【特集】黄金セオリー“選挙は買い”、新アベノミクス「急騰当確ランプ」10銘柄 <株探トップ特集>
京進 <日足> 「株探」多機能チャートより
―必勝を目指した必然の解散が“買い気”に火、政策に乗る中小型材料株で大魚を得る―
「兵法を知り、時を読み、人の和をなす」――。中国故事に倣いこれが戦いに勝つための条件であるとするなら、安倍晋三首相が英断した今回の解散・総選挙はこの黄金セオリーに忠実であったといえるのではないか。
安倍首相は28日召集の臨時国会冒頭に衆院を解散する意向を固め、10月10日公示、22日投開票の日程で総選挙が行われる見通しとなった。3連休明けとなった9月第3週の火曜日(19日)、突然の解散風に株式市場も色めき立った。
過去の経験則では「選挙」は相場が好む「変化」であって、投資マネーを引き寄せることが多い。安倍首相は2019年10月の消費税引き上げを予定通り行う方針とみられ、その増税分を教育無償化や社会保障制度の見直しにあてることを自民党の公約に盛り込む方針とみられている。野党が腰砕け状態のなか、現段階では小池都知事を担いだ若狭・細野連合の都民ファースト系新党も候補者擁立で苦戦するのは必至である。安倍政権が基盤を強化するなら今しかない。「大義なき解散」「政権維持のための解散」などと揶揄されるのは承知のうえ、安倍首相のここでの踏み込みは必然のタイミングともいえた。
●鉄板アノマリーに乗らない理由なし
株式市場に目を向ければ、外国人投資家が買い主体となり、全体指数が大きく居どころを変えたケースは少なくない。過去20年あまり遡っても、解散・総選挙は96年10月の自民党・橋本政権時に行われた解散から直近の14年12月の“アベノミクス解散”まで計7回行われたうち、選挙投開票日までの1ヵ月間の比較で日経平均株価がマイナスとなったのはわずかに1度だけ。選挙後はその反動から値を下げることが多いものの、今の時期であれば、ほぼ鉄板アノマリーと言っていいほど「選挙はカイ」なのだ。
今回もそうしたイメージが投資家の脳裏に刻まれていたのか否か、日経平均株価は3連休明けの19日にマドを開けて急騰、2万円ラインを突破して2年1ヵ月ぶりの高値圏に浮上した。その後も週末22日こそ上昇一服となったが、週を通じて見れば利益確定売りを吸収し、2万200円台をキープするなど、買い意欲の強さを浮き彫りにしている。
●上値余地が一気に顕在化する中小型材料株とは?
選挙に向けた自民党の政権公約骨子は(1)アベノミクスの推進(2)教育無償化など「ひとづくり革命」(3)働き方改革(4)北朝鮮対応(5)憲法改正、の5本柱だ。国策に売りなしというが、株式市場でもこれらの政策を意識しながら有望株を探る動きが出てくることが予想される。
日経平均株価は2万円大台を大きく回復し、当面は“アベノミクス高値”である2015年6月の2万868円を視野に入れて上値を目指すことになる。ただ、リスクオン相場の本当の勝者は値動きの軽い中小型材料株の一群だ。主力株の買いが一巡したあとは、再び時価総額の比較的小さい銘柄に資金が向かう可能性は高い。別掲の10銘柄は安倍政権の政策路線に乗る材料株を抽出したもの。その潜在的な上値余地が開花する瞬間を捉えてみたい。
【京進は教育無償化と介護分野で活躍本番】
京進 <4735> [東証2]は私立中高入試対策を主力に、京都、滋賀、大阪、奈良、愛知などを中心として学習塾を展開する。幼児も対象に集合授業や、個別指導、英会話など各個人に合わせた学習方法で成果を出す。教育無償化 で注目されるとともに、介護事業にも展開しており成長期待は高い。18年5月期経常利益は23%増の5億1600万円を見込む。株価は昨年秋口以降大きく水準を切り上げているが、2005年以来の高値圏で戻り売り圧力のない実質青空圏。時価総額60億円前後で上値は軽い。
【量子コンピューター分野の知見でユビキタス】
ユビキタス <3858> [JQ]は安倍政権が開発・導入に積極的な量子コンピューター関連の有力株として注目。量子コンピューターはこれまの「01」の概念から離れた次世代コンピューターで、スーパーコンピューターでは何千年も要する演算をわずか数時間で完結するとされており、民間でも大手製造業中心に導入の動きが活発化している。そのなか、同社は米オンボード・セキュリティと量子コンピューター向け公開鍵暗号技術(NTRU)の国内販売総代理店契約を締結するなど連携しており、ユビキタスのセキュリティー分野の知見と技術力が同分野で生かされる可能性が高い。
【日本コンピュータは爆発的な上昇力を内包】
日本コンピュータ・ダイナミクス <4783> [JQ]はシステム開発と運営のほか駐輪場管理システムも手掛ける。都市再開発の動きが活発化するなか、駐輪場の運営システムが好調で18年3月期は経常利益6億円と前期比8割増の伸びを示す見通し。安倍政権は「シェアサイクル」などの自転車活用の推進を計画しており、同社にとって追い風が強い。2015年にはデータ処理・検索などを高速化させるシステムへの取り組みを材料に300円台の株価をわずか1ヵ月で4280円まで大化けさせた経緯があり、その急騰力は特筆に値する。
【アウンはインバウンド関連で動意気配に】
アウンコンサルティング <2459> [東証2]はインターネットの検索エンジンマーケティングを展開、時流を映したインバウンド向け多言語広告で業績を伸ばしている。訪日外客数の拡大は安倍政権が推進する成長戦略の取り組みでも中心軸にあり、同社には中期的な追い風が吹いている。国内にとどまらず海外にも積極的で、グローバルコンサルティング事業も収益を後押ししている。
【3Dスキャナーのパルステックは高ROEの低位株】
パルステック工業 <6894> [東証2]は光ディスク機器の検査・評価装置などを手掛け、3次元スキャナーなども展開し技術力が高い。電子技術を活用したヘルスケア、新規医療関連としてマークが強まる可能性がある。18年3月期は減益見通しも復配の可能性を内包している。低PERで、株価低位のイメージとかけ離れた16%を超える高ROEも評価。
【オリジン電はリチウム電池関連の隠れ有望株】
オリジン電気 <6513> は電源機器を手掛け、高電圧電源で実力を発揮する。世界的な電気自動車(EV)シフトを背景にリチウムイオン電池の需要が急増している。そのなか、同社は充放電兼用のリチウムイオン電池電源システムを展開しており、関連有力株に位置づけられる。また、同社は放射線遮断塗料で特許を有しており、防衛関連株としてはEMP攻撃への対応などでその技術力に思惑がある。
【追い風不動産セクターで要注目の新日建物】
新日本建物 <8893> [JQ]は首都圏でマンション・戸建て分譲事業を展開。事業再生ADRを活用し経営再建に成功しており、17年3月期に復配し時価予想配当利回りは2%を超える。日銀の黒田総裁は先の金融政策決定会合後の記者会見で「強力な金融緩和を粘り強く続けていく」ことを表明、不動産株には改めてフォローの風が強まっており、低位で出遅れる同社株は要注目となる。空き家対策や民泊など国土交通省が本格的に取り組む構えをみせており、これもプラス材料となる。時価総額50億円未満と小型であり、人気化すれば足は速そうだ。
【電子政府の一翼を担うクロスキャット】
クロスキャット <2307> [JQ]はクレジット向けシステムに強みを持つソフト受託開発会社。安倍政権の新IT戦略の柱である「電子政府」実現に向け、その一翼を担う。ブロックチェーン技術を持つカウラ社(東京都千代田区)と協業、金融システムの強化に余念がない。業績も増収増益基調が続いており、18年3月期は営業2割増益見通し。
【アトラエはAI活用で「働き方改革」に商機】
アトラエ <6194> [東証M]は安倍政権が掲げる「働き方改革」で商機が広がる公算が大きい。成功報酬型の求人サイト「Green」を運営しており、人工知能(AI)やビッグデータ解析技術を活用した求職者と企業のマッチングが同社のセールスポイントだ。業績は絶好調で17年9月期営業利益4億9100万円はさらに上乗せされる可能性がある。株価は9月中旬以降、調整がきつくなっているが、7000円割れは値ごろ感がある。
【桜ゴムは防衛関連の穴株で中期的上値余地も大】
桜ゴム <5189> [東証2]はゴムホースの大手企業で防衛関連としての側面が強い。航空自衛隊、ボーイング社などの認定工場となっており、その実力は高く評価され、高技術力を背景に航空宇宙関連分野での展開力にも期待がかかる。売買高を伴わないため注目されにくいが、株価は8月に早々に上昇相場のスタートを切り、8月10日以降は25日移動平均線に一度も触れることなく強力な上昇波動を継続している。株価指標面からも割安で中長期的にも上値余地を内包している。
◇アベノミクス復活で点火! 怒涛の材料株10連弾◇
中期的
銘柄 <コード> 急騰性 上値余地
クロスキャト <2307> [JQ] ☆☆☆ ◆◆◆◆
アウン <2459> [東証2] ☆☆☆ ◆◆◆
ユビキタ <3858> [JQ] ☆☆☆☆ ◆◆◆
京進 <4735> [東証2] ☆☆☆☆☆ ◆◆◆◆
日ダイナミク <4783> [JQ] ☆☆☆☆☆ ◆◆◆◆
桜ゴム <5189> [東証2] ☆☆☆ ◆◆◆◆◆
アトラエ <6194> [東証M] ☆☆☆ ◆◆◆
オリジン <6513> ☆☆☆☆ ◆◆◆◆
パルステック <6894> [東証2] ☆☆☆☆ ◆◆◆
新日建物 <8893> [JQ] ☆☆☆ ◆◆◆◆
※急騰性は☆が多いほど強く、中期的上値余地は◆が多いほど大きい。
株探ニュース