【市況】来週の相場で注目すべき3つのポイント:米税制改革法案、米雇用統計、メジャーSQ
ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより
■株式相場見通し
予想レンジ:上限23100-下限22400円
来週は米国の米税制改革法案の行方に左右させられる相場展開になりそうだ。米税制改革法案の年内可決へ向けた動きとしては、11月30日の可決は見送ったが、米共和党のマコネル上院院内総務は1日、税制改革法案の上院通過に必要な票数を確保したとの認識を示した。財政赤字の拡大などに与党・共和党内からも懸念が出ており、楽観視できる状況ではないものの、法案の詰めの作業が続くなか、可決となれば相場の押し上げ要因になりそうだ。
一方で、ハイテク株については、上昇トレンドの中での利益確定による調整とみられる。しかし、先週後半にはアップルやアマゾンなどに買い戻しの動きがみられたが、世界的に相場をけん引してきた半導体関連には相当な資金が向かっていただけに、明確な反転を見極める必要があろう。
その他、米経済指標の発表も多く、雇用統計に向けて良好な内容が先高観を強めるなか、翌週に控えているFOMCでの利上げは織り込んでいるものの、来年の利上げペースへの思惑につながる形で上昇基調が強まる可能性がある。流れとしては金融セクター等に資金が向かいやすいだろう。また、中小型株は今後12月のIPOラッシュに向かう中、短期の値幅取り狙いの商いが活発化するとみられる。
物色対象に広がりは見られていないが、足元では小売や外食など消費関連のほか、人材関連の一角といったセクターへの物色は根強い。師走相場で年間上昇率上位の企業に対する一段高も意識されやすいだろう。4日から8日まで米韓空軍による合同演習が予定されており、北朝鮮の地政学リスクを背景とした防衛関連銘柄の動向にも関心が集まりそうだ。
需給イベントでは先物・オプション特別精算指数算出(メジャーSQ)がある。そのため先物市場では限月交代に伴うロールオーバー中心の売買になりやすく、全体としては方向感に欠く展開になる可能性がある。一方で、SQ値で23000円乗せといったムードにもなりやすく、先高観が高まりやすい相場展開が期待されそうだ。メジャーSQ通過後は、海外勢はクリスマス休暇となるため、師走相場本格化で個人主体の売買に移ることも考えられる。
■為替市場見通し
来週のドル・円は引き続き米税制改正法案の審議の行方が焦点となりそうだ。4日までに上院本会議で税制改革法案を採決し、可決された後に両院で法案を一本化する作業に入ることになる。8日に暫定予算が期限切れとなるため、議会は8日までに予算案を承認しなければならないが、再度暫定予算を組むことで政府機関閉鎖などのリスクは回避されるとみられる。
両院の法案は、法人減税の実施時期以外にも違いがあるものの、水面下での調整は行われている。両院での調整は難航するとの見方は少なくないが、クリスマスまでの法案可決・成立への期待は後退していない。トランプ政権による経済政策の進展への期待は再び高まり、株高・ドル高の相場展開となる可能性がある。
■来週の注目スケジュール
12月4日(月):消費者態度指数、ユーロ圏生産者物価指数、米韓合同演習など
12月5日(火):中財新総合PMI、英総合PMI、ユーロ圏小売売上高など
12月6日(水):豪GDP、独製造業受注、米ADP全米雇用報告など
12月7日(木):景気動向指数、独鉱工業生産指数、米消費者信用残高など
12月8日(金):GDP改定値、独貿易収支、米非農業部門雇用者数など
《TM》
提供:フィスコ