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【市況】【植木靖男の相場展望】 ─ 物色交代がより鮮明に

株式評論家 植木靖男

「物色交代がより鮮明に」

●米株高を背景に15年高値トライへ

 株価は、9月8日を安値に上昇に転じ、定石通り7~8日上昇して、その後に同じく7~8日もみ合って再騰に転じている。ただ、ここへきて騰げ足の勢いが鈍っている。

 その背景は、三連休が控えていること、株価に連動する円安進行が一時的にしろ止まったこと、さらに言えば総選挙を前に安倍首相退陣リスクが囁かれていること。また、連休明け10日は北朝鮮労働党の創建記念日にあたるなどによる。かくして相場の動きが鈍いことで高所恐怖症から利食い売りが先行した面もある。

 だが、こうした警戒材料はあるものの、とにかく下げない。この強さは何処から来るのか。

 それは米国株価が依然史上最高値更新を続けているからだ。NYダウは2万3000ドル必至といった声も聞こえる。

 ここ米長期金利は多少上昇しているにしても、“景気拡大にして低金利”という“いい湯だな”的適温相場は当面変わりそうにないとの読みからだ。

 こうしたことが日本株には下支えとなり、とりあえずは15年6月高値2万0868円、そして次は2万1000円処が10月相場での目標となりそうな雰囲気を醸成しているようだ。

 15年6月高値を突破すれば、09年のリーマン・ショック後の中長期上昇基調が依然として続いていることが確認されることになる。中長期投資家にとっては大きな期待材料である。

 いずれにしても、円相場を睨みながらの上昇相場が続くことになろう。

●大型株の急動意は上昇再加速の兆しか

 さて、物色対象はどうなるのであろうか。仮に2万1000円を上抜くような展開があるとすれば、そこに到るまで特定の業種、銘柄一色ということはあり得ないのは当然である。

 むしろ、幾度となく物色銘柄の交代、つまり循環物色が繰り広げられるとみるのが常識である。それは、往々にして株価上昇の勢いが鈍ったとき、もしくは小幅調整をみせたときである。

 今回、3連休を前にして相場の勢いが鈍ったタイミングは、まさにその物色交代期と軌を一にしているようだ。

 これまでは半導体関連などハイテク株や中小型の材料株が主流を占めていた。

 だが、週末突然、物色銘柄に大きな変化がみられた。際立ったのは大型株の急動意である。

 具体的には金融、不動産、海運、商社などの出遅れ大型株である。逆にいえば、こうした大型株が浮上しない限り指数上昇はあり得ない。なかで注目は、PER10倍前後の金融、商社である。

 さらに、より効率のよいのは指数連動のETFであろう。相場が明確に上昇、過熱してくると、個別では指数に対抗できないのは歴史が教えるところである。

2017年10月6日 記

株探ニュース

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