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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「新型コロナで変わる不動産事情とライフスタイル」

株式評論家 富田隆弥

◆国土交通省が年に4回公表する主要都市100地区の地価動向報告「地価LOOKレポート」(8月21日発表)によると、第2四半期(7月1日時点)は下落した地区が38と、前回(4月1日時点)の4地区から大きく増えた。言うまでもなく、新型コロナウイルスの影響により繁華街・商店街の店舗は軒並み打撃を受け、テレワークなどビジネス環境の変化でオフィス需要も低下している。

◆不動産業者は「首都圏のマンションは人気が衰えていない」と好調をアピールする。確かに好立地のマンション価格はまだ最高値圏を維持しているようだが、不動産の実情は同レポートが示している通りだろう。東証REIT指数は27日現在1746.26ポイントで、コロナショック(高値2255.72→安値1138.04ポイント)の下落に対して54%戻し水準にとどまっている。

◆ただ、テレワークやリモートワークの拡大に伴い、都心から少し離れた自然豊かなところでは地価に上昇の動きも見られる。最近は「ワーケーション」という言葉も見聞きするようになってきた。「ワーク」と「バケーション」を合わせた造語で、ネット環境さえ整っていれば都心から離れていても問題なく、広々としたスペースでゆったりと仕事ができるということだ。

◆NHKの情報番組「所さん大変ですよ」(20日)で那須高原の別荘地を取り上げていたが、それによると投げ売り状態であったものが一転、今年になり販売価格が3倍に急騰しているという。また、バーベキューを楽しむために数十万円で「山」を購入する人も増えているという。

◆そういえば、以前から「都会と田舎の2カ所生活(デュアルライフ)」も話題に上っていた。新型コロナウイルスを機に、都心から1~2時間ほどで移動できる自然豊かな地に建つ住宅やマンションが注目されて、その需要が高まることも想定される。世代に関わらず、心に余裕を持った新しい生活スタイルが日本に根付いても不思議ではない。

(8月27日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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