~70年7月)を抜き、戦後2番目の長さとなったが、この“好景気”については、いまだ疑心暗鬼なのも事実だ。ただ、今回の日経平均株価の上昇は、企業業績の好調という背景があることを忘れてはならない。業績拡大から株価上昇へ、高額消費関連株が再び日の目を見る日は近い。

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