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【市況】【村瀬智一が斬る!深層マーケット】 ─ 「安倍首相退陣も経済再開の方向性は変わらず、仕切り直しへ向かうマーケット」

RAKAN RICERACA 代表取締役 会長 村瀬智一

「安倍首相退陣も経済再開の方向性は変わらず、仕切り直しへ向かうマーケット」

●海外勢の復帰や信用期日明けによる需給改善を意識

 今週の日経平均株価は週半ばに6月の戻り高値を突破し、コロナショック前の水準を回復。その後も高値圏で底堅い値動きを続けるなか、米連邦準備理事会(FRB)議長講演における大規模な金融緩和継続の方針を受けて先高期待を強めたが、「安倍首相 辞任の意向固める」の速報ヘッドラインが週末28日午後に飛び込み、一転して波乱の展開となった。9月7日のレーバーデー明けまでは海外勢のフローは低水準であり、全般薄商いの中でアルゴリズムが発動したようである。

 日経平均は日中高値から一時700円近く下落し、これと連動する形でマザーズなどで中小型株の急落も目立つ。足元ではマザーズの好調が続いており、特に直近IPOが活況のなか、短期のヘッジファンドなど海外勢の資金流入も増えていたとみられ、一気にポジション圧縮に追い込まれた格好だ。

 安倍首相は28日夕方の会見で辞任を正式に表明した。政権交代ではないため政治空白リスクは高まらないと考えられるが、大幅な乱高下によってポジション修正を余儀なくされただけに、しばらくは不安定な値動きとなりそうである。政治に関わるニュースフローなどには敏感に反応しやすい地合いが想定される。一方で、急落局面で冷静に押し目を拾う動きもみられ、センチメントはそれほど悪化していないだろう。じりじりと下落する中で需給が悪化していくのとは違い、一気に整理された形であることから、今後は仕切り直しを意識したスタンスに向かわせよう。

 引き続き、コロナ禍における経済活動再開に向けた政府の方向性は変わらないと考えられる。市場は次第に落ち着きを取り戻し、押し目狙いの好機として物色意欲も高まりそうだ。また、レーバーデー明け後は海外勢の資金流入も増えてくる。そのほか、3月の急落から半年が経過してくるため、信用期日明けによる需給改善も意識されよう。信用売り残高が積み上がっており、信用取組妙味の大きい銘柄などには、ショートカバーを誘う動きへの思惑が働きやすい。

●今週の活躍期待「注目5銘柄」

◆オルトプラス <3672>
ソーシャルゲームの企画、開発、運営などを行っており、音楽原作キャラクターラッププロジェクト「ヒプノシスマイク -Alternative Rap Battle-」が大人気となっている。ゲーム株は引き続き 巣ごもり消費による需要が見込まれるほか、ゲーム業界においては中国テンセントによる世界のゲーム開発会社への出資によって再編機運が高まっていることも材料視される。株価は足元でリバウンド基調が継続。週末は全般相場下落の影響を受けたが、押し目狙いのタイミングになりそうだ。

◆SHIFT <3697>
ソフトウェアの品質保証・テストの専門企業。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により業種によってはIT投資を先送りする動きがみられるが、エンタメやセキュリティ、物流、通信分野においては継続的に需要が見込まれよう。週末の下げで25日移動平均線および一目均衡表の「雲」上限まで調整したものの、緩やかな上昇トレンド継続で押し目狙いとなろう。

◆ストライク <6196>
M&A仲介会社。コロナ禍において事業継承などのニーズは高まっている。また、経済産業省は自社株式を対価とするM&Aについて、買収先企業の株主に対する課税繰り延べ措置を2021年度の税制改正要望に盛り込む方向と伝わっている。課税負担の先送り措置を行うことにより、中堅・中小企業を含めたM&Aの活性化と仲介ニーズの一段の伸長が期待される。株価は緩やかな上昇トレンドを形成。足元の調整で25日移動平均線を下回っているが、200日移動平均線が強いサポートとして意識される。

◆串カツ田中ホールディングス <3547>
串カツ居酒屋を展開。東京都は酒類を提供する飲食店などへの営業時間の短縮要請について、23区内に限って9月15日まで延長すると発表した。一方で、9月以降に始まる見通しの外食需要喚起策「Go To イート」による集客が見込まれよう。株価は6月以降、調整トレンドが継続しているが、足元でのリバウンドでレンジ上限を捉えてきている。これまで上値を抑えられてきた200日移動平均線に接近してきており、同線突破によるトレンド転換に期待したい。

◆cotta <3359> [東証M]
製菓材料・ラッピングの通販サイト「cotta(コッタ)」を展開。新型コロナウイルスの感染拡大による「巣ごもり需要」で足元の業績は順調である。株価は20年9月期第3四半期決算の発表を受けて急伸したが、直近では急ピッチの上昇に対する調整が続いており、支持線として意識される25日移動平均線水準に接近。引き続き巣ごもり需要の伸びが期待されるほか、調整局面では9月の優待取りを狙った押し目拾いの売買も意識されやすいだろう。

2020年8月28日 記

株探ニュース

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