市場ニュース

戻る
 

【特集】田部井美彦氏【強気シナリオに死角は? 師走相場の急所を読む】(2) <相場観特集>

田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)

―“年末高”に群がる投資家の思惑、その先に見えるもの―

 東京株式市場は前週末から師走相場入り。“月替わりの初日は日経平均株価が上昇する”という鉄板アノマリーは今回も揺るがず、18ヵ月連続の上昇を記録したが、残念ながら週明けはその勢いを持続することができなかった。市場で年末高を唱える声は多いが、その見通しに死角はないのか。長きにわたりマーケットに携わり、豊富な経験に支えられた相場観で定評のあるベテラン市場関係者2人に意見を聞いた。

●「年末までは高値圏での強含みもちあい相場に」

田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)

 今後、年末に掛けての東京株式市場は、高値圏での強含みもちあい相場となりそうだ。上値は11月9日につけた取引時間中の年初来高値2万3382円15銭を大きく超えることは想定しづらい。ただ、下値も11月16日につけた取引時間中の直近安値の2万1972円34銭以内にとどまりそうだ。

 これまでは、業績の好調な半導体関連銘柄などを上昇相場の牽引役としてきたが、決算発表に伴うアナリストや投資家による業績見通しの吟味も一段落し、来年の4-6月期くらいまでの業績の輪郭は見えてきたものの、それ以降の業績については、年明け2~3月にならないと判断がつきにくいのが実情だ。従って年内や来年初はリターン・リバーサルの投資方針が有効な地合いとなりそうだ。

 きょうも、全般相場が下落基調にあるなかで、小売、食料品、建設、鉄鋼といった内需系の比較的出遅れていた銘柄群に押し目買いが入っている。今後年末に向けて注目したいセクターとして“ゲーム関連”を挙げたい。今年は任天堂 <7974> の据え置き機の新型機「スイッチ」が世界的規模で好調な推移となっているのに加え、ソニー <6758> の「PS4」、各種スマートフォン向けゲームも堅調な推移をみせている。ゲーム関連として注目したいのは、柱の「ドラクエ11」の販売が好調で、スマートフォン向けでも好評を得ているスクウェア・エニックス・ホールディングス <9684> だ。

 このほかに、建設株からは鹿島 <1812> に注目。18年3月期第2四半期(4-9月)連結決算発表時に、通期利益予想の上方修正を発表し、営業利益を1060億円から1360億円(前期比12.5%減)へ、純利益を820億円から1080億円(同3.0%増)へそれぞれ引き上げた。建設事業の利益率向上により完成工事総利益が増加する見通しとなっている。PERは11倍台と割安水準にある。さらに、ウエハー搬送ロボットなどの半導体製造関連としてダイヘン <6622> も見逃がせない。同社は、配電用などの電力会社向け機器や、アーク溶接機器など設備投資関連の事業分野も好調だ。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(たべい・よしひこ)
内藤証券シニアアナリスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。

株探ニュース

株探からのお知らせ

    日経平均