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【市況】中村潤一の相場スクランブル 「“倍騰株”探しは来期業績がポイント」

株経ONLINE 副編集長 中村潤一

株経ONLINE 副編集長 中村潤一

●世界が注目する“見えない”第9惑星

 昨年1月、カリフォルニア工科大学のマイケル・ブラウン教授が、数値モデルとコンピューターシミュレーションから、太陽系の「第9惑星」が存在する可能性を指摘して世界の耳目を集めました。個人的にも興味がそそられましたが、ここにきて国立天文台のすばる望遠鏡を使った観測が本格的に始まったことが報じられています。ちなみに2015年の7月にNASAの探査機「ニューホライズンズ」接近で話題となった冥王星は準惑星に“格下げ”されています。その理由は冥王星と似た大きさの太陽系外縁天体が続々と確認されたためで、これも科学の進歩がもたらした結果とはいえるのですが、それに代わる今回の“見えない惑星”については、見えなくても地球の10倍以上の質量と想定されており、小惑星や準惑星ではない、ということのようです。

 しかし、太陽からの距離は最大で1500億キロメートル以上、太陽系第8惑星である海王星の約40倍、太陽―地球間との距離比較では約1000倍という気の遠くなるような彼方にある未知の天体。明るさは22等星以下で、この神話の領域ともいえるかすかな光をとらえようという試みには、感嘆するよりありません。

 いささか短絡的ではありますが、宇宙関連という括りで見た場合、関連株は大手では三菱重工業 <7011> やIHI <7013> 、NEC <6701> といったところ。値動きの軽い中小型株では衛星の観測データを活用するアジア航測 <9233> [東証2]や宇宙ゴミ関連の日東製網 <3524> 、ロケット推進薬を製造するカーリットホールディングス <4275> といった銘柄が候補に挙がります。10日の日米首脳会談を経て、今後、麻生副首相とペンス副大統領のもとで議論を進めていく経済対話のなかでもサイバー分野と並んで、宇宙分野での協力が掲げられており、株式市場で宇宙関連がテーマ性を帯びてくる可能性は十分にあると思われます。

●トランプ政策はAIでは真似できない

 また、「第9惑星」についての報道では別の意味で考えさせられるものがありました。株式市場を至近距離で眺めていると、時間軸も目先にとらわれ、こうした遥か彼方の星に思いを馳せるような浪漫に対する感動が失われがちです。しかし人間には元来、感動する力というものが備わっている。今回の話を聞いて、ふと感じたのは研究者が人工知能(AI)であったら、「それを知って何になる?」という結論で一刀両断されそう、ということです。AIはいかにレベルが進歩したとしても、そもそも感動すること自体、無駄なエネルギーとして欲しないはずです。仮に統計学的に人が感動するパターンを学習してプロパガンダに活用することはあっても、その発信元であるAIは感動とは無縁なのです。

 合理を追求し続けても必ずしもその延長線上に正解があるわけではない。トランプ大統領の政策路線はAIが大統領であれば絶対に日の目を見ることはないけれど、現時点ではトランプ大統領がAIに負けていると断言することもできないのが現実社会の難しさかもしれません。今の株式市場、特に米国株市場の上昇はある意味人間的な匂いがします。その人間っぽい上昇相場の基盤であるトランプ政策を人間の塊であるマスコミが否定して、その後ろでAIがトランプ・ツイッター砲をとらえ、したたかに利を乗せているというのも皮肉な構図といえます。

 人間の叡智はAIの進化を生み、それが人間を凌駕するレベルに達しています。移動する際の自動車や飛行機と一緒で、AIは人間にとってあくまで手段であって、同じ土俵で“体力”を比較することに意味がないという考え方もできますが、知の領域に踏み込んでいる以上は無機質な道具ではなく、近未来に危険な要素がないとは言い切れないでしょう。インターネットの普及で情報デフレ化が進んだような事態が、もっと全体的な形で顕在化する可能性があり、人間の立場としては、その時に二極化の勝者の側でいるためのビジョンが求められる時代となっていくのかもしれません。

●物色のカギを握るのは来期の企業業績

 米国を起点とする世界的なリスクオンの潮流は今や疑うべくもありません。日本や欧州など先進国だけでなく、ベトナムやシンガポール、南米のアルゼンチンやブラジル、さらに渦中のメキシコまで各国の株式市場は昨年12月以降、下値を切り上げる展開が続いているのです。トランプ政策を受けたレパトリエーション(本国への資金回帰)で新興国は厳しい局面が訪れるとの見方に対し、少なくとも新興各国の株式市場は与(くみ)しない状況といえます。FRBの3月利上げの可能性が意識される現在でも、世界的なマネーフローは流動性を増している感すらあります。直観的にバブルの3文字が浮かびますが、もしそうであるとしても、その初動という印象です。

 ここからの銘柄選別でポイントとなるのは来18年3月期の企業業績がどうなるかでしょう。今17年3月期は既に第3四半期の発表が終了しており、仮に進捗率の高さを根拠に通期上振れ余地のある銘柄を仕込んでも、これが裏目に出るリスクがあるのがこの時期の難しさです。来期との比較では発射台が高くなる分、増益率縮小もしくは減益に転じる可能性も出てくるためです。視点はあくまで「来期の変化」なのです。

 来期の企業業績は全体では経常利益段階で今期予想比9%程度(東証1部ベース)の伸びが見込まれている状況。為替の動向に委ねられる部分もありますが、グローバルな景況感回復、企業の合理化努力の発現、加えてトランプ政策の波及効果も考慮した場合2ケタの伸び率を示しても不思議はないでしょう。業種別では、先月下旬の当コーナー「トランプ相場第2ステージで開花する株」でも取り上げた鉄鋼セクターが、経常利益で断トツのプラス変化率となりそうです。非鉄も変化率上位であり、新日鉄住金 <5401> やジェイ エフ イー ホールディングス <5411> のほか、東邦チタニウム <5727> など“メタル系銘柄”の上値余地は今後も期待できそうです。

●株価の変貌素地を内包する銘柄は

 来期の業績変化率に照準を絞ることで、株価の居どころを大きく変える銘柄予備軍を選出することが可能となってきます。今期業績を足掛かりに株価を倍化させる銘柄はありませんが、来期の見通しをベースとした場合、市場のコンセンサスを良い方向に裏切った銘柄は“倍騰銘柄”の素地ありです。

 例えば今期業績下方修正で売られた東洋エンジニアリング <6330> は、リスクもありますが逆張り対象として妙味が大きい。今は急落した矢先で当面は雌伏の時を強いられたとしても、200円台は有力な拾い場とみます。米GEと連携して日本の大型火力発電所の建設に動き出すことで、早晩見直し買いのタイミングが訪れそうです。サウジアラビアの国営石油会社であるサウジアラムコの新規上場を控え、エネルギー関連株には追い風が強い。18年3月期経常利益は今期予想比10数倍となる100億~130億円程度への回復が予想されます。

 液体向けセンサーを主力とするオーバル <7727> も逆張り対象。エネルギー関連の設備投資需要が低調で今期経常利益は大幅に減額しましたが、東洋エンジ同様に、300円未満は仕込みの好機。18年3月期経常利益は発射台が低くなったことで今期予想比3倍以上の高変化が視野に入りそうです。

 このほかでは、出来高流動性にやや難がありますが、特殊紙製造を手掛ける阿波製紙 <3896> は炭素繊維関連でもあり600円近辺は狙い目と思われます。今期経常利益は58%減益と落ち込みますが、18年3月期は急回復に転じる可能性があり、2015年7月には1300円台まで買われた経緯があるだけに、倍騰シナリオも十分描けそうです。

●Vテクとアンリツもまだ上値余地十分

 また、ブイ・テクノロジー <7717> はここからの倍化は難しいとしても、有機EL関連として引き続き要注目です。既に業績変化期待をかなり株価に織り込んでいるようにも見えますが、時価PERはまだ34倍前後で株価水準訂正はこれからが佳境入りというイメージがあります。有機ELの蒸着プロセスで必須となるファイン・ハイブリッド・マスク(FHM)を手掛け、中国メーカーと交渉中の製造装置について巨額の売り上げが期待されています。有機EL市場はこれから成長が加速することになり、同社の商機も広がりそうです。

 主力の計測器が不振で今期経常74%減益見通しにあるアンリツ <6754> は5G関連銘柄として今後一段と上値指向を強める可能性があります。18年3月期はV字回復とはいかないまでも倍増、つまり100%近い増益も視野に入りそうです。信用売り残が積み上がり信用倍率は1倍を割り込んでいることから、需給相場の素地を内包しています。

(2月22日記、隔週水曜日掲載)

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