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2017年10月04日19時00分

【市況】中村潤一の相場スクランブル 「加速する材料株相場 秋高特選7銘柄」

minkabu PRESS編集部 株式情報担当編集長 中村潤一

minkabu PRESS編集部 株式情報担当編集長 中村潤一

●理論と感性の挟間で孤独と戯れる

 「友なきほうへ行け」という相場格言があります。人と同じ方向に視線を合わせていては、そこに果実は落ちていないというのが投資の本質。早い者順で、駆け寄った時には既に誰か他の人に拾われてしまっているというのがオチです。かといって大勢に背を向けて真逆の方向に突き進めばいいというものでもありません。株式投資の世界では、見えないけれど資金の流れを支配する一定の秩序が存在している。それを無視して勝利はおぼつかないのです。皆が次の瞬間、一斉に顔を向けそうな方向を、半歩早く感じとることが理想には違いありません。

 もちろん“言うは易く行うは難し”で、そこを目指すにあたっては孤独な試行錯誤の繰り返しとなります。しかし、右往左往する思考の先にこそ相場の醍醐味があるのです。

 投資家が相場と対峙する際に求められる要素は、ひとことで言えば孤独と戯れる器量と言えるかもしれません。理論と感性の挟間でさまよい、呻吟(しんぎん)して孤独のなかで結論を出す。いかなる理論も最強のツールとはなり得ないし、他方、卓越した感性もしばしば誤った方角へと誘導する。一つ言えることは結果のすべてが自己に帰結するということです。その厳しい現実と遊べるかどうかが、強い投資家としての資質といえるのではないでしょうか。

●三つ巴で“安倍有利”のシナリオ固まる

 さて、東京株式市場はいきなりの選挙モードで戸惑いもあるとはいえ、思った以上に強い地合いを見せつけています。米トランプ政権からのサジェスチョンはあったかもしれませんが、安倍首相の英断は政権基盤を強化するタイミングとしては最高、当初は先行逃げ切りで与党大勝のムードが漂いました。

 ところが、その後に小池東京都知事が「希望の党」を立ち上げ、小泉元首相のエールなどと相まって、にわかに安倍陣営に暗雲が垂れ込める状況に。したたかに準備は進められていたようです。しかし、事実上の解党で活路を開こうとした民進党を「選別・排除」で対応するとした小池陣営も無傷というわけには行きませんでした。民進左派の反感を買い、化学反応で「立憲民主党」が組成され、結局三つ巴の戦いの構図となったことは、安倍首相の運の強さを暗示しています。小池新党はスポットライトを浴びながらも、民進党の政党交付金に絡む思惑や、懐刀であった都議の離反など影の部分も見え隠れします。票が割れるのであればやはり安倍有利の構図は動かない、というのが今のマーケットの認識となっています。

 そのパワーバランスのバロメーターとなったのが、東京電力ホールディングス <9501> を筆頭とする電力株の動向です。前週(9月最終週)後半は希望の党が“原発ゼロ”を掲げていることから、各電力株は軒並み急落しセクター別でも断トツの値下がりトップに売り込まれる状況を強いられましたが、前日(3日)には踵を返すように一斉に買い戻される展開となりました。小池都知事に予想外のカウンターパンチを食らって足もとはグラついたけれど、「やはり安倍政権は安泰で、少なくとも過半数割れで安倍首相退陣などという可能性はなくなった」と株式市場が判断している、ということになります。

●強烈だった海外マネーの買い戻し

 前回配信の当コーナー「テンバガー宝庫! 量子コンピューター関連」の冒頭でも触れましたが、リスクオンのスイッチを押したのは、ほかならぬ海外マネーであり、具体的に外国人投資家は9月第2週、第3週合計で先物を2兆1000億円強買い越しました。同期間に現物株を5000億円弱売り越していますが、これは外資系証券が、配当課税に絡み海外から国内に裁定取引の持ち高を移管する決算期末特有のクロス取引を行った影響が反映されたもので、実態は差し引きで大量の日本株買いに動いた2週間と考えてよいでしょう。ショートカバー主導とはいっても外国人投資家の買い転換は、イメージ通り選挙モードの市場とシナジーを生みそうです。

●次に「急騰当確ランプ」が灯る銘柄は?

 こうなると、過去の総選挙において投開票日までの1ヵ月間は相場が上昇するという鉄板アノマリーが生きてくる状況となります。9月23日配信の株探トップ特集『黄金セオリー“選挙は買い”、新アベノミクス「急騰当確ランプ」10銘柄』では、その全体底上げの動きに乗って高パフォーマンスを上げる公算が大きい銘柄を選別、直近は調整局面にあるとはいえ、京進 <4735> [東証2]やユビキタス <3858> [JQ]などをはじめ期待通りの急騰力を発揮しました。意外性に富む銘柄でありながら、言われてみれば“なるほど”と感じさせるような蓋然性があることが株価を突き動かす原動力であり、紹介した10銘柄はその条件を満たした銘柄リストであったことが窺われます。

 中小型株を中心とした個別テーマ株の物色意欲は旺盛です。10月22日の投開票までは選挙がもたらす新たな潮流を株式市場は歓迎するかたちで、強調展開が期待できそうです。目先は2015年6月の“アベノミクス高値”とされる2万868円をいつクリアするかにマーケットの視線が集まっていますが、今は全体指数を追う相場ではありません。まさに「急騰当確ランプ」が点灯するような銘柄が相次ぐ地合いにあって、個別に焦点を絞るのが時宜を得た投資戦略といえるでしょう。

◆王道成長株のレーザーテックは材料多彩

 まず、王道銘柄としてマークしたいのはレーザーテック <6920> 。半導体向けマスク関連装置などを中心に製造装置を手掛け、有機EL向けにも積極展開しており、メーカーが有機EL分野の設備投資を加速させる状況のなか恩恵を享受しています。また、超微細加工技術であるレーザー技術は量子コンピューター開発などへの応用も可能と考えられ、現在市場を賑わせている量子コンピューター関連株の切り口でも注目されます。

◆santecは量子コンピューター分野で思惑

 また、光通信用デバイスの製造販売を展開するsantec <6777> [JQ]も上値余地が大きいと思われます。業績は凄まじい勢いで伸びており、17年3月期営業利益が前期比倍増、18年3月期も2ケタ増益が有望視されますが、会社側が計画する営業利益7億1000万円(前期比11.8%増)は増額余地が大きそうです。光子を扱う同社の高技術力は量子コンピューター分野の研究開発でも力を発揮する可能性を内包しています。

◆仮想通貨関連の超新星となるかIXナレッジ

 一方、ここ仮想通貨関連株の一角も動意含み。金融庁が29日に仮想通貨と法定通貨の交換サービスを展開できる仮想通貨交換事業者として11社を登録したことで、法制面の整備が進むとの思惑や、直近では米大手メディアが、ゴールドマン・サックスが仮想通貨に特化した新たなトレーディング・オペレーションを検討していると報じたことで風雲急の気配を漂わせています。

 そのなか、シンワアートオークション <2437> [JQ]など一捻り加えた関連銘柄が急速人気化しています。そこで、穴株としてマークしたいのはアイエックス・ナレッジ <9753> [JQ]。独立系のシステム開発会社でメガバンクの金融システムを手掛けるほか、ブロックチェーン新技術の研究にも踏み込んでいます。みずほフィナンシャルグループ <8411> の「Jコイン」創設でも商機を得る公算が大きく、株価面でも上値余地が意識されそうです。

◆ジンズメイトはシンワアート連動で注目

 また、タイミング的に注目されるのは夏場にシンワアートと連動するように大相場を出したジーンズメイト <7448> 。同社株が動けば、他のライザップ関連株も触発されて動く公算が大きくなります。ぱど <4833> [JQG]、パスポート <7577> [JQ]、夢展望 <3185> [東証M]なども合わせて見ておきたいところです。

◆BBTはわずか7日間で株価4倍化の実績あり

 また、国策関連で見落とされている銘柄ではビジネス・ブレークスルー <2464> に注目です。社会人向けに通信教育などを展開している企業で、かつて都知事選にも出馬したことのある大前研一氏が代表を務め筆頭株主でもあります。幼児教育分野にも積極的に経営資源を投下しており、教育無償化関連のテーマと並行して存在感を高めていく可能性が高いでしょう。2015年4月24日~5月8日にかけて6連続ストップ高を交え7営業日で300円未満の株価を1168円まで大暴騰させた実績があります。

◆半導体テーマ買い復活で栄電子に再度出番

 栄電子 <7567> [JQ]は7月26日配信の当コーナー「2部&ジャスダック選抜“爆騰”機械株に照準」で取り上げた銘柄ですが、再び動意含みです。同社は半導体製造装置向け電子部品などを手掛ける電子デバイス商社であり、業績は絶好調で18年3月期は増配の計画。PERやPBRなど株価指標面で極めて割安感が強いのが特長です。半導体関連は米国株市場で再び勢いを増しており、東京市場でもこれに追随する形で半導体やその周辺株が見直される流れが予想されます。

◆食料自給率拡大政策で居どころ変えるタカキタ

 このほか値の軽いところでは、農業機械を製造するタカキタ <6325> も国策銘柄のひとつ。日本の食料自給率は40%を切る状況で、今後これを徐々に高めていく方針を政府は打ち出しています。同社は家畜飼料用農作機械で高実績を持ち、新開発製品では85パーセントを超える労働力削減効果を実現し、労働力不足に対応しています。クボタ <6326> やヤンマー、井関農機 <6310> が大株主に入るなど3社と提携関係にあることもポイント。今後、需要拡大が見込まれている中国市場の開拓でも業容拡大が期待されます。

 最後に、北朝鮮を巡る地政学リスクだけは、国内外で好調な経済ファンダメンタルズとは別次元のネガティブ材料として留意しておく必要があります。衆院選の公示日と北朝鮮の朝鮮労働党の創立記念日が10月10日で合致。この日に前後して、例えば潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の実験が行われた場合、全体相場が影響を受けないということは考えにくいところです。ただし、繰り返しになりますが、短期的な波乱であって大勢トレンドを揺るがす類いの材料ではないのです。あくまで前向きに、その時に買い出動できるキャッシュポジションを維持しておくことは大切だと思います。

(10月4日記、隔週水曜日掲載)

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