【市況】【植木靖男の相場展望】 ─ 日本株の見直し進むか
株式評論家 植木靖男
「日本株の見直し進むか」
●1月高値奪回の“一番乗り”は日本か?
日経平均株価は1月高値2万4124円(終値ベース)奪回を目指して崖をよじ登り、平地で休み、再び峠を越えるといった厳しい登頂を続けている。
米国が仕掛ける貿易戦争や中東騒乱、果ては北朝鮮問題などの警戒材料に立ち向かいつつ前進する姿は感動的である。
決して派手な動きではなくジリ高であるが、これまで日本株は先進国の中で最も出遅れと指摘されてきた。しかし、このところ、うさぎと亀との競争よろしく、他先進国の株価がもたつく中、気がつけば一番先頭を走っている感がある。
3月23日安値以降、一度も3日連続して下げないことにも表れているように、押し目には着実に買いが入っているようにみえる。いうまでもないが、先頭を走っていれば、必然的に世界の資金が日本株市場に流入してくることになる。そうなれば一段と日本株の優位性は高まることになろう。
さて、超目先的にみて立ち塞がる壁は2万3000円である。既に4~5日は壁を直前にしてもみ合っている。
この水準は、心理的なフシというだけではない。相場が急落したとき最初の反発は下げの65~75%が上値抵抗となりやすい。
例えば、米国株は1月高値をつけたあと急落したが、2月にかけて最初の反騰は68%戻しであった。そして日本株の場合、この2万3000円がちょうど67%にあたる。このようにみると、意外に2万3000円は大きな上値抵抗線といえよう。
とはいえ先程の経緯からみても、一時的調整はあっても先高感は不変である。先進国の中で最も早く1月高値に王手をかけるのは日本株かもしれないのだ。
●徐々に優良株へシフト
ところで、ジリ高展開の中で、物色対象はなかなか的を絞り難いのが現状である。
3月安値以降、個別物色、それも中小型材料株が物色され、いわゆる業種としてまとまって動くことがなく、しかも同じ銘柄に持続性がないのが特徴となっている。いわゆる日替わりメニューとなりやすい。
前途にあれこれと不安材料が多く、同じ銘柄を持ち切れない、という投資家心理によるものであろう。
こうした中、なにやら根強い人気があるのは仮想通貨関連であったり、自主防衛関連、あるいは半導体関連などのテーマだ。
ただ、ここにきて金融株の台頭から徐々に優良株にシフトしつつあることに注目したい。それも常識的な一番手銘柄でないところが面白い。
今回は次の銘柄に注目したい。まずはりそなホールディングス <8308> だ。世界的な金利上昇がわが国にも波及、収益改善期待が出てきた。加えて、時価総額は僅か1兆数千億円、余剰金も同じくらいある。なぜ安いのか不思議だ。
日本カーボン <5302> にも注目。大幅増益、年間配当は前期比2倍の100円に大幅増配。THK <6481> も面白そうだ。大幅増益、大幅増配へ、PER14倍は割安。
2018年5月18日 記
株探ニュース