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【特集】田部井美彦氏【日経平均、1万7000円台回復! 上値追いの行方】(3) <相場観特集>

田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)

―米9月利上げは? 市場シナリオを徹底検証―

 5日の東京株式市場は、日経平均株価終値が、前週末比111円95銭高の1万7037円63銭と反発。終値では5月31日以来約3ヵ月ぶりに1万7000円台を回復した。前週末2日に発表された米8月雇用統計の内容が市場想定を下回り、9月の米追加利上げが遠退いたとの受け止めが広がったものの、予想に反して外国為替市場で円高・ドル安が進行しなかったことが買い安心感につながったようだ。3ヵ月ぶりに1万7000円台を回復した東京株式市場の今後の展開について、第一線の市場関係者に聞いた。

●「米景気は強調推移で円安・ドル高は持続へ」

田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)

 5日の東京株式市場で、日経平均株価が終値では5月31日以来約3ヵ月ぶりに1万7000円台を回復した。前週に発表された米8月雇用統計で、非農業部門の雇用者数の伸びが前月比で15万1000人増と、市場予想の18万人程度を下回ったが、米雇用統計の8月は過去にも市場予想を下回るケースが多く、景気自体の基調は強いと判断できそうだ。したがって、実現性はやや遠退いたものの、“9月利上げ含み”の推移で円安・ドル高基調は継続しそうだ。

 一方、9月の日銀金融政策決定会合は、「総括的な検証」の内容が公表されるものの、これを踏まえて、直ちに追加的な金融緩和に踏み切る可能性は少ないのではないか。今後1ヵ月程度の日経平均株価は、一時的に1万7000円台を割り込む場面は想定されるものの、概ね1万7000円台固めの推移となりそうだ。

 個別銘柄では、まずコマツ <6301> に注目。市場では“中国関連銘柄”との見方が定着しているが、“鉱山開発関連”として見直したい。インドネシア、豪州で石炭、鉄鉱石などの鉱山開発が広がりをみせており、同社の鉱山開発関連機械の需要増加が見込まれる。

 また、自動車用ランプ大手のスタンレー電気 <6923> に注目。自動車のヘッドランプやテールランプの発光ダイオード(LED)採用が本格化するなかで、中級車以下にも対象範囲が広がり、同社のLEDランプを採用する車種が、一気に拡大をみせている。数量の増加に伴い、採算の改善も進み増益に拍車が掛かりそうだ。

 液晶カラーフィルター用塗布装置で世界シェアトップを占めるタツモ <6266> [JQ]は、半導体製造装置や液晶カラーフィルター製造装置などのコストダウンに成果が表れ始めていることや、比較的利益率の高いメンテナンス・装置改造の売り上げが増加している。今後、3D関連VR(バーチャルリアリティー)関連の需要拡大も期待できそうだ。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(たべい・よしひこ)
内藤証券シニアアナリスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。

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