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2017年09月09日19時30分

【特集】有事モードの東京市場で“逆行高”気配、急騰前夜の「ワケあり材料株」 <株探トップ特集>

チタン <日足> 「株探」多機能チャートより

―リスクオフの光と影、視界不良のマーケットで「上値余地」の香りを追う―

 株式市場全般は北朝鮮を巡る極東アジア情勢の緊迫化が重荷となっている。9日の北朝鮮の建国記念日を過ぎても、折に触れ軍事的な威嚇行動が行われる可能性は高く、仮に挑発的な動きを見せた場合、それに対する米国の反応にマーケットは身構えることになる。

 リスクオフの流れを象徴するように、外国為替市場ではドル安・円高が進み、債券市場には資金がなだれ込む。当然ながら日経平均株価は上値の重い展開を強いられている。しかし、必ずしも悲観的な地合いとはいえない。中小型材料株の一角は勢いのあるところをみせており、ここは全体指数に惑わされず、上値期待が膨らんでいる値動きの軽い材料株に照準を絞りたい。

●“有事モード”で銘柄物色の流れに変化

 地政学リスクを背景として軍需に絡む銘柄やセクターに物色の矛先が向いている。買いを引き寄せている銘柄を改めて眺めれば、決して防衛関連一色というわけではない。しかし、資金の流れる方向は、程度の差こそあれ一様にキナ臭さを漂わせていることに気付く。

 例えば、ひところの人工知能(AI)関連株の人気を想起させるような総花的上昇をみせるリチウムイオン電池関連株も、表向きは電気自動車(EV)の普及加速シナリオとほぼイコールで結ばれているものの、底流では潜水艦や戦闘車両用など軍需的な側面で見られている部分もある。また、ここ最近目立つ非鉄株の動兆も、中国をはじめ世界景気回復をベースとした商品市況高が背景にあるとはいえ、“有事の金買い”の延長線上に今の資金の流れを定義づける向きも少なくない。

●業種を問わず投資のコンセプトも変わる

 防衛関連というと元来、その市場拡大余地には言及しづらく、これまで物色テーマとして正面から向き合うことはあまりなかった。しかしここにきて、個別に直接的な関連性を持つ銘柄は限られても、相場全体の流れに大きな影響を与えていることが明白となってきた。これは日本市場に限ったことではなく、それに見合った投資スタンスをとる必要がある。有事への思惑は、少なくとも株式市場が「IT全盛」から「リアル世界モード」に引き戻されるひとつの呼び水になったことは確かであり、今後は業種・業態を問わずそれを念頭に置いての銘柄選別が重要となってくるだろう。

 別掲の10銘柄は今の波乱含みの地合いに飲まれることなく、上値を追う可能性を内包した妙味株を厳選したもの。「急騰性」は短期スタンスの投資家にとって魅力だが、一方でファンダメンタルズや収益成長シナリオを考慮した「中期的な上値余地」にも注目したい。

●チタン工はリチウム電池&ノーベル賞絡みで注目

 チタン工業 <4098> は超微粒子酸化チタンを展開する業界の草分けで、リチウムイオン電池向けにチタン酸リチウムを提供する。10月2日から順次受賞者発表が行われるノーベル賞では、リチウムイオン電池は最右翼にある。光触媒の活性物質である酸化チタンは改めて注目される可能性が高い。

 伊勢化学工業 <4107> [東証2]は世界首位級のヨウ素生産量を誇り、コンデンサーやリチウムイオン電池の正極材となるコバルトやニッケル系金属化合物も手掛ける。PBRは解散価値を4割以上下回る0.5倍台に放置されている。

●一工薬はリチウム電池材料で大化けも

 第一工業製薬 <4461> は界面活性剤の大手で企業の設備投資拡大を背景に機械向けなどの需要を取り込むほか、超ビッグプロジェクトであるリニア中央新幹線のトンネル工事に使う固結材も手掛け、中期的にも収益環境は良好。また、リチウムイオン電池正極材の高性能化および安全性を引き出すイオン導電性高分子電解溶媒を製造していることがポイントで大化け素地を持つ。また、連結子会社にリチウム電池開発企業のエレクセルを擁している。

 ヤマックス <5285> [JQ]はコンクリート2次製品を手掛け、九州に本拠を構えるが首都圏での展開も厚く、東京五輪特需で潤う。官公需で高実績を有しており、国土強靭化地域計画が推進されるなか、防災だけでなく国家防衛としてのインフラ整備を担う、PERはわずか7倍に過ぎない。

●鉱山運営で大幅増額の目が出てきた東邦亜鉛

 東邦亜鉛 <5707> は、亜鉛と鉛を軸に製錬・鉱山事業を展開。買収した豪州鉱山の収益貢献度が高い。非鉄市況上昇が顕著で軒並み数年ぶりの高値圏に浮上するなか、鉱山を保有する同社への利益寄与が大きいとの認識が強まっている。現状の亜鉛価格から18年3月期業績は大幅に上振れる公算大との声が市場では強い。

 菊水電子工業 <6912> [JQ]は電子計測器および電源機器を製造、耐電圧試験器や直流安定化電源で強みを持つ。電気自動車(EV)向け耐電圧試験器の需要が旺盛、リチウムイオン電池の評価試験では充放電システムコントローラーを手掛けている点も注目されている。

●OKAYAは漏洩電磁波対策用フィルターで思惑

 日本タングステン <6998> [東証2]は耐熱性に優れるタングステンやモリブデンなどレアメタルの加工を手掛けており、放射能から身を守るシェルター関連として思惑人気を集めている。PBRやPBR面で割安な点、株価が低位に位置する割にそれほど信用買い残が重くない(1日申し込み現在)点も買いが続く背景にある。

 岡谷電機産業 <6926> はEMI(電磁波障害)規制などへの対応に有効な漏洩電磁波対策用フィルターを手掛けていることが思惑を呼んでいる。業績面でも産業機械向けにノイズ対策コンデンサーが好調で、18年3月期は前期に続き大幅営業増益見通しにあり、実態面から見直し余地がある。

●タンカーとばら積み船市況回復で共栄タンカー

 共栄タンカー <9130> はここにきてのタンカー運賃の急上昇が株高の原動力。これは米国の大型ハリケーン「ハービー」による被害で製油所の操業が停止し、米国向け石油製品の輸送需要が急増していることが背景だ。直近では大型ハリケーン「イルマ」がフロリダに接近、同様の思惑が株価を刺激する可能性がある。また同社は、ばら積み船も展開し、かつてはバルチック海運指数との株価連動性が高い銘柄として知られていた。7月中旬を境にバルチック指数は急上昇傾向にあり、7日現在で約5ヵ月ぶりの高水準に達している。

 宇徳 <9358> は港湾運送を主力とし核燃料輸送でも実績を持つ。業績はコンテナ関連業務が好調で、内航貨物の取り扱いも増加、18年3月期第1四半期の営業利益は前年同期比2.5倍に急拡大した。また、重量物運搬に強い同社にとって、国土交通省が連結トラックなどについて、政府補助金を出す方針を固めたことは追い風との見方。

◆上値期待大のワケあり材料株10選◆
                    中期的
銘柄 <コード>       急騰性    上値余地
チタン <4098>       ☆☆☆☆   ◇◇
伊勢化 <4107> [東証2]  ☆☆☆    ◇◇◇◇
一工薬 <4461>       ☆☆☆    ◇◇◇◇◇
ヤマックス <5285> [JQ] ☆☆☆☆   ◇◇◇
東邦亜鉛 <5707>      ☆☆☆☆   ◇◇◇

菊水電子 <6912> [JQ]  ☆☆☆☆☆  ◇◇◇
タングス <6998> [東証2] ☆☆☆☆   ◇◇
OKAYA <6926>     ☆☆☆☆   ◇◇
共栄タ <9130>       ☆☆☆☆   ◇◇◇
宇徳 <9358>        ☆☆☆    ◇◇

※急騰性は☆が多いほど強く、中期的上値余地は◇が多いほど大きい。

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