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【特集】野村証券・小高貴久氏に聞く 日経×株探スペシャルインタビュー「2022年株式市場展望」
―米株上昇は止まらず、日本経済は回復加速へ―
小高貴久(野村証券投資情報部シニア・ストラテジスト)
Q:2022年の株式相場を一言で語るとどんな相場でしょうか?
小高貴久氏(以下、小高):2022年も業績相場が続くとみています。
Q:では具体的にうかがってまいりましょう。まずなんといっても米国景気です。金融政策とあわせてどういうシナリオを予想されますか?
小高:米国経済は成長が持続するとみています。ポイントは足元、金融政策の転換点を迎えていることです。2021年後半には量的緩和の段階的な縮小(テーパリング)が始まりましたが、2022年は利上げがいつ始まるのか、さらには米連邦準備理事会(FRB)のバランスシート縮小、残高がどう減っていくのかまで目線が向けられると思います。利上げしても大丈夫なほど米国景気は良いともいえるわけで、その視点で金融政策と株式市場をみていく必要があります。
米政策金利と米S&P500種株価指数のグラフを重ねてみました(図1)。利上げの局面を薄い網掛けにしてあります。過去の利上げ局面ではS&P500種は下がっていないことがみてとれます。金利上昇時には高PER株やテクノロジー株は調整しやすいといわれますが、長い時間軸でみると金利上昇という悪材料よりも業績の良さにスポットライトが当たっていることがうかがえます。
●図1 米政策金利とS&P500の推移
Q:すると米国株は2022年も堅調でしょうか? 高値更新が続く相場が続きそう?
小高:利上げのタイミングがいつなのかを巡り、実際の利上げ前後では相場が不安定になるでしょうし、金融政策変更がある局面では調整する場面があるかもしれません。ただ、長い目線でみるとそれは通過点に過ぎず、相場の上昇は続くとみています。
Q:さて、もう1つ気になる大国といえば中国ですが、景気の雲行きはどうでしょうか?
小高:2021年は徐々に減速してきましたが、2022年も減速基調は続くとみています。現在、中国は「ゼロコロナ」政策をとっており、たとえば西安市でロックダウン(都市封鎖)などを実施しています。新型コロナ感染の広がり具合いによっては経済回復がいったん止まる可能性もあるでしょう。
もっとも、2022年2月には北京冬季五輪開幕を控えており、秋には中国共産党大会もあります。経済安定を図りたいという中国政府の思惑があるとみます。
上海総合指数と香港ハンセン指数の推移を比べると、2021年に入ってから両株価指数の格差が大きく開き始めています(図2)。香港株にはアリババ集団、騰訊控股(テンセント)などテクノロジー系企業に対するグローバルな見方が投影されているといえます。一方、(国有大手の多い)上海株の底堅さは中国政府主導で経済安定化をコントロールしていくという意識の表れともみてとれます。その前提に立てば中国発の世界経済波乱リスクは乏しいのではないかと考えます。
●図2 香港ハンセンH株指数と上海総合指数の推移
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2022年の日本株、米国株はどう動くか、カギを握るリスク要因は――。日経CNBCは、証券会社のストラテジストや有力機関投資家に日米株式相場のシナリオや市場環境、投資戦略などについて聞いた。
1回目は野村証券投資情報部シニア・ストラテジストの小高貴久氏。
1回目は野村証券投資情報部シニア・ストラテジストの小高貴久氏。
小高貴久(野村証券投資情報部シニア・ストラテジスト)
Q:2022年の株式相場を一言で語るとどんな相場でしょうか?
小高貴久氏(以下、小高):2022年も業績相場が続くとみています。
Q:では具体的にうかがってまいりましょう。まずなんといっても米国景気です。金融政策とあわせてどういうシナリオを予想されますか?
小高:米国経済は成長が持続するとみています。ポイントは足元、金融政策の転換点を迎えていることです。2021年後半には量的緩和の段階的な縮小(テーパリング)が始まりましたが、2022年は利上げがいつ始まるのか、さらには米連邦準備理事会(FRB)のバランスシート縮小、残高がどう減っていくのかまで目線が向けられると思います。利上げしても大丈夫なほど米国景気は良いともいえるわけで、その視点で金融政策と株式市場をみていく必要があります。
米政策金利と米S&P500種株価指数のグラフを重ねてみました(図1)。利上げの局面を薄い網掛けにしてあります。過去の利上げ局面ではS&P500種は下がっていないことがみてとれます。金利上昇時には高PER株やテクノロジー株は調整しやすいといわれますが、長い時間軸でみると金利上昇という悪材料よりも業績の良さにスポットライトが当たっていることがうかがえます。
●図1 米政策金利とS&P500の推移
Q:すると米国株は2022年も堅調でしょうか? 高値更新が続く相場が続きそう?
小高:利上げのタイミングがいつなのかを巡り、実際の利上げ前後では相場が不安定になるでしょうし、金融政策変更がある局面では調整する場面があるかもしれません。ただ、長い目線でみるとそれは通過点に過ぎず、相場の上昇は続くとみています。
Q:さて、もう1つ気になる大国といえば中国ですが、景気の雲行きはどうでしょうか?
小高:2021年は徐々に減速してきましたが、2022年も減速基調は続くとみています。現在、中国は「ゼロコロナ」政策をとっており、たとえば西安市でロックダウン(都市封鎖)などを実施しています。新型コロナ感染の広がり具合いによっては経済回復がいったん止まる可能性もあるでしょう。
もっとも、2022年2月には北京冬季五輪開幕を控えており、秋には中国共産党大会もあります。経済安定を図りたいという中国政府の思惑があるとみます。
上海総合指数と香港ハンセン指数の推移を比べると、2021年に入ってから両株価指数の格差が大きく開き始めています(図2)。香港株にはアリババ集団、騰訊控股(テンセント)などテクノロジー系企業に対するグローバルな見方が投影されているといえます。一方、(国有大手の多い)上海株の底堅さは中国政府主導で経済安定化をコントロールしていくという意識の表れともみてとれます。その前提に立てば中国発の世界経済波乱リスクは乏しいのではないかと考えます。
●図2 香港ハンセンH株指数と上海総合指数の推移
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