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【特集】雨宮京子氏【個別物色は旺盛、年末相場の見通しは】(1) <相場観特集>

雨宮京子氏(SBI証券 投資調査部 シニア・マーケットアドバイザー)

―2017年相場も最終盤、歴史的上昇相場の行末は―

 週明け20日の東京市場は売り優勢の展開となり日経平均株価は135円安と3日ぶりに反落した。前週の日経平均は週前半の急落が尾を引いて週間ベースで久々の下落となったが、足もと弱気に傾いている印象は受けにくい。値上がり銘柄数の多さにも反映される旺盛な個別株物色意欲は、前向きな投資家心理を物語っているようにもみえる。年末に向けての株式市場の見通しと物色対象について、先読みに定評のある市場関係者2人に聞いた。

●「大勢上昇トレンド継続、目先下値固めを経て年末高へ」

雨宮京子氏(SBI証券 投資調査部 シニア・マーケットアドバイザー)

 ここ最近の日経平均は、アルゴリズムを活用したシステム売買の影響でボラティリティが高まっているが、実勢経済を考えれば弱気になる必要はないだろう。世界的な景況感の回復を背景に、戦後最長となっている日本の景気拡大局面もしばらく続くと考えられる。一方、日銀のスタンスといえば金融緩和に引き続き前向きな姿勢を崩していない。先進国で唯一、超金融緩和環境のなかで業績相場を堪能できるのが東京市場である。

 11月第3週の日経平均は週足で10週ぶりの下落を余儀なくされたが、相場自体にうねりがあり心配は無用だ。今は日柄調整を強いられているが値幅的には既にいいところにきている。年末までのタームで見た場合、日経平均の下値は2万2000円前後とみており、システム売買の影響などで下回ってもそれは短期間のイレギュラーですなわち買い場となる。12月は決算期末を控えたヘッジファンドの解約売りも鳴りを潜め、上値は11月9日につけた取引時間中の高値2万3382円を上回る可能性が十分にあるとみている。

 また、直近の日経平均採用銘柄の今期予想EPSは1530円台まで上昇しており、年度末(来年3月)までの目標ラインとしてはPER16倍で換算した2万4500円前後が意識されるのではないか。

 個別銘柄でまず注目したいのは、世界的に好調な半導体需要を背景にシリコンウエハー大手のSUMCO <3436> 。300ミリウエハーは来年度に20%の値上げが浸透、2020年に月産700万枚まで増産体制も構築される見通しで収益成長を後押しする。また内需株では業務スーパーを展開する業績好調な神戸物産 <3038> をマーク。全体相場との連動性も低く日経平均がもみ合い局面でも上値が期待できる。

 中小型株ではウェブマーケティング支援と通信サービスを展開するビジョン <9416> に上放れ妙味がありそう。モバイルWi-fiルーターのレンタル事業が好調で業績を牽引している。17年12月期は営業利益で前期比24.5%増の16億600万円とピーク利益更新が続く見通し。新興市場ではマザーズに上場するプリント基板のネット通販を手掛けるピーバンドットコム <3559> [東証M]の戻り相場に期待。AIIoT時代の到来で、研究用途のプリント配線板需要が拡大している。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(あめみや・きょうこ)
SBI証券 投資調査部 シニア・マーケットアドバイザー。元カリスマ証券レディ。日興証券時代は全国トップの営業実績を持つ。ラジオ短波(現ラジオNIKKEI)、長野FM放送アナウンサー、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)記者、日経CNBCキャスター、テレビ東京マーケットレポーター、ストックボイスキャスターなどを経て現在に至る。

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