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【特集】株価「天井知らず伝説」、FA関連“激烈”外国人買いで上がる株 <株探トップ特集>

キーエンス <日足> 「株探」多機能チャートより

―キーエンス、ダイフク、安川電…空前のFA需要、最高値続出ステージいつまで―

 工場の自動化を進めるFA(ファクトリー・オートメーション)関連株の上昇が市場関係者の熱い視線を集めている。年初から強烈な右肩上がり相場を演じるキーエンス <6861> やSMC <6273> が、その代表株。中国などでの省力化投資の本格化や日本の「働き方改革」により、業績の拡大基調が続くとの見方がもっぱらだ。FA関連株には外国人投資家が実弾買いを入れているとみられており、その基調の強さからは「日本版FANG」と呼ぶ声も出ている。

●キーエンスの時価総額は7兆円に、FA株に最高値続出

 FA関連株人気が続いている。なかでも、際立った強さを見せつけているのがキーエンスだ。同社はFA用センサーの大手で売上高営業利益率は50%前後の高収益企業として知られる。株価は昨年1月末から2倍強に急騰し上場来高値を快走中。時価総額は7兆円超に膨らみ全上場企業中、8位まで駆け上がった。製造業では、トヨタ自動車 <7203> に次ぐ存在となり、ソニー <6758> やホンダ <7267> 、キヤノン <7751> をも凌駕している。

 また、同様にFA関連では空気圧機器トップのSMC <6273> の株価も同じく昨年1月末から5割近い上昇。昨年末の空売りファンドによる売り推奨も尻目に上昇相場を演じている。さらに、ロボットの安川電機 <6506> 、保管・搬送システムの世界的企業ダイフク <6383> といったFA関連の大手企業は軒並み上場来高値を更新中だ。

 では、いまなぜFA株なのか。足もとの投資環境は「世界の機械需要サイクルは上向き傾向にある」(アナリスト)といい、機械株は上昇が見込める状況にある。特に、中国では人件費が高騰するなか、FA需要が本格化しつつあるとみられている。さらに、FA関連株には「日本の働き方改革も業績拡大の追い風になりそうだ」(アナリスト)という。

●先進国に加え中国も生産コスト上昇、FA機器導入が必須に

 働き方改革では、日本の生産現場での残業が抑えられることが予想される。その分を ロボット センサーなどFA機器を活用し自動生産ラインを構築することで、工場や倉庫などの現場の自動化を進め人員減分を埋め合わせることが見込まれる。また、先進国に加え中国など新興国の人件費が上昇するなかFA機器を導入しコスト削減を図る動きは、強まるばかりだ。そんななか、世界的にみてFA技術で強みを持つ、キーエンスやSMC、安川電など日本企業が注目を浴びるのは当然の流れともみられる。

●好実態を背景にプロ投資家による集中物色続く

 あるファンドマネジャーは「キーエンスやSMC、それにダイフク、安川電などの上昇は、米国の“FANG株”の上昇を彷彿させる」という。FANG株とはフェイスブック、アマゾン・ドット・コム、ネットフリックス、グーグル(アルファベット)の略称。その株価上昇が世界の投資家の関心の的となっているが、「好実態を背景に、国内外の機関投資家が集中的に買いを入れている点で、日本のFA関連株と米国のFANGには共通性がある」と指摘する。

 今後のFA関連株の見通しに関しては、「現在の低金利状態に大きな変化がなければ一段の上昇が見込めるだろう」(前出のファンドマネジャー)とも予測する。「米国の長期金利が上昇基調を強めれば、割安に放置されているバリュー株に物色の矛先が移るが、現状のままなら行き場のない資金がFA関連株に集中する」ともみられる。

●ハーモニック、シンフォニア、富士機などに一段高期待

 こうしたなか、キーエンスやSMC、それにファナック <6954> といった値がさ株が先導する格好で、安川電、ダイフクなどの上昇は継続しそうだ。産業用ロボット向け減速機の需要拡大でハーモニック・ドライブ・システムズ <6324> [JQ]もさらなる新値追いが期待できる。シーイーシー <9692> は製造業の「スマート工場」化が追い風となる。

 また、ロボット関連では川田テクノロジーズ <3443> が注目されるほか、FA・金型部品を手掛けるミスミグループ本社 <9962> 、半導体搬送などに加え制御機器を展開するシンフォニア テクノロジー <6507> 、電子部品実装ロボットが伸び業績を増額修正した富士機械製造 <6134> など注目だ。また、幅広く設備投資関連も注目でき、牧野フライス製作所 <6135> やソディック <6143> などの工作機械株のほか金型関連のパンチ工業 <6165> などにも投資妙味が膨らんでいる。

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