【市況】来週の相場で注目すべき3つのポイント:米感謝祭、米税制改革法案の行方、中小型株へのシフト
日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
■株式相場見通し
予想レンジ:上限22700-下限21900円
来週は週末の米国市場の下落の影響から週初は利食い優勢の相場展開になりそうだが、5日線が支持線として機能するかを見極めたいところ。週末の日経平均は荒い値動きとはなったが、辛うじて5日線を上回って取引を終えている。16日の一時22000円割れから、週末17日の高値までで800円近くの上昇となっており、短期筋の利食いも出やすいところであろう。目先ピークをつけた9日の荒い値動きの場面でも日中値幅が800円を超えていたこともあり、こういった需給変動を交えての相場展開が続きそうである。
11月第2週(6日-10日)の投資部門別売買動向では海外投資家による日本の現物株と先物合計の売買は、909億円の売り越し(前週は1561億円の買い越し)となった。現物株は670億円(同528億円)と7週連続で買い越しているが、合算では9週ぶりの売り越しだった。9日の乱高下の局面で想定はされていたと考えられるが、これまでのインデックス買いに伴う主力大型株主導の上昇には変化がみられるだろう。もっとも、相場のけん引役だった主力処には利益確定も出やすく、売り買いが交錯しやすいだろうが、先高観が後退した訳ではなく、センチメントの悪化にはつながらないと考えられる。それ故に中小型株へシフトしやすい。
また、米国では23日が感謝祭で休場となり、翌24日が「ブラックフライデー」となって一気に年末商戦へのムードが高まろう。日本も23日は勤労感謝の日の祝日となるため、週を通じて商いが膨らみづらい需給状況になりそうである。そのため、インデックスに絡んだ主力処の売買が減少し、物色は個人主体による中小型株にシフトしやすいと考えられる。
年末商戦への思惑から消費関連への物色が意識されそうだが、同関連の勝ち組としては、米アップルの「iPhone X」、任天堂の「スイッチ」とされるなか、半導体関連やゲーム関連などへの物色に向かうかが注目されよう。決算が通過したことから、一気に年末ムードが高まりやすく、年末高を意識した材料株物色も活発となりそうだ。12月に向けてIPOが増えてくることもあり、中小型株へシフトしやすい需給状況になるとみておきたい。
■為替市場見通し
来週のドル・円はトランプ政策の最重要案件である税制改革について、感謝祭前の法案成立を目指し、上院での攻防が予想される。16日までに税制改革法案は下院を通過したが、上院では修正を余儀なくされるとみられている。法案一本化に向けた調整は難航する公算があり、政権公約である法人減税の施行時期は2018年ではなく、2019年にずれ込む可能性もある。また、2018年中の法人減税施行が決まった場合でも市場の期待を下回る内容だった場合、企業業績改善への期待は後退し、株安・ドル安の相場展開となる余地もあろう。
一方、12月12-13日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げは確実視されていることから、投資家の多くはここから先のドル売りには慎重。ただし、来年以降の利上げペースに関しては、経済情勢次第で金利見通しが大きく変わる可能性があるため、積極的なドル買いは手控えられるだろう。
■来週の注目スケジュール
11月20日(月):貿易収支、独生産者物価指数、米景気先行指標総合指数など
11月21日(火):米中古住宅販売件数、イエレンFRB議長が講演など
11月22日(水):国債買い入れオペ、米新規失業保険申請件数、メイ首相党首討論など
11月23日(木):ユーロ圏総合PMI、独製造業PMI、独GDP改定値、米感謝祭など
11月24日(金):米製造業PMI、独IFO景況感指数など
《TM》
提供:フィスコ