【市況】【植木靖男の相場展望】 ─ 成長テーマ株に反騰の兆し
株式評論家 植木靖男
「成長テーマ株に反騰の兆し」
●地政学リスクが冷や水も、株価は底値圏入り
株価は北朝鮮による核実験で想定外の展開となり、先行き不透明感が一段と強まっている。
相場に「もし何かが起きていなければ…」というのは禁句であるが、もし北朝鮮が核実験を行っていなければ、おそらく9月1日に底入れ確認という状況に到っていたのでは、と思わざるを得ない。それほど8月30日からの反転上昇は底入れというにふさわしい値動きであった。
その後の北朝鮮の核実験、つれての円高は、そうした底入れ感を一気に吹き飛ばしてしまった。
とはいえ、9月にかけての日経平均株価が400円を超す急伸をみせたことは意味ある上昇として評価されよう。つまり株価は、底入れ圏に入ってきたことを示唆しているといえよう。
さて、材料面から考えてみたい。
とにもかくにも、わが国の株価がいまは円相場によって左右されていることに異論はない。
まず、北朝鮮の核実験。それに対応した米国の反応から、メディアは常の如く大騒ぎして、もし米朝間で戦争が起きたら、わが国の株式市場はどうなる的な記事が氾濫している。
憶測が憶測を呼び、それに市場は反応することになる。この種の話は誰にもわからないだけに、流行病的騒擾(そうじょう)を引き起こす。誰も否定することができないだけに、話はますます尾ひれが付きやすい。
市場は所詮、投資家心理の集約である。収まるのを待つしかない。
●下げても1万8900円~1万9200円処
ところで、こうした不安感は有事における安心通貨の円を買う動きにつながり、円相場は一気に111円台から108円台に突入した。
そもそも論からいえば、昔から“遠くの戦争は買い、近くの戦争は売り”とされている。北朝鮮の核実験は、近隣諸国に大いなる脅威を与える。つまり、円が安全通貨であるはずがないのだ。
だが、現実に円高が進んだ。政治的リスクから、これまで4月に108円台、6月、8月にも108円台に入った。だが、いずれも108円台での滞空時間は短かった。9月に入って再び108円台に入っているが、今回はどうか。悩ましいところだ。米長期金利は本年6月の2.125%を割り込んできた。もっとも昨年7月の1.36%が歴史的な大底とみれば二番底は2%前後か。
ともあれ、いまの株価水準は底値圏といえよう。罫線上からも、今後下げても1万8900円~1万9200円処で決着すると判断される。
個別には、指数より一足早く、ロボット、宇宙、素材、医療、半導体、工作、産業機械の一角に台頭の兆しもみえる。
具体的には、島津製作所 <7701> 、アドバンテスト <6857> 、IHI <7013> 、コマツ <6301> などに注目したい。
2017年9月8日 記
株探ニュース