【市況】米国株式市場見通し:多くの主要経済指標が発表予定
先週の株価は医療保険制度改革法(オバマケア)代替法案の採決が撤回され、政権運営への不透明感から軟調に推移したが、税制改革を巡る議論に焦点が移り、株式相場は落ち着きを取り戻しつつある。しかし、トランプ政権の政策実現能力に懸念が生じたことで、新政権への期待を背景とした株価上昇は一服し、今後は政策の内容や実現時期を慎重に見極めたいとの思惑が広がるだろう。また、6-7日には米中首脳会談が予定されており、領土問題や貿易問題を巡る交渉で何らかの進展があるか注視したい。
経済指標では、3月ISM製造業景況指数(3日)、2月建設支出(3日)、2月貿易収支(4日)、2月製造業受注指数(4日)、3月ADP雇用統計(5日)、3月ISM非製造業景況指数(5日)、3月雇用統計(7日)、2月卸売在庫(7日)などの発表が予定されている。5日には、3月14-15日開催のFOMC議事録も発表される。先週、消費者信頼感指数が16年ぶりの高水準となり、雇用見通しも大幅に改善したことで米景気に対する楽観的な見方が広がりつつある。予想を上回る堅調な内容となれば、年内の追加利上げ見通しにも影響を与えそうだ。
個別企業では、種子メーカーのモンサント(5日)、ドラッグストアのウォルグリーン・ブーツ・アライアンス(5日)、アルコール飲料のコンステレーション・ブランズ(6日)、自動車販売のカーマックス(6日)などが予定されている。ウォルグリーン・ブーツ・アライアンスは、同業ライト・エイドの買収を巡る連邦取引委員会(FTC)による承認手続きが難航していると報じらており、FTCからの回答期限を6月末に設定したもようである。
ファクトセット社の調査によれば、1-3月期のS&P500構成銘柄の利益は、昨年末時点で前年同期比12.5%の増加が予想されていたものの、24日時点では同比9.1%の増益予想と、時間の経過と共に引き下げられてきている。最大の要因はフリーポート・マクモランなど、資源価格の影響を受けた素材セクターだ。しかし、それでも11年10-12月期以来の利益成長(前年同期比)となる見通しで、4月は米国の確定申告に関連して需給要因も良好なことから株価上昇が続きそうだ。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
提供:フィスコ