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【市況】【植木靖男の相場展望】 ─ 週明けの株価が強弱分岐点か

株式評論家 植木靖男

「週明けの株価が強弱分岐点か」

●トランプ政策がもたらす高揚と混乱

 株式市場はやや混乱気味である。下げると見せかけて急上昇、騰げると見せかけて急落する。これは目先筋泣かせの値動きだ。

 円高が進むといっては急落する。だが、米国株が2万ドルを達成すると追随して高くなる。まったく慌ただしい展開である。

 ともあれ、ここ米国株は待望の2万ドルを達成した。この流れを引き継ぎ日本株も急伸、早くも市場では2万円回復は間違いないとの声も相次ぐ。

 つまり、“トランプ相場第二幕”への期待だ。

 とはいえ、ここへきての市場環境は極めて複雑怪奇である。軸となるのはやはり、トランプ新大統領の政策である。

 その柱となるのが大幅減税、巨額のインフラ投資といった財政拡張や規制緩和であり、早々に大統領令を繰り出している。そのスピード感や迫力は十分である。

 米国投資家にとっては、まさに“万歳”である。株価のたかが2万ドルなどまだまだといった高揚感に浸っているようだ。

●保護主義をものともせぬオンリーワン企業

 ところで、米国株が上昇すれば日本株も追随する。これまでそうであった。

 米国経済がよくなれば、世界経済も好転、わが国の景気もよくなる。しかし、それはあくまでも自由貿易体制下での話。

 米国が保護主義に固執すれば、他の国にはなんの利益ももたらさない。もちろん、米国が自給自足経済に閉じこもるなど非現実的だ。その虚しさを身をもって体験するまでは喜びが続くだろう。

 ということは、必ずしも米国株が騰がったからといって、日本株がそれに同調するとは限らない。

 ただし、株価論からいえば、週明けも続伸するようであれば、存外、2万円という水準も有り得るかもしれない。そのとき市場に吹く理外の理の風に左右されるからだ。

 もうひとつの複雑怪奇な要因は為替だ。

 トランプ新大統領は自動車業界に吹き込まれたのか円高牽制発言が相次ぐ。しかし、大統領の口先介入より経済原則、つまり米長期金利が二番底を脱しつつあるとすれば、こちらの方が重みがあるはず。米長期金利動向に注目したい。

 物色に気迷いが見られる。当然である。米国が保護主義を振りかざすうちは、自ずと内需株に目が向いてしまう。しかし、米国が高くてもわが国から買わざるを得ない世界シェア70~90%の製品を持つ企業にとっては、トランプ流保護主義といえども少しも痛痒を感じさせるものではないのかもしれないのだ。

2016年1月27日 記

株探ニュース

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