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【特集】隠れインバウンドの「MICE」関連、入国規制大幅緩和で出番到来 <株探トップ特集>

入国規制の大幅緩和でリアル国際会議など再開へ。ウィズコロナ加速で隠れインバウンドの「MICE関連」に復活の時が迫っている。

―リアル国際会議・見本市復活へ、事業環境好転で復活の時迎える―

 政府の水際対策の大幅緩和に伴い、インバウンド関連株にスポットライトが当たっている。今後更に“開国”が進み、訪日客の大幅増が期待される状況だ。こうしたなか、隠れインバウンドともいえる「MICE(マイス)」関連に注目してみたい。MICEとは、多くの集客交流が見込まれる国際会議や国際見本市などのイベントの総称で、入国規制が大幅に緩和されるなか、コロナ禍により中止されていたさまざまな国際的な催しの再開が期待されている。復活機運が高まるMICE関連株の動向を探った。

●10月11日、入国者数の上限撤廃へ

 岸田文雄首相は、訪問先の米国での記者会見(日本時間22日夜)で、水際対策について「10月11日から、入国者数についての上限撤廃、個人旅行の解禁、ビザなし渡航の解禁を行う」と表明。

 こうした動きは、いうまでもなく大規模な国際会議、見本市などの関係者にとっても朗報だ。MICEに絡むある大手企業では「さすがに、まだお話しできるような案件はない」としつつも、「ここ数年、コロナの影響で入国を伴う(リアルでの)国際的な業務については、厳しい状況だっただけに期待感はある」と話す。

●MICE市場に復活の号砲

 MICEとは、Meeting(企業会議、大会、研修会)、Incentive Travel(報奨・研修旅行)、Convention(学会などの国際会議)、Exhibition/Event(国際見本市、展示会)の頭文字をとったもの。MICEに絡んでは、多くの集客が見込まれるうえ比較的滞在期間も長いとされている。国際会議の開催、宿泊、飲食、そして観光など裾野は広く、インバウンド需要拡大にもつながるとして期待されている。

 観光庁によると、2019年の世界全体における国際会議開催件数は1万3254件で、日本における開催件数は世界8位の527件だったという(20年以降は新型コロナウイルスの影響により統計データは発表されていない)。日本国内で開催された国際MICE全体による経済波及効果も膨大だ。これもまた古いデータとなるが、同庁による18年の発表では、16年のMICE全体の総消費額は約5384億円、経済波及効果は約1兆590億円と推計。経済波及効果の内訳としては、「企業会議」約1614億円、「報奨・研修旅行」約569億円、「国際会議」約6789億円、「展示会」約1618億円だった。

 とはいえ、こうした巨額の経済波及効果も、パンデミックにより国際間の人流がストップするなかで水泡に帰した。国際会議などを巡る状況もコロナ禍で急激に変化し、オンラインでの会議も根づいている。ただ、政府が入国規制を大幅に緩和する方向にあるいま、リアルでの国際会議や国際見本市、展示会などの再開も期待されるだけにMICE需要の復活の時も近いといえそうだ。国際間の移動もなく利便性の高いオンラインでの会議などは今後も活用されることが予想されるが、やはりリアルな空間における対面での会議や、現物を手に取って商談を進める国際見本市の方が魅力的なのは間違いない。海外に追随し日本もウィズコロナの様相を強めるなか、MICE市場復活の号砲が鳴ろうとしている。

●「Team OSAKA MICE」発足でロイヤルホ

 MICE推進の動きも活発化している。今年7月には、大阪観光局がMICE誘致合同チーム「Team OSAKA MICE」を発足させた。MICE施設、ホテル、旅行会社、会議運営会社など、大阪のMICE関連事業者が団結し、25年開催の大阪・関西万博を契機に、「MICE開催地」としての大阪・日本を世界中の人々に認知させ多くの誘致を推進する構えだ。同チームには、ホテル事業者としてホテル ニューオータニ大阪とロイヤルホテル <9713> [東証S]が運営するリーガロイヤルホテルが参加。既に、京都ホテル <9723> [東証S]がインバウンド特需復活期待で投資家の視線を集めているが、ロイヤルホにはMICE関連としての魅力も加わるだけに、インバウンド需要の復活と共に妙味が増しそうだ。

 更に、大阪府と大阪市は万博後をにらみ、大阪への統合型リゾート(IR)の誘致を図っていることもMICEにとっては追い風となりそうだ。こちらはカジノばかりに関心が集まるが、 MICE機能をあわせ持つIRを創出することも柱の一つとしていることを忘れてはならない。この大阪IRについては、米MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックス <8591> [東証P]連合が事業者に選定されており、両社の動向から目が離せない状況だ。

●宝&COは通訳業務で活躍の舞台

 経済波及効果が大きい国際会議では、同時通訳は必須なだけに 通訳・翻訳業務に携わる企業にも恩恵を与えることになる。例えば、東京ビッグサイトの国際会議場では8ヵ国語対応の同時通訳ができる設備を備えている。

 TAKARA & COMPANY <7921> [東証P]はディスクロージャー大手だが、通訳・翻訳事業を展開するサイマル・インターナショナルをグループに擁し同社の稼ぎ頭の一つとなっている。コロナ禍にあっても遠隔同時通訳プラットフォーム「インタープリファイ」を活用することで、オンライン形式での通訳機会を果敢に捉えてきた。海外との対面での通訳機会も徐々に回復している。会社側では「来日規制が解除されれば、高額案件が伸長するとみている」(広報)と話す。23年5月期は営業利益段階で前期比1.1%増の36億円を計画し、最高益更新となる見通しだ。株価は、9日に2160円まで買われ年初来高値を更新。上昇一服も、2100円を挟み頑強展開となっている。

 そのほかでは、産業翻訳大手で通訳事業も展開する翻訳センター <2483> [東証S]、投信関連の印刷・配送が主力で、翻訳、通訳サービスを行う子会社のアイコスを擁するアイフィスジャパン <7833> [東証S]にも目を配っておきたい。

●TKP、リゾートトラに追い風

 MICEでは、新たな国際会議場の建設は急務といえるが、グループ企業やパートナー企業を集めての企業会議、研修会などの推進も目指しており、分科会などを行う中・小規模の会場も必要になる。

 貸会議室大手のティーケーピー <3479> [東証G]は、国際会議やMICEに最適な施設「TKPガーデンシティ」を数多く展開。同時通訳、映像・音声配信など国際会議に必要なサービスをすべて提供することで、利用者のニーズを捉えている。新型コロナの感染拡大で、貸会議室を展開する同社も厳しい事業環境を強いられたが、ここにきては業績も回復基調を見せている。7月に発表した23年2月期第1四半期の決算では、営業損益が12億1500万円の黒字となり、赤字だった前年同期から黒字転換を果たした。主力の貸会議室事業で、これまで実施が控えられてきた会議や研修、イベントの需要を大きく取り込んでいる。通期計画は同利益で20億円を計画するが、事業環境が急速に改善するなか業績上振れ期待も高まる。

 また、リゾートトラスト <4681> [東証P]は、同社の一部宿泊施設で会議やセミナーなど各種ビジネスイベントに最適な宿泊プラン「MICEプラン」を期間限定で取り扱うなど面白い存在だ。また、「ザ・カハラ・ホテル&リゾート 横浜」は、国内最大級の複合MICE施設「パシフィコ横浜」に近接しており、政府要人など国際会議参加者などの宿泊に対応する国際水準のラグジュアリーホテルとして、国内外の需要に応えている点も見逃せない。8月に発表した23年3月期第1四半期決算では、営業利益が前年同期比2.7倍の25億1000万円と急拡大した。同社は会員制リゾートホテルのトップ企業で健康診断などのメディカル事業も手掛けるが、ホテル、メディカルの会員権販売がいずれも好調。リベンジ消費で会員制リゾートホテルの稼働率はコロナ前を上回っている。

 流通ビル賃貸大手のテーオーシー <8841> [東証S]も、日本有数の複合的コンベンションエリアの有明地区に「TOC有明Convention Hall」を擁している。業績は厳しい状況が続くが、事業環境にも明るさが見えるなか回復期待も。

●博展、乃村工芸社、丹青社など「イベント関連」にも恩恵

 国際的な展示会の再開となれば、当然のことながら企業の展示ブースなどを手掛ける企業も恩恵を受けることになり、いわゆる「イベント関連株」の一角にも妙味がありそうだ。既に、リオープン(経済再開)関連の高業績変化株として注目度が高いが、本格的な復活はこれから。一層の活躍期待が募る状況だ。

 博展 <2173> [東証G]はディスプレー制作などをはじめ、企業のイベントや販促支援ビジネスを展開しているが、国際見本市や展示会でのブースなども手掛けてきた。8月に発表した23年3月期第1四半期の営業損益は7300万円の黒字(前年同期は1億6600万円の赤字)に浮上。株価は、8月17日に870円まで買われ年初来高値を更新。その後若干調整するも、ここにきて75日移動平均線を足場にじわり上値指向をみせている。

 展示・商業施設向けディスプレー最大手の乃村工藝社 <9716> [東証P]は、7月発表の23年2月期第1四半期の営業利益で前年同期比31.0%減の6400万円となったが、好転する事業環境を背景に復活の時を待つ。また、空間ディスプレー企画・施工大手の丹青社 <9743> [東証P]だが、9日に発表した23年1月期の第2四半期累計(2-7月)決算が、営業利益6億4700万円(前年同期比8.6倍)と大幅増益となった。新型コロナの影響による経済活動の制限が緩和されたことに伴い、前年同期に比べて、受注環境が緩やかに回復に向かったことが寄与した。

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