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【特集】眠る"お宝"に成長余地、7.6兆円市場で輝く「リユース」関連株 <株探トップ特集>

リユース市場の巨大な成長余地に注目したい。6月にはメルカリの上場も予定されており、関連株にはスポットライトが当たり始めている――。

―中古品人気上昇で注目される銘柄は、6月19日メルカリ上場も刺激に―

 国内最大級のフリマアプリ 運営会社であるメルカリ <4385> [東証M]が、6月19日に東証マザーズ市場へ新規上場する予定となっている。時価総額は3000億円超になる見通しとあって市場の関心は高いが、この大型案件が呼び水となるかたちで注目を集めそうなのが「リユース(中古品)」関連株だ。経済産業省が4月25日に発表した電子商取引に関する市場調査によると、過去1年間で不用となった製品の推定価値(自動車、バイクは除く)は約7兆6000億円。不用品のすべてがリユース市場で流通していないことを考えれば、潜在的な“お宝”がまだまだ家庭に眠っているといえ、関連銘柄には成長余地がある。

●17年市場規模2.1兆円

 これまでどちらかといえばマイナスイメージを持たれていた中古品がここ数年、リユース品と呼ばれ人気を集めている。背景にはフリマアプリの登場や宅配買い取りなど、手軽で簡単に利用できるサービスが増え、消費者にとって中古品が身近になってきたことが挙げられる。リユース市場は大きく分けて2つの形態があり、1つは店舗を通して買い取り・販売が行われるBtoC(企業対消費者間取引)、もう1つが店舗を通さず販売者と購入者が直接取引するCtoC(消費者間取引)で、前者が主にリサイクルショップや古着屋、後者がネットオークションやフリマアプリにあたる。

 経産省の調査では、2017年のリユース市場規模は約2兆1000億円(前年比11.7%増)で、このうちBtoCの取引形態が約1兆円。足もとではCtoCの取引形態が拡大しているものの、家庭に眠る不用品の量や、配送作業などの手間を嫌う消費者の存在などを思うと、BtoC形態の市場は今後も堅調な伸びが期待できそうだ。

●各社さまざまな特徴・戦略で勝負

 リユース事業は製造業のような設備投資が不要であることから新規参入しやすい業態であり、そのため各社はさまざまな特徴や戦略を掲げている。例えばトレジャー・ファクトリー <3093> は、ファッション業態を中心に顧客ニーズごとに異なる8つのリユース店舗を展開することで新規顧客を開拓。オンライン販売の強化などによる既存店の収益改善などにも取り組み、19年2月期通期の連結営業利益は8億1800万円(前期比31.6%増)を見込む。

 シュッピン <3179> は、カメラや時計など専門性の高い商品のリユース品を取り扱っており、販売チャネル構成比はEC(電子商取引)が約6割で、店舗が約4割。18年3月期に36万人を突破したWEB会員数のさらなる拡大などで、19年3月期通期の単独営業利益は18億4200万円(前期比19.9%増)が予想されている。

 コメ兵 <2780> [東証2]はブランド品に強みを持ち、18年3月期は個人買い取り額が過去最高を更新。実店舗とECサイトをつなぐ「WEB取寄せ」が好調で、19年3月期通期の連結営業利益は19億円(前期比16.9%増)となる見通しだ。

 このほか、マンガ専門古書大手のまんだらけ <2652> [東証2]、中古通信機器に注力しているゲオホールディングス <2681> 、中古パソコンなどを扱うパシフィックネット <3021> [東証2]、今年に入って国内直営既存店売上高が改善傾向にあるブックオフコーポレーション <3313> 、ネットに特化した買い取りサイト「ブランディア」を運営するデファクトスタンダード <3545> [東証M]、販売店舗を持たずにネットを通じて商材の買い取りから販売までを手掛けるマーケットエンタープライズ <3135> [東証M]、3月22日に東証マザーズ市場に新規上場したSOU <9270> [東証M]などにも注目しておきたい。

●フリマアプリ市場が急成長

 リユース市場のなかでも特に成長著しいのがフリマアプリで、17年の市場規模は4835億円(同58.4%増)と、個人間でやり取りするネットオークションの市場規模3569億円(同3.2%増)を上回った。ネットオークションはオークション方式によって入札完了期日になって落札価格が最終決定されるのに対し、フリマアプリは出品時に売り手によって価格提示され、買い手が応じればその時点で取引が成立するなど、その手軽さが幅広い年齢層の支持を得ており、フリマアプリが登場した12年からわずか5年で5000億円近い巨大市場が形成された要因のひとつとなっている。

 この急成長市場を牽引しているのが13年にサービスを始めたメルカリで、同社が運営するフリマアプリ「メルカリ」は17年12月中旬時点で世界累計1億ダウンロードを突破(うち国内は6000万超)し、17年6月期の流通総額は日米あわせて2480億円に達している。実店舗による逆襲も気になるところだが、同社では5月からヤマトホールディングス <9064> 傘下のヤマト運輸と組んで提供している匿名配送サービス「らくらくメルカリ便」が、セブン&アイ・ホールディングス <3382> 傘下のセブン-イレブンでも使えるようになるなど、使い勝手向上につながるサービスを次々と打ち出している。

 メルカリを猛追するのが楽天 <4755> で、今年2月には楽天本体が運営するフリマアプリ「ラクマ」とグループ会社が運営していたフリマアプリ「フリル」を統合。経営資源を集中することで運営やマーケティングの効率化を図り、グループの巨大な顧客基盤を生かして業界ナンバーワンを目指す構えだ。

 これ以外では、クルーズ <2138> [JQ]がファッションアイテムを売り買いできる「SHOPLIST USED」を手掛けているほか、GMOペパボ <3633> [JQ]はアクセサリーなどのハンドメード作品を扱う「minne(ミンネ)」、ノジマ <7419> は家電専門の「nojimaフリーマーケット」を展開。コメ兵は17年11月に、主にブランド品を売買する「KANTE(カンテ)」をリリースしている。

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