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【特集】大谷正之氏【“アベノミクス高値”急接近、上昇どこまで続く】(2) <相場観特集>

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

―検証・年末高シナリオ、市場を覆う“高揚感”そして―

 米国経済を筆頭とする世界景気拡大の流れを背景に東京株式市場ではリスクを取る動きが顕在化している。3連休明けとなった10日、日経平均株価は目先高値警戒感からの利益確定売りを飲み込むかたちで、引き続き力強く上値を指向する展開となった。アベノミクス高値急接近で盛り上がる高揚感。目先上値の重さも程良いブレーキとして相場の持続性を高める方向に作用している。秋相場も佳境入りとなるなか、年末高のシナリオに向けた展望が開けるのか否か、第一線で活躍する市場関係者に話を聞いた。

●「企業業績の向上を評価したジリ高トレンドが継続」

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

 週明け10日の東京株式市場は、日経平均株価が6日続伸で連日の年初来高値更新となった。国内外の景気拡大期待を支えに株価指数先物主導で、現物市場もジリ高歩調となり、日経平均は2万800円台に乗せ、15年6月につけたアベノミクス高値2万868円(終値ベース)に急接近してきた。

 10日の北朝鮮の朝鮮労働党創建記念日、11日の中国共産党中央委員会第7回全体会議開催と日程面での注目材料はあるものの、株式需給の良好さと企業業績の向上期待を背景に、買い優勢の推移が予想される。外国為替市場での円安・ドル高進行に伴う輸出関連企業の業績上方修正はある程度織り込まれているが、世界景気好調による販売数量の増加などが株価に織り込まれることになる。

 例えば、株価面でやや出遅れ感のある電子部品半導体製造装置、重電機、 自動車などの業種に物色の矛先が向かいそうだ。NYダウ平均株価が急ピッチの上昇でやや過熱感が強まるなかで、比較的割安な日本株への分散投資の比率を高めようという海外投資家の動きが顕在化してきそうだ。

 個別銘柄では、工作機械内の直行運動をつかさどる直動機器で、半導体・電機向けや工作機械向けの受注急増を受けて、想定以上に業績が改善しているTHK <6481> に注目。また、日産自動車 <7201> の新型「リーフ」の新車装着タイヤとして、転がり抵抗の低減を追求したエコタイヤの「ECOPIA(エコピア)」の納入を開始したブリヂストン <5108> や、来年2月開催の韓国・平昌冬季五輪を前にして、ビジネスチャンス拡大が見込めるスポーツ用品大手のゼビオホールディングス <8281> にも注目したい。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。

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