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【特集】大塚竜太氏【最悪期は過ぎたのか? 見え始めた"良化の種"】(1) <相場観特集>

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

―“Xデー”通過で大幅反発、これは“Wボトム”の確認待ちなのか―

 週明け11日の日経平均株価は急反発となった。有事リスクが懸念された9日の北朝鮮の建国記念日だったが、ミサイルは発射されず足もとの投資家心理が改善、空売り筋の買い戻しを絡め全般は戻り相場の色を強めている。しかし、北朝鮮を巡る地政学リスクはくすぶり続けている。実需買いが継続するような地合いともいえず、戻り一巡後の全体相場の動向が気になるところ。投資家はここでどう対応すべきか。相場の先読みに長けるベテラン市場関係者2人に今後の東京市場の見通しを聞いた。

●「押し目があれば積極買いで対処」

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

 11日の日経平均の戻り相場はやや違和感を伴うくらいの強い足をみせたが、北朝鮮リスクを念頭にショートポジションを積んでいた向きの買い戻しが機能した結果であろう。基本的に国内企業業績は良好であることは理解しておく必要がある。日経平均が思惑先行で下値を探る場面は好業績銘柄を中心に買い場探しの場面と考えておきたい。

 今月末から来月の半ばにかけて8月決算企業の本決算と2月決算企業の中間期決算発表が順次行われる。流通・小売など消費関連企業が多いが、総じて好調とみており、ここでの数字が3月決算企業の中間期決算発表に先立つ形で、株式市場に好影響を与えるのではないかとみている。3月決算企業は第1四半期の決算発表時に通期業績見通しを上方修正するところも珍しくなかった。中間期時点では、さらに通期予想を増額してくる企業が増える可能性が高まる。時間はやや要してもEPSの上昇はいずれ全体株価に反映されることになり、冷静にみれば1万9000円台前半は仕込みに動くチャンスだ。

 外国為替市場での円高進行を買わない理由としてあげる声も多い。しかし、足もとは1ドル=108円近辺の円高局面にあるとはいえこれが常態化するわけではなく、もっと中期的な視点が求められる。4月~8月末までの5ヵ月間のドル円相場の平均は約1ドル=111円12銭である。欧米の金融政策が出口に向かっていることは確かだが、日本は黒田日銀総裁が強調するようにデフレ脱却に向け超金融緩和環境の継続が約束されている。遅かれ早かれ対ドルで110円台に戻る日がくるだろう。10月中には、為替相場を横目に日経平均2万円台乗せも視野に入りそうだ。

 物色対象としては、まず主力株ではトヨタ自動車 <7203> 。円高で最も影響を受けやすい銘柄であることは論をまたないが、8月末以降の株価は上値を慕う動きを徐々に強めている。通期想定為替レートは1ドル=110円と円安方向に修正しているが、業績はむしろ上振れ余地があり、買い戻しに動く機関投資家資金の流れを株価は映し出している。

 中小型株としては電線地中化をテーマにゼニス羽田ホールディングス <5289> [東証2]に妙味がありそうだ。無電柱化は東京五輪開催に向けて今後加速することが予想され、共同溝を手掛ける同社株は見直し機運が台頭しそうだ。300円台半ばで売り物を吸収しており、もみ合いを上に放れるタイミングが近いのではないか。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。

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