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山田勉氏【2万8000円近辺の攻防、年末ラリーはあるか】(1) <相場観特集>


―上昇機運のなかもやや買い疲れ感、再浮上のタイミングは?―

 週明け28日の東京株式市場は、日経平均株価が続落し一時2万8000円近辺まで下押す場面があった。米国株市場ではNYダウの上値指向が続いているが、ナスダック総合株価指数は相対的に上値が重い。東京市場も目先はやや買い疲れ感が生じている状況だが、年末に向けて再び上値指向をみせることができるのか。12月相場入りを目前に、全体株価の見通しと物色の方向性について第一線で活躍する市場関係者2人に意見を聞いた。

●「12月相場は掉尾の一振を期待」

山田勉氏(auカブコム証券 投資情報室 マーケットアナリスト)

 東京市場は足もと利益確定の売りに押され日経平均は下値を試す展開となっているが、下げ幅は限定的だ。全体指数の中期上昇トレンドは維持されており、12月相場では掉尾の一振が期待できるとみている。

 ここFRBの金融引き締めのペースが緩むことへの期待感が日米ともに株価上昇の拠りどころとなっていたが、米国株市場ではハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数よりもNYダウの方が強く、国内では日経平均よりもTOPIXの方が強い動きをみせている。TOPIXについては年初の1月5日につけた年初来高値2039の更新を目前としているだけでなく、昨年9月14日の高値2118も場合によっては射程圏に入れる公算がある。バリュー株に位置付けられる銘柄で、高配当利回り銘柄などが買われやすい地合いを示唆している。これはNISAの恒久化の流れに乗るものなのか、あるいは大学ファンドの買いなのか、その背景は定かではないがTOPIX優位の傾向は強い。

 しかし、ではハイパーグロース系の銘柄はダメかというと決してそういうことはなく、ここ最近はマザーズ指数やグロース指数の戻り足が顕著で、要はバリュー株が堅調な一方でグロース株(成長株)も買われるという地合いにある。今後も個別株の選別物色の動きが続くなか、全体指数も上値余地が意識されそうだ。

 12月相場における日経平均のレンジは上値が2万9000円、下値は2万7000円前後を見込むが、基本的に上値指向の強い地合いとみている。物色対象としては配当利回りの高い銘柄で、銀行や総合商社、薬品、自動車といったセクターに注目している。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(やまだ・つとむ)
マーケットアナリストとして証券界で十数年活躍。2004年5月、カブドットコム証券(現auカブコム証券)入社。『こちカブ』(ラジオNIKKEI)『まーけっとNavi』(日テレNEWS24)『マーケットホットライン』(ストックボイス)などに出演。

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