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【特集】西川雅博氏【日経平均、1万7000円台回復! 上値追いの行方】(2) <相場観特集>

西川雅博氏(光世証券 執行役員)

―米9月利上げは? 市場シナリオを徹底検証―

 5日の東京株式市場は、日経平均株価終値が、前週末比111円95銭高の1万7037円63銭と反発。終値では5月31日以来約3ヵ月ぶりに1万7000円台を回復した。前週末2日に発表された米8月雇用統計の内容が市場想定を下回り、9月の米追加利上げが遠退いたとの受け止めが広がったものの、予想に反して外国為替市場で円高・ドル安が進行しなかったことが買い安心感につながったようだ。3ヵ月ぶりに1万7000円台を回復した東京株式市場の今後の展開について、第一線の市場関係者に聞いた。

●「方向感に欠ける膠着相場から上抜ける動き」

西川雅博氏(光世証券 執行役員)

 前週末に発表された8月の米国雇用統計は市場コンセンサスにやや及ばない結果であった。許容範囲であったことや前月分が上方修正されたこともあり、9月利上げの可能性については見方が分かれている。ただ、強弱感が対立して不透明感が増すのではなく、インフレなき持続的成長に向けマーケットにとっては居心地のいい状況と言える。

 9月が見送られた場合は、むしろ12月利上げの可能性が高まるとの予想が大方であろう。米国景気の腰折れから円高が一気に進む懸念が薄らぎ、日本株にとっては好感する反応につながっている。日経平均は3ヵ月振りの1万7000円台を付けるなど、方向感に欠ける膠着相場から上抜ける動きを見せており、新しい上昇トレンド入りの可能性も出てきた。

 ここにきて、先物市場では裁定買い残が低迷するなか、裁定売り残が増加する動きが見られた。8月26日現在で裁定買い残6080億円に対して裁定売り残は5810億円である。足もとはさらに売り残が増加した可能性もあり、裁定解消の需給はこれまでとは逆に働きそうだ。

 物色動向では 銀行株の株価上昇と売買高増加が目立っている。1月のマイナス金利導入直後からの急落を経て、長らく低迷していたが、ようやく本格反騰の動きである。9月の政策決定会合においてマイナス金利の掘り下げを取り沙汰する向きもあるが、今回はむしろカードを切らないことがマーケットポジティブとのコンセンサスであろう。テクニカル的にも、銀行株指数が2月安値と7月安値のダブルボトムを確認する4月中間高値をキャッチアップしてきたことは要注目である。銀行株の上昇がTOPIX型中低位株の底上げにもつながることも想定していいだろう。9月の高配当銘柄に加えて個別では三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> に注目。

(聞き手・加藤智)

<プロフィール>(にしかわ・まさひろ)
1960年奈良県生まれ。1982年早稲田大学政治経済学部卒、大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当。

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