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【特集】雨宮京子氏【視界不良の東京市場“勝利の戦略”を聞く】(1) <相場観特集>

雨宮京子氏(経済ジャーナリスト)

―好対照の日米株式相場、3月期末接近でどう動く?―

 米国株市場では、前週末にNYダウが約30年ぶりとなる11日連続最高値更新と上昇基調を強めているが、週明けの東京株式市場はこの流れに乗り切れない。日経平均株価が一時1万9000円台を割り込むなど下値模索の展開にあり、視界不良の相場が続いている。3月期末を目前に地合いは改善するのか。全体相場の見通しと投資戦略について、先読みに定評のある市場関係者3人に意見を聞いた。

●「強い波動を形成する中小型株に勝機」

雨宮京子氏(経済ジャーナリスト)

 日本株は2月中旬以降、笛吹けど踊らずの相場展開となっている。上に放れた米国株市場に置いてきぼりを食わされた格好だが、その米国株も徐々に上値が重くなっている。約30年ぶりで話題となったNYダウの連騰記録もそろそろ止まりそうだ。為替相場の動向にも左右されるが、トランプ米大統領の議会演説を確認した後、東京市場の前方の霧が晴れるとはなかなか思えない。

 しかし、下値に対するリスクが高まっているかといえば、冷静に見てそういう要素も少ないと考える。企業業績は第3四半期時点で好調、来期の見通しについても全体としてポジティブだ。ファンダメンタルズ面での評価は概ね良好であり、株式需給面からも下値では相変わらず日銀のETF買いが待つ。日経平均は一目均衡表で下値に広がる雲との境界に位置するが、ここを大きく踏み抜くような崩れ足も想定しにくい。当面は1万9000円前後を下値とし、上値は1万9500円が引き続き意識され、この狭いレンジで微妙なバランスを保つのではないか。

 全体指数は下値リスクが限定的としても、物色対象は主力大型株ではなく中小型株に照準を絞るのが得策だ。最近はマザーズ市場が強いが、とりわけ直近IPO銘柄の勢いの良さが目立つ。まず、注目しているのは、前週23日にマザーズに新規上場したレノバ <9519> [東証M]。バイオマス発電などを手掛け成長期待が高く、原発に風当たりの強い現状にあって同社は時流に乗る。上値に戻り売り圧力のない銘柄で短期資金の参戦が続きそうだ。

 また、「強い株につけ」の典型がテラプローブ <6627> [東証M]だ。半導体の受託検査を行うが、来期は高水準の半導体設備投資需要を取り込むことが期待される。東芝 <6502> の半導体事業分社化では、米マイクロン・テクノロジーの名前も挙がっており、同社の株高思惑につながる。

 オンラインゲームを展開するアエリア <3758> [JQ]は押し目買い。いったん調整もしばらくは売り買いのせめぎ合いとなりそう。切り返すタイミングについてみたい。人工知能(AI)関連の有力株であるメタップス <6172> [東証M]も材料性は豊富で要マークだ。5日・25日移動平均線がゴールデンクロスを示現しており中段を上に放れる可能性がある。このほか、出来高流動性は高くないが、医療ビッグデータ関連の日本システム技術 <4323> [東証2]も割安で依然として水準訂正妙味がある。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(あめみや・きょうこ)
元カリスマ証券レディ。経済ジャーナリスト。AK企画代表。日興証券時代は全国トップの営業実績を持つ。ラジオ短波(現ラジオNIKKEI)、長野FM放送アナウンサー、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)記者、日経CNBCキャスター、テレビ東京マーケットレポーター、ストックボイスキャスターなどを経て現在に至る。

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