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【特集】和島英樹のマーケット・フォーキャスト【新春スペシャル】 <新春特別企画>

株式ジャーナリスト 和島英樹

「新年主要テーマは通信量の増大、リ・オープニング、環境&エネルギー」

●企業業績に下支えされ、日経平均は3万3500円目指すか

 2022年の東京株式市場は、コロナ禍からの経済再開や米国の金融政策のかじ取りが順調なことを条件に、日経平均株価は3万3500円程度までの上昇が見込まれる。一方、岸田内閣の増税策や米中間選挙の動向次第では、下押す懸念も拭えない。

 下支えは企業業績となる。現状の日経平均株価の1株利益は2090円程度。大手の調査機関では、来期である23年3月期の上場企業の経常利益は8%前後の増益になると試算している。これを単純に当てはめると、来期の日経平均株価の1株利益は2257円となる。第2次安倍内閣のいわゆるアベノミクス相場では、PERがおおむね12倍~15倍前後で推移していた。3万3500円は15倍弱の水準となる。セクターでは利益の絶対額が大きい自動車の生産正常化や、半導体、電子部品分野などが牽引する。

 新型コロナ感染症では、新しい変異株である「オミクロン型」の動向は気掛かりだが、基本的には経済再開が順調に進むと想定する。この際、GDP(国内総生産)成長率の伸びがどの程度になるかがポイントだ。これはGDPの約6割を占める個人消費の復活にかかっている。スポーツ観戦や劇場などでの入場制限の撤廃、ワクチン接種証明書などを活用した国内旅行の活発化、居酒屋の正常営業継続などが進展するかどうか。

 なお、21年7~9月期のGDP成長率は年率でマイナス3.6%。21年は外国人投資家が年間で現物・先物合計で2兆円以上の売り越しとなっている。日本経済の低迷が売りの主因とみられ、経済が復活するなら外国人投資家の見直し買いが期待される。

 一方、懸念要因は岸田内閣の政策や、米国の金融政策や中間選挙だ。岸田内閣は大型の補正予算を成立させたものの、中身に特段の新鮮味があるものではない。また、金融所得課税の強化や自社株買い規制に加え、住宅ローン減税の縮小や自動車関連税の強化方向などもにおわせている。経済が再開する前にブレーキをかける方向が明らかになれば、先行きの不透明感から日経平均は2万6000円程度までの下落があっても不思議ではない。

 また、米国では金融政策の動向は気になるものの、インフレ懸念は一時的にとどまる公算が大きい。利上げ前倒し懸念が浮上しても、米10年債利回りは低位安定を続けている。ただ、景気を冷やすような利上げには注意が必要だ。米国では22年秋に連邦議会の中間選挙が行われる。インフレの進行などでバイデン大統領の支持率が低迷している。仮に選挙で敗北すれば、政権運営はレイムダック(死に体)化する可能性もある。

●有望3テーマを軸に銘柄を選別

 22年の主要テーマとしては、(1)通信量の増大、(2)リ・オープニング(経済再開)、(3)環境&エネルギーが有望だ。

 通信量は年を追うごとに増加ペースが上がってきている。「超高速」、「大容量」、「同時多接続」の5G通信はスマートフォンを飛び出し、今後はIoT(工場のセンサーやロボット間の通信)、自動運転などで本格化が見込まれる。テレワークオンライン学習の普及などでサーバーの需要も一段と増している。

 通信料の増大を支える半導体の性能向上では、微細化の動きが鮮明となっている。微細化に必要なEUV(極端紫外線)露光装置向けの検査装置を手掛けるレーザーテック <6920> 、半導体製造装置世界大手の東京エレクトロン<8035>などが中心だが、このほかにも微細化に貢献する企業は少なくない。例えば、ウエハ洗浄装置世界首位のSCREENホールディングス <7735> 、超純水装置の野村マイクロ・サイエンス<6254>、ウエハの表面を均一に平坦化するCMP(化学的機械研磨)装置の荏原製作所 <6361> などが挙げられる。

 22年はウィズ・コロナ下での経済再開の本格化が期待される。国内旅行など レジャーの復活、居酒屋など 外食への回帰、出張再開などが見込まれる。日本航空 <9201> 、JR東海 <9022> を始めとした運輸株のほか、レジャーや外食、百貨店などの商業施設も有望。個別では外食、居酒屋を幅広く展開するコロワイド <7616> 、ホテルや宴会場、温泉施設を運営する藤田観光 <9722> 、外食、ホテル、機内食も手掛けるロイヤルホールディングス <8179> などの業績回復が見込まれる。

 環境関連では政府が進める洋上風力発電で事業の大半を担うことになった三菱商事 <8058> 、バイオマス発電のイーレックス <9517> 、水素関連では岩谷産業 <8088> など。EV(電気自動車)では21年12月にトヨタ自動車 <7203> がEV戦略を強化する方針を発表した。バッテリーEVについて、これまで2030年の世界販売台数を200万台としていたが350万台に上方修正している。トヨタグループでレアメタルの1つであるリチウムなどの調達を担当する豊田通商 <8015> 、トヨタ以外にもEVのインバーター(電力変換器)を提供するデンソー <6902> 、トヨタの電動車向けを中心にモーターコアを展開する三井ハイテック <6966> などの活躍も期待される。また、リチウムイオン電池ではセパレータフィルムの製造装置で日本製鋼所 <5631> が世界シェアの過半を占めるほか、芝浦機械 <6104> も存在感がある。

2020年12月25日 記


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