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【特集】12連騰“日経平均”、過去最高「15連騰」達成の確率

日経平均12連騰、歴代3位に並ぶ!過去最高15連騰挑戦へ

 東京株式市場では日経平均株価が驚異的な連騰を続けている。きょう18日は利益確定売り圧力との戦いとなり、前日終値を挟んでの攻防が続いたものの、結局戻り売りをこなし切り、大引けは前日比26円高の2万1363円と遂に12日続伸となった。中小型株は売りに押されるものも多かったが、大型株への買いが全体指数を支えた。12連騰は2015年5月15日から6月1日までの記録と並び歴代3位タイ。2年5ヵ月ぶりの連続上昇でサイコロジカル100%(12勝0敗)は市場関係者の間でも挨拶代わりの話題となっている。

 この上の記録となると、約30年前、バブル絶頂へと向かう1988年2月に達成した13連騰と、今から半世紀以上前の1960年12月から翌年1月にかけて達成した14連騰の2つを残すのみとなる。

●2日新甫は荒れるハズが…

 10月下期相場入りとともに始まった今回の連騰記録。スタートは10月2日で、証券界では「2日新甫は荒れる」という通説があるが、これが日経平均の一方通行の上昇という形で具現化するというのも、今の世界株高の流れのなかで何やら暗示的ではある。

 東京市場では、9月第4週を境に一気に買いの主役に躍り出た外国人投資家が牽引役となり、株価の居どころが大きく変わる格好となっている。外国人買い出動とタイミングが合致したのが、安倍晋三首相が決断した衆院解散・総選挙だ。過去を遡っても、解散・総選挙に際しては政策期待が株価を支え、選挙投開票日までの1ヵ月間の比較で日経平均がマイナスとなったケースはほとんどない。10月22日投開票までの上値追いトレンドは鉄板アノマリーといってもよい。とはいえ、120%強で過熱領域とされる騰落レシオは前日時点で、東証1部が138.6%、日経225に限っていえば何と168.8%となっており、際立って強い地合いであることを物語っている。

●10月10日がポイントに

 10月に入ってからきょうまで12連騰の日経平均の軌跡を簡単に振り返ってみる。まず名実ともに下期相場入りとなった2日に日経平均は44円高で静かに上値追いを始めた。米株高と円安に加え、9月の日銀短観で大企業製造業DIが市場コンセンサスを上回ったことが追い風となった。

 その後も米株高と歩調を合わせ前日比プラスでの着地が続き、体育の日を挟んだ3連休明けの10日がひとつのポイントとなった。利食い圧力を吸収して132円高とほぼ高値引け。この日が注目されたのは衆院選の公示日であるとともに、北朝鮮の朝鮮労働党の創立記念日にあたり、地政学リスクに対する警戒も強かったためだ。結果的に選挙情勢は希望の党失速で自民・公明の与党有利との観測が強まったほか、北朝鮮が軍事的威嚇行為を見送ったことで、この2つを受けてリスクオン相場の流れが加速したという経緯がある。そして翌11日、この日は値下がり銘柄が値上がり銘柄数を上回ったが、日経平均は粘り腰をみせ57円高と7日続伸、15年6月につけた“アベノミクス高値”2万0868円を遂に上回った。

●米国株高の恩恵は地政学リスクも凌ぐ

 その後も利益確定売り圧力は常に上値の重しとなったが、それを振り払っての上昇。市場関係者も目先行き過ぎに買われているという見方を示しながらも、ファンダメンタルズ的には妥当な水準との見方が強いようだ。

 第一生命経済研究所・経済調査部主任エコノミストの桂畑誠治氏は「日経平均の記録的な連騰は米国株が上昇基調を強めていることが最大の背景であり、それに引き寄せられる形で東京株式市場には浮揚力が働いている」という。いいとこ取りでNYダウは9月27日からの15立会日で12勝3敗、ナスダック総合指数は9月26日からの16立会日で13勝3敗という“高勝率”だ。

 加えてこのほかの外部環境面からは、「安倍首相の衆院解散・総選挙の英断で自民党の政治基盤が強まると考えられること、また10月に入ってからは北朝鮮の軍事的挑発が見られていないこともプラスに働いている」(桂畑氏)とする。10日の衆院選公示日は北朝鮮の朝鮮労働党創建記念日であったが、北朝鮮は動かなかった。今後ミサイル実験の可能性は十分にあるが、足もとの投資家の不安心理の後退も連騰の背景にある。

●アベノミクス3.0への期待感高まる

 一つ気になるのは、今回の宴が終わった後の反動だ。過去10回の、衆院選の投開票日までの1ヵ月間は上昇するケースが9回と極めて高いものの、その後の1ヵ月間でいえば7回が下落している。また、「大型連騰後は1ヵ月タームで見た場合は値下がりする例が多いのは事実」(国内証券調査部)とも指摘されている。

 しかし、もう少し長い目で見れば、また違った風景が広がる。こうした目を見張るような強い地合いは長期上昇波動の入り口となるケースが少なくない。東洋証券ストラテジストの大塚竜太氏は「さすがにスピード警戒感は拭えないが、もう少し長い目で見ればここでの連騰劇は先高期待を集約したもの。“アベノミクス3.0”に対する外国人投資家の期待感は強い。米国経済の好調と米株高に牽引される相場が続きそうだ」としている。

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