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【特集】衆院選通過とアベノミクス大復活、急騰スイッチ「オン」5銘柄 <株探トップ特集>

京進 <日足> 「株探」多機能チャートより

―投票日前“歴史的14連騰”の意味、選挙後だから注目したい特選株―

 天下分け目の衆院選が、いよいよ目前に迫ってきた。選挙直前の情勢は自民・公明の与党が大優勢を堅持、衆院定数465議席のうち300議席に迫る勢いが観測されている。また当初、彗星のごとく現れ脚光を浴びた希望の党は失速。代わりに小池東京都知事の「選別・排除」宣言による化学反応で生まれた形の立憲民主党が大健闘気配にある。選挙は蓋を開けてみなければ分からないが、株式市場では自民・公明の与党有利との見方がコンセンサスとなっており、選挙後の安倍政権の基盤強化を見込んだ投資資金の流入がリスクオン相場を後押ししている。

●安倍政権にフレンドリーな日経平均14連騰

 10月相場を振り返れば、株式市場は安倍首相にフレンドリーな展開をみせている。くしくも日経平均株価の歴史的な連騰記録と重なったことで、いやがうえにもマーケットには高揚感が漂った。将棋界で藤井聡太四段の連勝記録が巷間大いに注目を集めたことは記憶に新しいが、29連勝という歴代単独1位の記録に到達する前の、カウントダウン態勢に入った時と今の東京市場のムードには似たものがある。

 20日の東京市場で日経平均は安く始まったものの、外国為替市場での円安進行が神風となり、これを受けてプラス圏に切り返した。大引けの日経平均は前日比9円高の2万1457円と小幅ながら続伸、1960年12月下旬から61年1月上旬にかけて記録した過去最高記録である14連騰と遂に肩を並べた。週明けの23日にプラスで引ければ、歴代単独1位の15連騰達成となる。

●反動が出てもそこは買い場に

 今回の連騰記録は選挙期間中と重なり、アベノミクス復活期待とオーバーラップしていたこともあって、選挙後は短期的にはその反動も出やすくなる。俗に“出尽くし感”とか“目先達成感”などと呼ばれる相場特有の動きだ。しかし、実際にはその押し目形成場面こそが次の上昇局面に向けた買い場となることが多い。また、テーマに乗る株式需給の良い銘柄であれば全体相場が仮に軟化しても、その間隙を縫って独歩高を演じる。自民党が衆院選公約で掲げた政策項目は、当然とはいえアナウンスで終わるものではなく、早晩現実買いへと舞台を移すこととなっていく。

 自民党の選挙公約のなかで、株式市場で物色テーマとして有力視されているのは、人づくり革命としての子育て・教育無償化、生産性革命に向けた集中投資、働き方改革への積極的な取り組みなどである。人づくり革命では消費増税の使い道として教育投資拡充や待機児童対策、生産性革命では2020年までの3年間を集中投資期間に設定し、予算や規制緩和などを総動員して対応に当たる構えだ。

●人づくり革命でスポットライトが当たる銘柄群

 子育て関連の本命といえば認可・認証保育所や学童クラブなどの施設を展開するJPホールディングス <2749> がまず挙げられる。民間施設の受託運営と公的保育所を運営するライクキッズネクスト <6065> 、首都圏を中心に保育所を運営し自治体の委託費を収益の柱としているグローバルグループ <6189> などもマークされよう。また、スポーツクラブ形式の幼児体育指導を行う幼児活動研究会 <2152> [JQ]なども同テーマの常連だ。

 一方、学習・教育関連では、個別指導塾を展開するリソー教育 <4714> 、通信教育トップのベネッセホールディングス <9783> 、難関校進学塾を運営する早稲田アカデミー <4718> 、集団指導に強みを持つ秀英予備校 <4678> などがある。

 働き方改革では 人材サービスを手掛ける企業群に商機が巡る。総合人材サービス大手のパーソルホールディングス <2181> やリクルートホールディングス <6098> のほか、組織・人事コンサルティングで収益成長を続けるリンクアンドモチベーション <2170> 、IT業界や自動車業界向け技術者を派遣するアルプス技研 <4641> 、UTグループ <2146> [JQ]、アウトソーシング <2427> 、アルバイト人材紹介と給与計算事務代行のフルキャストホールディングス <4848> などが挙げられる。

●京進、東海染工、ピーエイなど国策の隠れ有望株

 ここで見落とされている有望穴株がいくつかある。まず、注目されるのは京進 <4735> [東証2]だ。京都、滋賀などを地盤に私立中・高入試対策を主力とする学習塾を展開するが、保育園・日本語学校などにも大きく展開している。さらに安倍政権が政策フォローする介護分野でも、同社は6月から介護事業をスタートさせていることで、活躍余地を広げていくことになる。株価は9月に入ってから急動意したが、PER11倍は評価不足歴然。14%台の高ROEも考慮され時価1000円近辺のもみ合いは上昇第2ステージに向けた踊り場に過ぎない。

 また、東海染工 <3577> にも意外性がある。同社は染色加工の大手で世界トップクラスの技術を持つことで知られるが、保育サービス事業にも展開している。東海4県で企業内保育所を開設し、同事業拡大に積極的だ。18年3月期は減益見通しだが、PER10倍、PBR0.7倍台は割安感が強い。

 さらに、求人サイト運営を行うピーエイ <4766> [東証2]も見直し余地がある。求人サイトだけでなく保育事業も展開しており、保育士の育成と働く環境を考えた「ココカラ保育園」を展開している。働き方改革と保育・教育無償化の両面テーマで注目度が高い。株価200円未満と値ごろ感がある点も強みだ。

●生産性革命でIT系設投関連に上値余地

 他方、生産性革命について安倍政権は ロボットIoT 人工知能(AI)を駆使して生産性を劇的に高める最先端のイノベーションを起こすことを青写真に描いている。

 関連銘柄としては、NC装置世界首位で産業用ロボットでも高い商品競争力を持つファナック <6954> や、FAセンサー大手で北米・欧州・アジアなど海外幅広い地域に顧客基盤を持つキーエンス <6861> 、メカトロ製品のトップメーカーで産業用ロボットやインバーターなどで高実績を有する安川電機 <6506> などが本命格。このほか、制御機器トップのオムロン <6645> やCAD/CAMシステムで世界的な図研 <6947> 、精密減速機メーカーのハーモニック・ドライブ・システムズ <6324> [JQ]などが対抗馬というところ。

●急騰穴株候補はITbook、ネクストウェア

 ただ、収益インパクトという点では時価総額の小さい中小型株の方が政策恩恵に授かれる。そこで注目したい穴株としてまず挙げられるのが、独立系ながら官公庁向けで高実績を誇るITコンサル企業、ITbook <3742> [東証M]だ。「電子政府」拡大に向けた関連最右翼であると同時にIoT分野の製品販売で今後ビジネスチャンスが広がりそうだ。

 また、ネットワークの運用代行を手掛けるネクストウェア <4814> [JQ]も国策テーマのもと株価が大きく見直される可能性を内包している。メガバンクや金融庁が注力を開始したフィンテック分野でもカギを握るブロックチェーン分野に踏み込んでいる。ブロックチェーン技術を持つシビラ社(大阪市)と資本・業務提携しているが、これは、同社が開発を進める顔認証システムやデジタルマップなどの分野に活用する戦略で、IoT時代到来で必須となる高度機密情報のマネジメントを可能とする。

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