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2017年10月07日19時30分

【特集】自動車パラダイムシフト相場が走り出す―「コネクテッドカー」で騰がる株 <株探トップ特集>

京写 <日足> 「株探」多機能チャートより

―自動車「大革命時代」の株価大変動が目前に、“世界の巨人”と“魅惑の穴株”勢力図―

 株式市場は常に「変化」を追い求めている。産業構造がこれまでと変わる、いわゆるパラダイムシフトが生じた場合、それに乗って民族の大移動ならぬ“株価の大変動”が起こる。

●自動車そのものがスマホ化する時代へ

 今、自動車業界では世界的に電気自動車(EV)シフトの動きが強まっているが、もうひとつ自動車電装化の進展と同じ軸足で「コネクテッドカー」の普及シナリオが加速する局面にあり、投資の観点からも目が離せない。EV関連としてはその動力源となるリチウムイオン電池が脚光を浴び、需給逼迫の思惑から部材メーカーなどが相次いで株価を大きく変貌させた。そして今なお物色対象の裾野は広がりをみせている。

 一方、コネクテッドカーも株式市場で物色テーマとして大きく開花の兆しが出てきた。自動車に情報端末としての機能をもたせ、センサーによる周囲の情報取得とネットワーク上の分析によって、これまでにはなかった新たな価値・サービスを創出するクルマというのが基本コンセプトだ。カーナビゲーションなどを通じた情報サービスとの違いは、端的に言えば車両情報を直接管理・活用できるということであり、故障や事故時に自動的に緊急通報したり、走行実績と連動した保険の適用、あるいは車両追跡システムなど、自動車そのものがスマートフォン化されたような状態を意味する。

 コネクテッドカーは世界の主要メーカーが開発に注力しており、今後IoTの一形態として、250兆円規模といわれる膨大な自動車市場を飲み込んでいくことになる。そして、これは「自動運転車」時代到来の第1章ともいってもよい。

 高速・大容量の次世代通信規格である「5G(第5世代移動通信システム)」もコネクテッドカーの普及と密接に関わる。近い将来に押し寄せるであろうパラダイムシフトの波は、これに伴いビジネスチャンスを得る銘柄の時価総額を押し上げていく可能性が高い。

●フォードの“本気”とトヨタの“気合い”

 今週に入り、にわかにコネクテッドカーのテーマ性を強く認知させるニュースが株式市場を巡った。3日、投資家向け経営戦略説明会を開催した米フォード・モーターが、2020年までに全世界で販売する新車の9割をコネクテッドカーにすると発表したことだ。「T型フォード」の生産が開始されてから、既に100年以上の時を経たが、これまでの自動車という概念が大きく変わる一つのメルクマールといえるかもしれない。

 国内では、同分野の取り組みで業界を先駆しているのがトヨタ自動車 <7203> だ。同社はKDDI <9433> との協業により、コネクテッドカーに実装する車載通信機器の開発やグローバルに活用できる通信プラットフォームの構築を進めている。既にレクサスなど高級車には車載通信機器を搭載、地図データの自動更新などができる仕組みになっているが、今後採用車種の拡大とともに、同技術を軸にしたサービス展開に磨きをかけていく方針にある。

 さらに、トヨタはこれまでグループの枠外であったNTT <9432> とも自動車・超高速無線通信技術で提携、5G技術を活用することでより安全性の高い自動運転車の実用化を図っていく構えにある。直近ではマツダ <7261> とカーナビゲーションや通信制御システムの共通化に乗り出す方針も伝えられた。トヨタの一連の動きはコネクテッドカーでも業界の盟主として主導権を握り続けるという強い意思を感じさせる。

●IT企業との相互乗り入れで進化加速へ

 もちろん、他の大手自動車メーカーも同分野に積極的に踏み込んでいることはいうまでもない。日産自動車 <7201> はグループ企業の仏ルノーと連携してコネクテッド関連技術の開発を進捗させている。また、ホンダ <7267> も米IBMのクラウドサービス「Watson IoT」を活用し、高水準の安全性と情報分析サービス強化に動いている。

 コネクテッドカーは、今後もワールドワイドに自動車メーカーとIT企業が相互乗り入れするかたちで進化を加速させていくことになりそうだ。その市場規模の大きさから幅広い銘柄に商機が巡ることは想像に難くない。

 関連銘柄としてはトヨタをはじめとする自動車メーカーのほか通信インフラに関わる企業や、通信デバイスを製造する企業が有力だ。さらに、忘れてならないのは自動車本体がネットに接続されることで、サイバーセキュリティーに関する技術も充実させる必要があり、同分野に強い企業にも光が当たることになる。

●ルネサス、デンソー、そして有力株が目白押し

 ルネサスエレクトロニクス <6723> は車載マイコン大手で世界的な実力を有し、自動運転分野向け半導体開発でも先行している。セキュリティー関連ソフトでも強みを持っており、コネクテッドカーに関わる幅広い領域に携わることが予想される。またトヨタ系自動車部品のトップメーカーであるデンソー <6902> も見逃せない。半導体を内製しており、トヨタと連携しての一挙手一投足に耳目が集まる。このほかセラミックコンデンサー世界首位の村田製作所 <6981> や、自動車向けLSI事業が大きく伸びているローム <6963> など日本を代表する電子部品メーカーから目が離せない。

 車載用アンテナではヨコオ <6800> に収益チャンスが生まれる。低周波帯から高周波帯まで対応できる統合アンテナを開発しており、量産技術を持つ同社にとってコネクテッドカーの普及は、業績成長トレンドを後押しすることになりそうだ。また、ノイズをカットするSAWフィルターや電気信号増幅装置などを手掛ける新日本無線 <6911> も自動車分野に経営の重心を置いており、ビジネスチャンスが一段と広がる。

 通信インフラ分野においては通信計測器のトップメーカーで“5G関連株”の代表格であるアンリツ <6754> に活躍の出番が回る。また、システム開発事業の元締め的な存在であるNTTデータ <9613> はコネクテッドカー普及でもキーカンパニーとして存在感を高めることは必至だ。

●セキュリティー環境の充実も重要ポイントに

 セキュリティーソフト分野では、アズジェント <4288> [JQ]やスマートバリュー <9417> [JQ]、JIG-SAW <3914> [東証M]などがマークされる。

 アズジェンドはコネクテッドカーに対するサイバー攻撃対応のセキュリティー製品などを開発するイスラエルのカランバセキュリティ社に出資、コネクテッドカーへのサイバー攻撃を“見える化”して安全な自動運転環境を提供する。また、スマートバリュー <9417> [JQ]は次世代テレマティクスサービスに展開、専用の車載機器とスマートフォンを活用して運転データをクラウド上で収集・分析して車両を管理する「CiEMS(シームス)」はコネクテッドカーの普及過程でも注目される。さらに、ネット環境の自動監視システムを手掛けるJIG-SAW <3914> [東証M]は昨年、米国日産とコネクテッドカー実証実験を始めた米リトマス・オートメーション社とインダストリーIoT分野で提携している。

●コネクテッドカーの穴株は京写、図研エルミック

 穴株的な魅力を持つ銘柄では、京写 <6837> [JQ]がマーケットの視線を集めそうだ。同社はプリント配線板メーカーで片面プリント配線板では世界トップの生産量を誇る。自動車の電装化進展はハード面からはEVが主流となり、ソフト面ではコネクテッドカーの延長線上に完全自動運転車の普及が青写真としてあるが、いずれにしても時が経つとともにどんどん“電子基板の塊”となっていく。足もとも自動車関連向けが好調で業績を牽引しているが、将来的に描かれる収益の変化は、今見えている業績予想などとはかけ離れたものになりそうだ。

 また、図研エルミック <4770> [東証2]も面白い存在といえる。同社は情報と娯楽を融合したインフォテインメントを中心に車載ネットワーク分野に力を入れている。コネクテッドカーの関連最右翼の一社として前述したルネサスと、ソフトウエア開発やFAソリューション分野などで協業している点はポイントだ。今後、自動車のエレクトロニクス武装が加速するなかで、同社の技術が大きく花開く可能性もある。

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