【特集】鈴木英之氏、2017年【株式相場を大胆予測!】(2) <新春特別企画>
鈴木英之氏(SBI証券 投資調査部長)
―株高シナリオに狂いはあるか? 第一線の識者に聞く―
2017年相場がいよいよ始まる。16年相場は年初に波乱安に見舞われたものの、後半巻き返しに転じ、特に11月の米大統領選を境にトランプ・ラリーが繰り広げられ、株価の居どころは大きく変わった。果たして17年はどのような波動を形成するのだろうか。強い米国経済に支えられたトランプ相場、ここからの株高シナリオに狂いが生じる可能性はあるのか。年間を通じての見通しを、市場第一線で活躍する識者3人に聞いた。
●「年央にかけ2万2000円前後へ上昇も」
鈴木英之氏(SBI証券 投資調査部長)
2017年の東京株式市場は年央に向け上昇した後、夏から秋口にかけ調整する展開を想定している。
昨年からの円安基調に景気拡大の流れを受け、来年度の日経平均採用銘柄ベースの1株当たり利益(EPS)は今年度に比べ1割程度増加し1290円前後を予想する。これをPER13.5倍から17倍前後まで買ったとして、新年の日経平均株価のレンジは安値1万7500円、高値2万2000円前後とみている。
高値をつけるのは、来年度の業績見通しが明らかになる本決算発表をはさんだ4~6月頃とみている。一方、トランプ米新政権の政策を見極める動きや、フランスやドイツなど欧州での選挙結果などへの懸念で7~9月頃に安値をつける可能性があると思う。
為替相場は年央に向けては1ドル=120~125円を視野に入れた円安を見込んでいる。欧州の政局に波乱がなければ、年末に向けて値を戻す展開も予想される。
新年の相場テーマとしては、「米トランプ新大統領の経済対策」、「脱デフレ」、「働き方改革」などを想定している。トランプ新大統領の経済対策では、インフラ投資や規制緩和に絡んで、三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> のような金融株や円安の恩恵がある機械株などが注目される。脱デフレでは、PBR1倍割れ銘柄が注目できるだろう。ここでもメガバンクなど金融株は関係するほか、商社株なども注目できる。
さらに働き方改革に絡んでは、テンプホールディングス <2181> のような人材派遣に関連する会社やリクルートホールディングス <6098> などが脚光を浴びそうだ。
(聞き手・岡里英幸)
<プロフィール>(すずき・ひでゆき)
早稲田大学卒。リテール営業、調査部、株式部等を経て、SBI証券投資調査部長に。モーニングスター株式会社(投資調査部ゼネラル・マネジャー)へ転籍を経て2009年5月より現職。ラジオ日経、ストックボイス等で相場解説を行っている。
株探ニュース