【特集】国策“人づくり革命”関連株躍進へ、注目「21銘柄」リストアップ <株探トップ特集>
TAC <日足> 「株探」多機能チャートより
―与党優勢観測で「政権公約」が株価後押し、有望株を再点検―
衆院選は22日の投開票日に向けて終盤戦を迎えている。メディア各社のここまでの情勢分析では、自民・公明の両党で300議席を超える勢いを示すなど与党の優勢が伝えられている。選挙後もアベノミクスの経済政策継続が有力視されるなか、安倍政権が掲げている「人づくり革命」に関連して貢献が期待できる銘柄に改めて注目した。
●与党優勢予想で自民公約「人づくり改革」に注目
自民党の政権公約集「自民党政策BANK」によると、人づくり革命について、「子育て世代への投資、社会保障の充実、財政健全化にバランスよく取り組みつつ、“人づくり革命”を力強く進めていくため、消費税率10%への引き上げに伴う増収分などを活用した2兆円規模の新たな政策を本年末までに取りまとめる」としている。
具体的には、2020年度までに、3歳から5歳まですべての子どもたち、低所得世帯の0歳から2歳児の幼稚園や保育園などの費用を無償化する。また、待機児童解消に向けて、「子育て安心プラン」を前倒しし、20年度までに32万人分の保育の受け皿整備を進めるとしている。
また、意欲と能力のある子どもたちが経済的理由により専修学校や大学への進学を諦めることのないよう、授業料の減免措置の拡充や、給付型奨学金の支給額を大幅に増やすことで、真に支援が必要な所得の低い家庭の子どもに限って、高等教育の無償化の実現を挙げている。
さらに、生涯を通して新たな知識と時代の変化にあったスキルの獲得が必要とされる人生100年時代を見据え、「いつでも、誰でも」学び直しと新しいチャレンジの機会を確保できるようリカレント(学び直し)教育を抜本的に拡充することを目指すとしている。
家庭環境に左右されない教育機会の確保へ向けて投資が重要であるという認識は与野党変わりなく、選挙結果によらず推進されることになりそうだ。こうした政策の推進に伴い、生涯教育を含めて国民全般から教育に対する関心が高まることや、子育てに伴う不安の軽減による出生率の改善で、教育関連企業の貢献場面を迎えることになりそうだ。
●JPHD、子育て支援の業界最大手で新規事業も手掛ける
認可・認証保育所など保育施設を運営する子育て支援の業界最大手のJPホールディングス <2749> は、18年3月期の連結業績予想を売上高261億2500万円(前期比14.6%増)、経常利益14億円(同3.7%増)と見込んでいる。同社の6月末時点の運営数は計270施設(保育所182、学童クラブ71、児童館12、民間学童クラブ5)に達している。また、新規開設・運営に関するコンサルティングなども手掛けている。足もと18年3月期第1四半期(4-6月)の連結経常利益は、3億1100万円(前年同期比2.9倍)の好調推移となっている。
●TAC、学び直し教育推進が追い風に
TAC <4319> は、会計、法律、公務員など幅広い分野の資格を取得するための「資格の学校」として知られている。「人づくり革命」が改めて国策として推進されることで、リカレント(学び直し)教育などを含めて、教育関連事業を担う同社にビジネスチャンスが到来するとの見方がある。同社の18年3月期の連結業績予想は、売上高209億円(前期比2.3%増)、経常利益7億8000万円(同12.7%増)を見込んでいる。PERは11倍水準、PBR0.9倍台と株価指標面では割安水準にある。
●東京個別指導、品質・高付加価値なサービスを追求
東京個別指導学院 <4745> は4日、18年2月期第2四半期累計(3-8月)の単体決算を発表した。売上高は89億1800万円(前年同期比7.5%増)、営業利益は4億6100万円(同9.2倍)、最終損益は2億7400万円の黒字(前年同期2100万円の赤字)だった。第2四半期累計期間は、「都市部ドミナント戦略」や、最適メディアの選択によって広告宣伝費を抑制しながらも、効率性高く顧客接点の拡大を図ったことにより、問い合わせ数、新規入会者数はともに堅調に推移している。また、ホスピタリティを基軸とした顧客に満足してもらえる高品質・高付加価値なサービスを追求し、提供してきたことが在籍生徒数の増加に繋がるなど、着実な好循環を創出している。
●ライクキッズネクスト、公的保育事業の収益が急拡大
ライクキッズネクスト <6065> は9月11日に、18年4月期第1四半期(5-7月)の連結決算を発表した。経常利益は、5億4900万円(前年同期比3.2倍)と急回復をみせている。この第1四半期実績だけで、通期計画の13億円(前期比27.6%増)に対する進捗率は42.2%に達しており、業績上方修正への期待感が強まっている。都内に認可保育園2施設を開設したうえ、補助金収入の増加も寄与し、公的保育事業の収益が急拡大した。適正価格での契約更改が奏功し、受託保育園事業の採算が改善したことも増益に貢献している。
●進学会、城南進研・学研HDとの資本・業務提携に期待感
進学会ホールディングス <9760> は2日、学研ホールディングス <9470> および城南進学研究社 <4720> [JQ]とそれぞれ資本・業務提携したと発表しており、業績貢献への期待感が高まっている。今回の資本・業務提携は、学研HDとは教室・学習塾の連携や学習コンテンツの共同開発、城南進研とは個別指導部門における学習指導ノウハウの共有や学習塾部門における受験指導ノウハウの共有などを目指したもの。これに伴い、進学会は学研HD株の発行済み株数の4.39%を19日までに15億円で取得するほか、城南進研株については同4.29%を約1億5000万円で取得済み。一方で、学研HDは進学会HD株の5%以上を取得する予定のほか、城南進研も進学会HD株を1億5000万円分を目安に取得する予定としている。18年3月期の連結業績は売上高66億円(前期比7.8%増)、経常利益7億円(同4.5%増)を見込んでいる。
◆主な人づくり革命関連銘柄◆
予想経常
銘柄 <コード> 増益率 株価 PER
幼児活動研 <2152> [JQ] 3.2 1910 17.3
成学社 <2179> [JQ] 20.6 953 32.5
JPHD <2749> 3.7 393 43.0
東海染 <3577> ▼11.2 1519 10.1
TAC <4319> 12.7 269 11.3
明光ネット <4668> ▼25.2 1313 29.3
秀英 <4678> ▼44.7 461 68.7
クリップ <4705> [JQ] 90.2 915 18.4
リソー教育 <4714> 18.1 876 30.8
早稲アカ <4718> 8.1 1684 19.4
東京個別 <4745> 11.0 967 31.1
イトクロ <6049> [東証M] 26.7 4800 43.4
ライクKN <6065> 27.7 2374 15.6
グローバルG <6189> ▼23.9 2318 23.5
ピジョン <7956> 13.0 3920 36.1
学研HD <9470> 6.1 3285 14.4
ウィザス <9696> [JQ] 35.2 436 16.1
ナガセ <9733> [JQ] 16.5 4650 11.7
進学会HD <9760> 4.5 661 24.9
学究社 <9769> 15.7 1586 15.7
ベネッセHD <9783> 35.3 3915 34.6
※株価は18日終値、単位:%、円、倍
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