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2017年02月27日20時00分

【特集】紙パルプ株に“ビッグウェーブ”、「宅配限界」との隠れた関係 <株探トップ特集>

大王紙 <日足> 「株探」多機能チャートより

―通販急増、インバウンド需要拡大が強力追い風になる理由―

 いま紙パルプ業界に注目が集まっている。人口の減少や出版物の低迷、ペーパーレス化の加速などにより苦渋を味わってきた業界だが、ここにきて潮流の変化が見えてきた。背景には、訪日客増加によるインバウンド需要に加え、通販市場の急拡大がある。また、大手各社が相次ぎ値上げを発表、収益への貢献も期待される。変貌を見せる紙パルプ業界の現状と今後の動きを探った。

●インバウンド、恩恵はこれから本番

 紙のインバウンド(訪日客)需要が拡大している。中国人観光客のいわゆる爆買いが沈静化して、一連のインバウンド関連と称される企業の業績には暗い影を落としているにもかかわらず、なぜ紙だけが好調なのだろうか。一般のおみやげ消費とは違う視点から、それは見えてくる。

 政府観光局によると、2016年の訪日客数は前年比21.8%増の2403万9000人で、統計を取り始めた1964年以降で最多となったという。また、今年1月は前年同月比24.0%増の229万6000人。16年1月の185万2000人を44万人以上上回り、1月として過去最高となった。政府が目標に掲げる20年までの訪日客4000万人に向けての道のりを着実に歩んでいる。

 爆買いは沈静化したものの訪日客数は依然増勢にあり、ホテルなど宿泊施設でのトイレットペーパー、ティッシュの需要は拡大する一方だ。「おカネは使わなくても、トイレットペーパーは必ず使用しますから」(製紙業界関係者)。さらに、滞在日数を考慮すれば訪日客の増加は人口増にも匹敵するという声もあり、訪日客4000万人に向けての動きが着実に成果を見せるなか、需要拡大は必至といえる。日本製紙連合会が1月20日に公表した「2017年 紙・板紙内需試算報告」のなかで、17年のプラス要因として「インバウンド効果の継続、訪日外国人の増加による消費需要(特に衛生用紙分野)」「商業施設、ホテルの増加に伴う関連需要」を挙げている。

ネット通販急拡大で段ボールにビッグウェーブ

 さらに、ヤマトホールディングス <9064> 傘下のヤマト運輸が「荷物取扱量を抑制する検討に入った」と伝わり、人手不足に加え急拡大するネット通販に対応できない状況が浮き彫りにされている。かねてから通販の急拡大により宅配業者の負担増は伝わっていたが、この事例でさらに鮮明化。しかし、凄まじいばかりの通販利用は、配送物の梱包に使用される段ボール需要の拡大を意味する。前述の日本製紙連合会の報告でも段ボール原紙の予測として「通販・宅配・引っ越し向けは、ネット通販を中心に好調で、スマートフォンの普及や高齢化社会は追い風になると見られ、増加が予想される」と分析している。段ボールではレンゴー <3941> 、トーモク <3946> に加え、この分野でも力を発揮する王子ホールディングス <3861> にも活躍期待が高まる。

●値上げの春で採算改善へ

 大手各社の値上げの動きが加速、これも業績を大きくバックアップする。21日、日本製紙 <3863> と大王製紙 <3880> が、4月1日出荷分からの印刷・情報用紙の値上げを発表した。

 「紙パルプセクターはここ値上げの動きが相次いでいるが、これは意外と株価へのプラスのインパクトが強い。最近では労働組合が宅配便の荷受量の抑制を求めたとの報道でヤマトHDの株価が急動意したが、これは同社のビジネス上の不採算が緩和されるとの思惑によるものだ。株価上昇は企業の採算改善に対する評価といえる。典型的なのは食品セクターで、原料やコスト高をすぐに販売価格に転嫁しやすい強みを持っており、製品値上げの話が出ると必ずと言っていいほど株価は上値を指向するパターンとなる」(準大手証券アナリスト)としている。

 エリエールブランドの大王製紙にも注目が集まっている。10日には、日清紡ホールディングス <3105> の紙事業を約250億円で買収すると発表。これによりトイレットペーパーなど家庭紙で一段の攻勢に出る構えだ。また、18年には最新鋭の家庭紙生産設備を稼働する予定にある。そのほか三菱製紙 <3864> 、北越紀州製紙 <3865> 、中越パルプ工業 <3877> 、巴川製紙所 <3878> などにも、潮目が変わるなか目を配っておきたい。

●低PBR株の宝庫

 前出の準大手証券アナリストは「紙パセクターもここ印刷用紙などの値上げの話が出ているのは、利益率改善につながる話として素直に株価を刺激している。ただし、値上げが通るかどうかはまだはっきりしない部分もあり、個別に明暗を分ける可能性はある。また、紙パセクターは低PBR株の宝庫でもある。業界大手の日本製紙ですら0.6倍前後だ。株価指標面からは出遅れ感が極めて強い。トランプ相場では蚊帳の外のセクターだったが、ディフェンシブ的な要素もあり、今後注目される可能性はあろう」と指摘する。

 紙の需要が落ちるなか、さまざまな切り口で再評価機運が高まる紙パセクター、いま熱い視線が集まっている。

株探ニュース

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