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【特集】長い上昇がやってくる、復活「設備投資」関連株は飛躍の時 <株探トップ特集>

オークマ <日足> 「株探」多機能チャートより

―世界景気拡大の追い風に乗り相次ぐ新値、米中の需要増も後押し―

 年初から人気化していた機械株を中心とする「設備投資関連株」物色の裾野に広がりが見え始めた。ファナック <6954> やSMC <6273> といった機械セクターの国際優良株から工作機械株ベアリング株へと物色は拡大しており、中長期スタンスでの上昇期待が膨らんでいる。世界景気が拡大するなか「スマート工場」といったIT関連への需要も期待でき、機械株は新たな飛躍局面を迎えた。

●受注は「最悪期脱出」で拡大局面に突入

 足もとで機械関連の経済指標が相次いで好転している。日本工作機械工業会によれば16年12月の工作機械受注は前年同月比4.4%増と15年7月以来、17ヵ月ぶりにプラス圏に浮上した。

 工作機械受注は、シクリカル(景気循環)的な波動を描いており、いったんプラス圏に入ると当面、拡大局面が期待できる。前回の受注拡大期は13年10月以降、22ヵ月連続でプラスを記録しピークは14年4月の前年同月比48.7%増だった。今回の回復はまだ初期段階であり、一段の受注の伸びが見込める。

 また、経済産業省の機械統計によると軸受完成品の生産数量は昨年12月が前年同月比8.2%増と高水準の伸びを記録。海外向け輸出などが伸びている。米1月ISM製造業景気指数は2年2ヵ月ぶりの高水準にあるほか、欧州や中国の製造業PMIも堅調に推移。市場関係者は「世界景気拡大の恩恵で設備投資に復活機運が出てきた」(アナリスト)とみている。

●日本精工やオークマなど新高値銘柄相次ぐ

 特に、大手工作機械メーカーの関係者は「中国向けの需要が回復してきたことが大きい」と言う。昨年秋口以降、急激な円安が進行し日本製品の価格競争力が復活した。さらに、日本工作機械工業会では17年の受注額が前年比10%増の1兆3500億円に拡大すると予想する。この要因のひとつとして、米国のトランプ政権が打ち出すインフラ投資拡大による需要押し上げを挙げている。

 こうしたなか、足もとで機械株には昨年来高値に買われる銘柄が相次いでいる。トランプ政権の「米国第一」方針による製造業復活に絡む省力化関連投資への期待でSMCやキーエンス <6861> が高値圏に買われているほか、産業用ロボットの安川電機 <6506> が初の2000円台で推移。FA用センサーやスイッチなどを手掛けるオムロン <6645> も昨年来高値圏にある。

 工作機械ではオークマ <6103> や牧野フライス製作所 <6135> 、DMG森精機 <6141> 、ソディック <6143> などが新値圏。ベアリング関連では日本精工 <6471> やNTN <6472> 、不二越 <6474> 、ツバキ・ナカシマ <6464> などが上昇基調を強めている。また、プリント配線板(PCB)ドリルのユニオンツール <6278> 、精密切削工具のオーエスジー <6136> なども買われている。

●「スマート工場」へロボット需要拡大も

 「シクリカル的な景気拡大」に「トランプ米大統領のインフラ投資」などが設備投資に絡む機械株復活の要因だが、今後はさらに「IoT(モノのインターネット)」や「AI(人工知能)」などを駆使して生産性を高める「スマート工場」絡みの需要の上乗せが期待できる。

 スマート工場はドイツが提唱した「インダストリー4.0(第4次産業革命)」に絡んだものだが、足もとの実際の需要に関しては「まだ黎明期の話。本格的に動き出すのはこれからだろう」(大手工作機械メーカー)という。しかし、スマート工場に絡む動向が今後の設備投資の焦点となることは間違いない。

 スマート工場関連では、製造現場向けIoTプラットファーム「FIELD system」に絡むファナックやFA大手の三菱電機 <6503> 、マテハンなどに絡むダイフク <6383> 、無人搬送車(AGV)を手掛ける明電舎 <6508> など。それに協働ロボット(Co-bots)関連で、川田テクノロジーズ <3443> や、住友重機械工業 <6302> 、日立ハイテクノロジーズ <8036> 、小型精密減速機で実績を持つハーモニック・ドライブ・システムズ <6324> [JQ]などに注目したい。

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