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3328 BEENOS

東証P
2,065円
前日比
-13
-0.63%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
16.1 2.06 1.31 2.45
時価総額 267億円
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決算発表予定日

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BEENOS Research Memo(4):クロスボーダー部門とバリューサイクル部門が収益拡大のけん引役に


■BEENOS<3328>の業績動向

2. 事業セグメント別の動向
(1) クロスボーダー部門
2017年9月期のクロスボーダー部門の流通総額は前期比1.1%減の21,326百万円、売上高は同8.2%増の4,153百万円、営業利益は同158.6%増の673百万円と過去最高業績を更新した。

a) 海外転送・代理購入事業
海外転送・代理購入事業は流通額が前期比1.9%減の16,943百万円と若干ながら減少したものの、売上高は同10.6%増の2,994百万円と好調に推移した。流通総額は期の前半が前年同期よりも円高で推移したことが影響して減少に転じたが、1成約件数当たり収入額の大きいBuyeeの流通額構成比が前期の60%から70%へ上昇したことが増収要因となった。Buyeeでは商品代金の決済手数料が含まれるほか配送保証・検品サービスなどの付帯サービスもあり、転送代理サービスと比較してTake Rate(売上高÷流通総額)が高くなる。Take Rateの四半期推移を見ると、2016年9月期第1四半期の15.2%から2017年9月期第4四半期は18.3%まで上昇しているが、これはBuyeeの構成比が上昇したことによるものだ。利益面では、Take Rateの上昇による増収効果が寄与して、クロスボーダー部門の増益部分の大半を占めたと見られる。

同社では流通額を拡大するために、国内での提携パートナーの拡充を進めており、2017年9月末時点での連携サイト数では前期末の1,420サイトから1,690サイトへと拡大している。また、国外での認知度向上を図るための台湾でのイベント出展や大手クレジットカード企業との連携、香港での大手銀行との連携などPR強化も進めており、この結果、発送国別の流通額構成比についても中国向け比率が2015年9月期の36%から2016年9月期は25%、2017年9月期は19%と年々低下しており、中国向けの商流に影響されないサービス網の構築も順調に進んだと言える。

b) グローバルショッピング事業
一方、グローバルショッピング事業は流通額が前期比2.2%増の4,378百万円、売上高が同2.5%増の1,156百万円となった。Webサイト「sekaimon」のユーザビリティ向上に取り組んだほか、2017年6月より要望の強かったカナダの商品(ウインタースポーツ用品やアウトドア用品等)の一部取扱いを開始したことも流通額の増加に寄与した。Webサイトについては独自開発したレコメンデーション機能やパーソナライズ機能の活用により、個々のユーザーに対して適確な商品情報を提供できるようになったほか、購入の意思決定をする際に重要な要素となる配送料金等の付帯費用の概算見積を確認できるようにするなどUIの見直しを実施した。利益面では、米国での倉庫作業の内製化、及びフォワーダー(国際輸送業者)の変更を実施するなどのコスト削減を進めたことが増益に寄与している。ただ、期後半だけで見ると為替が前年同期比で円安で推移したこともあり、伸び悩む傾向となっている。

(2) バリューサイクル部門
2017年9月期のバリューサイクル部門の売上高は前期比9.2%増の10,514百万円(流通総額も売上高と同じ)、営業利益は同36.0%増の439百万円とほぼ会社計画どおりの着地となり、過去最高業績を連続で更新した。テレビCM等のプロモーション費用を継続的に投下し買取件数が拡大したほか、販売面では従来の1販路依存構造から脱却し、自社販路や海外販路への転換が順調に進んだこと、並びに出品業務のアウトソース化(在宅ワークの活用)の推進による人件費の抑制が進んだことが利益率の上昇につながった。

自社販路比率については2016年9月期の10%台から2017年9月期は約20%に上昇し、販売手数料の圧縮に寄与したほか、低単価アパレル商材でも利益を出せる体制を構築できたことが大きい。また、海外販路についてはebay向け出品ツールを独自開発し、本格的に商品の掲載を始めたことで、海外売上高が2016年9月期の1%弱から2017年9月期は2.9%まで上昇した。まだ比率は低いものの今後も更なる上昇が見込まれる。

(3) リテール・ライセンス部門
2017年9月期のリテール・ライセンス部門の流通総額は前期比2.0%増の10,538百万円、売上高は同11.2%増の5,067百万円、営業利益は同64.3%減の56百万円となった。流通総額よりも売上高の伸びが高くなっているのは、イベント会場や小売店などリアル店舗での商品販売が伸びたことが要因となっている。

商品プロデュース・ライセンス事業では、人気アイドルグループのECサイトあるいはイベント会場でのグッズ販売が増加したほか、マスターライセンスを保有する人気ブランド「ECONECO(エコネコ)」に関して、台湾の日系百貨店でもトライアル販売を開始するなど好調に推移した。また、コラボレーション企画として商品開発した「ポケモンフェイスパック」もインバウンド需要を取り込み、1ヶ月で6万枚売れるヒット商品となるなど増収に寄与した。なお、2016年12月末に子会社化したSWATiは、新たなブランドコンセプトのオフィシャルサイトとECサイトを2017年8月に開設しており、現在はリブランディングを進めている段階にある。

一方、ネットショッピング事業についてはファッション・美容関連のオリジナル商品の開発や販売強化に注力したものの、買取商品の在庫消化により粗利益率が低下し、売上高では前期比21%減の24億円、営業損失も前期より若干拡大し数千万円規模となった。なお、同事業を手掛けるネットプライスの全株式について2017年12月1日付で、オークファンに売却することを決定している。

(4) インキュベーション事業
2017年9月期のインキュベーション事業の売上高は前期比18.7%減の977百万円、営業利益は同4.6%減の737百万円となった。当第4四半期に海外未上場有価証券1銘柄の売却を行ったことで、売上高954百万円、営業利益921百万円を計上したが、その他営業投資有価証券の引当金及び評価損を計上したことなどにより営業利益は減益となっている。

なお、当期は新たに国内で民泊ホスト向け一括管理ツール等を展開するメトロエンジン(株)(2016年10月設立)、商品のバーコードをスキャンすることでユーザーの使用言語に合わせて商品情報をスマートフォン上に表示するアプリを提供する(株)Payke(2014年11月設立)、インバウンド客向け無料SIMの配布や観光案内アプリを提供するWAmazing(株)(2016年7月設立)等のインバウンド関連企業に出資したほか、海外ではバングラデシュでモバイル決済サービスを展開しているSureCashなどに出資した。期末の営業投資有価証券は前期末比963百万円増の2,568百万円となっており、増減要因の内訳を見ると新規投資で951百万円、円安効果で185百万円の増加要因となり、株式売却で25百万円、引当・評価損の計上で148百万円の減少要因となっている。

同社の出資先企業は、インターネット市場が急拡大しているインドや東南アジアなどのネットベンチャー企業、日米のスタートアップ企業などが中心となっている。出資先企業の中ではインドネシアのTokopediaが時価総額で1,000億円規模と言われ、インドで「Shop Clues」を運営するClues Networkも1,000億円を超える時価総額に成長している。同様に、インドでオンライン自動車販売を展開しているDroomも急成長中で、現在は数百億円規模の価値になっており早晩1,000億円を超えるのは間違いないと見られる。また、米国で食料品の買物支援サービスを展開するInstacartについては出資比率が1%未満と少額なものの、現在は34億ドルの企業価値になっている。今後は、これら投資先企業の株式を売却し、新たな投資先への出資資金あるいは新規事業や既存事業への投資資金として活用していく戦略となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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