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【特集】3度目ビッグウェーブ到来、脚光「光海底ケーブル」関連株 <株探トップ特集>

santec <日足> 「株探」多機能チャートより

―データ量増加で大型プロジェクト続々、恩恵受ける銘柄は?―

 光海底ケーブルが再び脚光を浴びている。経済成長に伴い、アジアで急速にブロードバンド環境が整備されていることに加えて、クラウドサービスやSNSの利用拡大、モノとモノとがつながるIoTの普及などでデータ通信量が増加しており、世界的に敷設プロジェクトが相次いでいるためだ。さまざまなメディアで取り上げられることも多く、関連銘柄に注目したい。

●光海底ケーブル敷設に3度目の大きな波到来

 光海底ケーブルとは海底に敷設または埋没された通信用の伝送路のこと。1990年代半ばまでは、大陸間の国際通信路は衛星通信と光海底ケーブルが競い合い、通信量をほぼ半分ずつ分け合っていたが、1990年代後半から2000年代初頭のITバブル期にインターネットが急拡大したことを受けて、勢力図が一変。衛星通信よりも伝送速度の速い海底ケーブルの需要が高まり、敷設ラッシュとなった。

 その後、ITバブル崩壊で海底ケーブルはだぶついた状態が続いていたが、06年ごろからの「ウェブ2.0」ブームで新たな需要が発生し、再び海底ケーブルの敷設が進展、今では国際通信全体の99%を占めるまでになっている。さらに近年のデータ通信量拡大を受けて、海底ケーブル敷設の3度目の大きな波が到来している。

●マイクロソフト、フェイスブックなどのプロジェクト相次ぐ

 なかでも注目されているのが、米マイクロソフトと米フェイスブックが昨年5月に発表した、米国と欧州を結ぶ光海底ケーブル敷設プロジェクトだ。「MAREA」と名付けられた光海底ケーブルは総延長約6600キロメートルに及び、設計容量は毎秒160テラ(テラは1兆)ビットと大西洋にある海底ケーブルの容量としては最大。米バージニア州とスペインのビルバオを結び、さらに欧州や中東、アフリカへと延びる通信網と接続する。今年10月の利用開始を目指して工事が進められており、稼働すれば米欧間の通信容量は5割近く増えることになるという。

 フェイスブックは昨年10月にも、米グーグルなどと共同で、米国と香港を結ぶ総延長約1万2800キロメートルに及ぶ光海底ケーブル(容量毎秒120テラビット)を敷設すると発表している。また、グーグルでは、昨年6月に運用を開始した日米間の太平洋海底ケーブル「FASTER」(毎秒60テラビット)をKDDI <9433> などと共同で建設しており、巨大プロジェクトが相次いでいる。

●世界大手の一角を占めるNEC

 現在、国際的な海底ケーブルシステムの構築は、仏アルカテル・ルーセントと統合したフィンランドのノキア、米国のTEサブコン(タイコ社)、日本のNEC <6701> という日米欧の3社が市場を寡占しているが、なかでもNECはケーブル製造から資金調達スキームまで一括請負できる体制を提案することで差別化を図っている。

 同社では、前述の「FASTER」をはじめ、地球6周分を超える延べ25万キロメートルを超える光海底ケーブルの敷設実績を持つ。このほか、インドネシアの島々を結ぶ光海底ケーブル(約5300キロメートル)や、香港と米グアムを結ぶ光海底ケーブル(約3900キロメートル)などを受注しており、業績への貢献が期待されている。

●光海底ケーブル用部品を手掛ける銘柄に注目

 NECのほか、富士通 <6702> なども実績が豊富だが、特に関連銘柄として注目されるのは光海底ケーブルに関連した技術や部材などだろう。 光ファイバー・ケーブル世界大手の古河電気工業 <5801> はもちろん、同じく光ファイバー大手で、光海底ケーブルや関連製品を手掛けるOCC(横浜市西区)に出資する住友電気工業 <5802> なども注目される。

 また、光海底ケーブル向けに波長合分波フィルターなどの部品を手掛けるsantec <6777> [JQ]や、光ファイバーの端面を研磨して微妙な角度に加工する技術を持つ精工技研 <6834> [JQ]、さらに、光通信モジュール用サーミスタを手掛けている大泉製作所 <6618> [東証M]なども関心が高い。

 このほか、KDDIグループのKDDI総合研究所は昨年10月、伝送できるデータの容量が世界最大の光ファイバー通信技術を開発した。25年ごろをメドに光海底ケーブル向けに投入を目指すとしており、実用化が待たれている。

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