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【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─「安倍退陣」によって、日本はどこに行くのだろうか?

経済評論家 杉村富生

「『安倍退陣』によって、日本はどこに行くのだろうか?」

●GAFA+Mの時価総額は782兆円に!

 改めて述べるまでもないが、NYダウは単純平均株価(修正)、S&P500は時価総額ベースである。この構図は日経平均株価TOPIX(東証株価指数)と同じだ。要するに、NYダウは値がさ株、S&P500は時価総額の大きい銘柄の影響を強く受ける。

 NY市場(ナスダック市場を含む)の値がさ株、時価総額の大きい銘柄の代表はGAFA+M(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム+マイクロソフト)の5銘柄だろう。

 ここに国際マネーが群がっている。「これさえ、買っておけば…」との心境だろう。値がさ株に集中投資するETF(上場投資信託)の残高は激増中だ。いや、機関投資家だけではない。個人が完全に株式投資に目覚めたようである。

 有名なロビンフッド(証券取引アプリ)の口座数は2019年末に約1000万口座だったが、今年3月末には1300万口座と、3カ月で3割増のペースだ。 ネット証券のチャールズ・シュワブの3月の新規顧客口座開設数は28万件、子会社のTDアメリトレードは同40万件だったという。

 これは日本のネット証券だって、同様の傾向だろう。よくネット証券の利用者は35歳未満のミレニアル世代といわれるが、それは違う。最近は高齢者、資産家が大挙して参入している。その資金の一部はアメリカ株に向かっている。

 ちなみに、GAFA+Mの時価総額(8月25日現在)は782兆円(1ドル=106円)だ。アップルは226兆円に達する。東証1部には2173社が上場、その時価総額は610兆~620兆円にすぎない。2173社がたばになって、何と5社に負けている。最近は利食い優先の動きになっているようだが、ちょっと悲しすぎないか。

●資金の逃げ足が速い新興市場の小物!

 ともあれ、GAFA+Mの急騰がNYダウ、S&P500を押し上げるというパターンである。なお、NYダウ(30銘柄)は8月31日の取引開始前に、構成銘柄の入れ替えが行われる。

 新規採用はセールスフォース・ドットコム、アムジェン、ハネウェル・インターナショナルの3銘柄だ。一方、削除されるのはエクソン・モービル、ファイザー、レイセオン・テクノロジーの3銘柄である。かつて、10年前まではエクソン・モービルは世界最大の時価総額を誇っていたのに。ここに時代の流れを感じる。

 日本市場では先週末に、テラスカイ <3915> が急伸した。セールフォース・ドットコムのクラウド支援サービス(日本での販売)を手掛けている。このほか、インスペック <6656> [東証2]、ポエック <9264> [JQ]は生き残っている。産業廃棄物処理のミダック <6564> 、ITインフラ構築のセラク <6199> は頑強だ。ジリ高となろう。

 好業績の新日本科学 <2395> 、チャート妙味のZホールディングス <4689> 、割安のヴィス <5071> [東証M]はじっくり狙える。

 なお、先週末には「安倍首相退陣」のニュースが流れ、株価は大幅安となった。これによってアベノミクス(株高作戦、成長戦略)が終焉、「増税路線」に逆戻りするのか注目が怠れない。月曜日以降の値動きがポイントだろう。

2020年8月28日 記

株探ニュース

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