市場ニュース

戻る
 

【特集】「ドル円116円突破、危うさはらむドル高新局面に」外為オンライン・佐藤正和アナリストに聞く! <直撃Q&A>

佐藤正和氏(外為オンライン シニアアナリスト)
 12日の外国為替市場で、 ドル円相場は一時1ドル=116円台を突破した。これは2月初旬以来、約10カ月ぶりのドル高・円安水準だ。足もとの急ピッチのドル上昇に対して、市場からは「いつ調整局面を迎えてもおかしくない」と指摘する声も上がる。今回の相場を「従来と異なるドル高局面」と指摘する外為オンラインの佐藤正和シニアアナリストに、今後の相場見通しを聞いた。

Q1 ドル円は約10カ月ぶりに116円を突破しました。この状況をどう分析していますか?

佐藤 米大統領選で共和党のトランプ氏が勝利してから、この1カ月間、ほぼ一本調子のドル高が続いている。調整と言えるのは1回程度であり、ピッチは相当速い。今回の状況に似ているのは、13年1月の88円前後が5月に103円まで5カ月かけてドル高・円安が進んだ時ではないか。ただ当時は、日銀による量的緩和に伴う日米金利差拡大や安倍政権の「3本の矢」政策などといったバックグラウンドがあった。しかし、今回のトランプラリーは、期待先行であり、同氏の政策の良い面ばかりみているように思える。楽観的過ぎる。それだけに、足もとの状況は危うさをはらんでいると思える。ドル高の進行は米国企業の業績悪化要因にもなり、トランプ氏の「アメリカファースト」の政策とも方向性が異なるものだ。アベノミクスによるドル高・円安は「円主導」だったのに対し、今回は「ドル主導」。その意味で、従来とは異なるドル高局面と言える。

Q2 その新局面にあるドル円相場をみるうえでの、当面のポイントは?

佐藤 大きな分水嶺となるのが、13~14日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)だ。ポイントは、新たに明らかになるドット・チャートによる米政策金利の見通しとイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言だ。米国の利上げは、新年は2回程度と予想されているが、これが3~4回程度に上方修正されれば、現在の116円前後の水準も正当化されて一段の上昇局面入りもあり得る。

 FOMCがタカ派的な内容となれば、ドル円は115~120円にレンジを切り上げるだろう。さすがに120円を意識するのは新年だろうが、年内に117円前後まで上昇する場面もあり得る。一方、ハト派的な内容となれば111~116円前後の調整局面に移ることが予想される。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(さとう・まさかず)
 邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。通算20年以上、為替の世界に携わっている。

出所:株経ONLINE(株式会社みんかぶ)

株探からのお知らせ

    日経平均