市場ニュース

戻る

【市況】【和島英樹のマーケット・フォーキャスト】 ─円安も追い風に、回復期待高まるインバウンド関連

株式ジャーナリスト 和島英樹

「円安も追い風に、回復期待高まるインバウンド関連」

●米国市場が落ち着くまで日本株の反転は期待薄だが……

 10月中旬までの東京株式市場は、引き続き米国の利上げや景気動向を睨む展開となりそうだ。

 21日のFOMC(米連邦公開市場委員会)では事前の予想通りの0.75%の利上げとなったが、株価にアク抜け感は出なかった。パウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長が金融引き締めの長期化を示唆したことが要因で、景気の先行きへの警戒感はむしろ高まっている。米国株式市場が落ち着くまでは日本株も本格反転は期待薄だ。ただ、日本のインフレは米国ほどではないうえ、企業業績も堅調であり、日本株は相対的にはしっかりした値動きになるとみられる。10月中旬までの日経平均株価の予想レンジは2万5500円~2万7500円。

 主なスケジュールは、10月3日に日銀短観、米ISM製造業景気指数、5日に米ISM非製造業景気指数、7日に米雇用統計、13日にFOMC議事要旨、米CPI(消費者物価指数)、14日に米小売売上高、27日にECB理事会などが予定されている。特に金融政策の先行きを占う点で、米雇用統計とCPIが注目される。なお、10月はFOMCがなく、次回開催は11月1~2日となる。

 日本では2月期本決算企業の第2四半期決算が10月中旬にピークを迎え、月末には3月期本決算企業の第2四半期決算が最初のヤマとなる。

●“バーゲンセール”状態の日本

 物色テーマで最も有望なのは、インバウンド(訪日外国人)を軸とした経済再開関連だ。政府が入国時の新型コロナウイルスの水際対策をさらに緩和するほか、国内では「Go Toトラベル」に代わる全国旅行支援策を月内にも開始すると報じられるなど、日本の経済再開(リ・オープン)の動きがいよいよ本格化する見通しになっている。これまで経済再開と感染拡大による行動規制の繰り返しだっただけに、“今度こそ”との期待が高まっている。

 政府はインバウンドの本格再開に向け、9月7日から入国者と帰国者全員に義務付けていた海外出国前の72時間以内の陰性証明書について、ワクチンの3回接種を条件に不要にしている。また、1日あたり入国者数の上限を2万人から5万人に引き上げたが、この上限を10月にも撤廃する方向で調整しているもよう。さらにネックとなっていた訪日客に義務付けられている短期滞在ビザ(査証)の取得免除や、個人旅行の受け入れ解禁も検討しているという。実現すれば新型コロナ発生前の状態に戻ることになり、インバウンドの大幅な増加が期待される。

 訪日外国人にとって、さらに追い風になるのは円安だ。コロナ前の2019年年末は1ドル=108円程度だったが、現在は145円前後(9月22日現在)。19年に比べて35%の円安水準だ。これは19年当時に比べ、同じ金額で購入すれば35%多くのものが買え、同じものを購入すれば35%安く買えることを意味する。海外に比べてインフレの度合いも低い。訪日外国人にとって、日本は「バーゲンセール状態」に映るため、インバウンドの回復が想定以上になることも想定される。

 日本航空 <9201> [東証P]、ANAホールディングス <9202> [東証P]、JR東海 <9022> [東証P]などの運輸のほか、三越伊勢丹ホールディングス <3099> 、セイコーホールディングス <8050> [東証P]、資生堂 <4911> [東証P]、マツキヨココカラ&カンパニー <3088> [東証P]などの消費関連などに関心が高まることが予想される。 ホテル外食に展開するロイヤルホールディングス <8179> [東証P]、鉄道やホテル、アウトレットなどの西武ホールディングス <9024> [東証P]、ビジネスホテル、リゾートホテルの共立メンテナンス <9616> [東証P]、宴会場、ホテル、箱根リゾートなどの藤田観光 <9722> [東証P]は業績への寄与も大きそうだ。

 2月期本決算企業には小売り関連が多く、新型コロナからの消費回復が期待されている。上期の決算発表では高島屋 <8233> [東証P]のほかJ.フロント リテイリング <3086> [東証P]、イオン <8267> [東証P]、エービーシー・マート <2670> [東証P]、アダストリア <2685> [東証P]、ドトール・日レスホールディングス <3087> [東証P]、ウエルシアホールディングス <3141> [東証P]などに注目したい。また、3月決算のFA(工場自動化)関連の前哨戦という意味合いで、10月7日に第2四半期決算を発表予定の安川電機 <6506> [東証P]への関心も高まりそうだ。

 一方、米金利上昇の影響を受けて半導体などPERが高い(株式益利回りが低い)ハイテク株が敬遠される展開となっている。主力の東京エレクトロン <8035> [東証P]、レーザーテック <6920> [東証P]などに底入れ反転の兆しがみられるかもポイントだ。

(9月22日 記/次回は10月30日配信予定)

■和島英樹(Hideki Wajima)

株式ジャーナリスト
日本勧業角丸証券(現みずほ証券)入社。株式新聞社(現モーニングスター)記者を経て、2000年にラジオNIKKEIに入社。東証・記者クラブキャップ、解説委員などを歴任。現在、レギュラー出演している番組に、ラジオNIKKEI「マーケットプレス」、日経CNBC「デイリーフォーカス」毎週水曜日がある。日本テクニカルアナリスト協会評議委員。国際認定テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。

株探ニュース


日経平均




 

■関連サイト ※外部リンク