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4725 CAC

東証P
1,685円
前日比
-7
-0.41%
PTS
1,690.5円
13:04 12/18
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
0.84 4.75 87.75
時価総額 346億円
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CACHD Research Memo(1):既存事業は国内IT、海外ITともに順調に進捗


■要約

1. 会社概要と事業内容
CAC Holdings<4725>は、1966年8月設立の日本国内ではパイオニア的な独立系ソフトウェア専門会社として事業をスタートし、積極的なM&A戦略をテコに事業領域を拡大してきた。2021年6月、CRO事業(製薬企業が医薬品開発時に行う治験業務や製造販売後の業務の受託・代行サービス)を担っていた連結子会社(株)CACクロア(現 イーピーエス(株))の譲渡に踏み切り、現在は国内外でのIT事業に経営資源を集中する企業グループ(持株会社傘下の連結子会社20社、持分法適用関連会社3社が事業展開、グループ従業員数4,447名。すべて2023年12月末時点)を形成している。

2022年12月期からの報告セグメントは、国内IT事業(国内子会社におけるシステム構築サービス・システム運用管理サービス・人事BPOサービスなどの提供)と海外IT事業(海外子会社におけるシステム構築サービス・システム運用管理サービス・保守サービスなどの提供)の2つで構成されている。

2. 2023年12月期の業績概要
2023年12月期の連結業績は、売上高が前期比5.4%増の50,539百万円、営業利益が同4.4%増の3,327百万円、経常利益が同1.3%減の3,118百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同18.1%増の2,473百万円となった。期初予想(売上高50,000百万円(同4.2%増)、営業利益3,300百万円(同3.5%増)、経常利益3,200百万円(同1.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,200百万円(同5.1%増))に対しては、国内IT事業における子会社1社の連結除外の影響はあったものの、インド子会社の金融向け大型案件や為替の円安進行等により、売上高及び営業利益は計画を達成した。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益を特別利益に計上したことから、計画を上回って着地した。自己資本比率は前期末の64.7%から65.8%、ネットキャッシュ(現金及び預金-有利子負債(プラスはキャッシュ超過))は同9,885百万円から8,563百万円へと減少したが、固定資産に含まれる投資有価証券17,508百万円も加えた広義のネットキャッシュは依然として26,071百万円と高水準だ。これは2024年3月8日時点の同社時価総額37,570百万円の69.4%を占めるまでに至っており、株主還元のさらなる強化、M&Aや新規事業創出などの成長投資加速などの具体的な戦略が待たれる。

3. 2024年12月期の業績見通し
同社では2024年12月期よりグループの重要な経営指標の1つとして、事業から創出するキャッシュの実力を示す「調整後EBITDA」を採択することとした。連結業績予想は「売上高」と「調整後EBITDA」を開示、参考値として「営業利益」と「親会社株主に帰属する当期純利益」を開示している。上記に基づく同社の2024年12月期の連結業績予想は、売上高が前期比1.9%増の51,500百万円、調整後EBITDAが同8.6%増の4,500百万円、参考値として営業利益が同5.2%増の3,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同1.1%増の2,500百万円としている。なお、調整後EBITDAは、営業利益にキャッシュの変動を伴わない減価償却費、のれん償却費、株式報酬費用を足している。なお、営業利益よりも調整後EBITDAの伸び率が高くなっているのは、減価償却費や株式報酬の費用増加を見込んでいるためである。また、セグメント別では、国内IT事業の売上高が同1.7%増の36,500百万円、調整後EBITDAが同2.2%増の3,800百万円、海外IT事業の売上高が同2.5%増の15,000百万円、調整後EBITDAが同15.7%増の2,000百万円を見込んでいる。

4. 長期ビジョン及び中期経営計画の進捗状況
同社は「CAC Vision 2030」フェーズ1期間の目標として、2025年12月期に売上高580億円、営業利益50億円、営業利益率8%以上、ROE10%以上、エクイティスプレッド(株主資本を上回るROE(自己資本当期利益率))2.5%以上、DOE(株主資本配当率)5%水準の6点を揚げていた。しかしながら、新規事業の収益化の遅延や社員エンゲージメント策への投資など、計画策定時には想定外のコストが発生していることなどを踏まえ、2025年12月期の営業利益目標を従来の50億円から36~43億円へとレンジを持たせる形に下方修正した(売上高目標580億円は据え置き)。この前提となる調整後EBITDAは55億円としていることから、同社ではM&Aによる買収対象会社からのキャッシュ創出を織り込んでいると弊社では見ている。また、フェーズ1の期間中、成長投資枠として人材投資も含めた事業投資に約150億円を見込んでいたが、2023年12月期末時点の投資実行額は人材投資約13.0億円、事業投資約11.7億円に留まっている。同社はおおむね計画どおりの進捗としているが、やや進捗が遅れているようにも見えることから、M&Aなども含めたさらなる具体策の開示が待たれよう。

■Key Points
・2023年12月期は期初計画に沿った順調な進捗。課題であったインドの収益性改善が進んでいる点はポジティブに捉えられる。一方、保有するリクルート株の含み益は依然として大きく、キャッシュの有効活用に期待
・2024年12月期も国内IT、海外ITともに緩やかな拡大を見込む。一方、成長率加速のためには既存事業の拡大に加え、新規事業の創出やM&Aによる戦略を示す必要があり、同社の今後の実行力に期待
・2023年12月期末のネットキャッシュは8,563百万円、投資有価証券も含めた広義のネットキャッシュは26,071百万円と時価総額の70%近くに。成長投資の実行や株主還元強化の余地も大きく、バリュー投資の観点で妙味が大きい

(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)

《SI》

 提供:フィスコ

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