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2016年12月08日20時00分

【特集】“おひとりさま”増加で1人前食品拡大へ、「個食」時代の有望株は? <株探トップ特集>

エバラ食品 <日足> 「株探」多機能チャートより

―拡大するビジネスチャンス、食品・外食企業の取り組みは―

 「おひとりさま」を狙った商品が活況だ。特に食品業界では、少子高齢化社会の進展で国内市場が伸び悩むなか、生活様式の変化に合わせた商品の開発を行っており、一人で食事をする「個食」への対応が重要なファクターともなっている。単独世帯の増加を背景に今後もこの傾向は続くとみられ、関連する銘柄のビジネスチャンス拡大につながろう。

●1人鍋用調味料が好調

 寒さが厳しさを増すとともに食卓に上る機会が増えている鍋料理だが、「大勢で鍋を囲む」といったこれまでのイメージが変わりつつある。1人でも鍋料理を楽しむ人が増えたことで、メーカー側も1人前から簡単に鍋料理が作れる商品を開発。これらを使ってさらに「1人鍋」が増えるという状況となっている。

 味の素 <2802> では2012年に鍋つゆのおいしさをキューブ状に凝縮した「鍋キューブ」を発売したが、1キューブ=1人分という手軽さが受けて発売以来好調に推移している。また、エバラ食品工業 <2819> では、1個で1人分の鍋が作れるポーションタイプの「プチッと鍋」を13年から販売しているが、販売好調を受けて今年1月には栃木工場(栃木県さくら市)にポーション製品専用の製造ラインを新設。生産能力を協力工場と合わせ従来の2倍に引き上げた。

●増える単独世帯

 厚生労働省の「平成27年 国民生活基礎調査」によると、15年の全国の世帯総数は5036万1000世帯で、その世帯構造は、「夫婦と未婚の子のみ世帯」が1482万世帯(全世帯の29.4%)で最も多く、次いで「単独世帯」が1351万7000世帯(同26.8%)、「夫婦のみの世帯」が1187万2000世帯(同23.6%)となっている。

 特に、「単独世帯」は、20年前の1995年には921万3000世帯だったが、この20年で46.7%も増えている。全世帯に占める比率も95年の22.6%から4.2ポイントも増加しており、「おひとりさま」を狙った「個食」商品が増える背景となっている。

●キユーピーは「つぶしておいしいたまごのサラダ」が好調

 これを受けて食品業界でも「個食」に対応した新商品開発が活発化している。マルハニチロ <1333> やニチレイ <2871> といった冷凍食品メーカーでは、弁当向け商品の需要が減少する一方、チャーハンなど1品だけで食事を済ませられる商品の売れ行きが堅調だ。

 また、永谷園ホールディングス <2899> では今年8月、ロングセラー商品「麻婆春雨」シリーズに、電子レンジで温めて食べる1人前用の商品を投入した。同社では今月2日、英国のフリーズドライ食品会社チョウサー・フード・グループの親会社ブルームコ社を産業革新機構と共同で買収すると発表したが、この背景にも「個食」への対応がある。

 さらに、キユーピー <2809> では、ゆで卵がマヨネーズベースのドレッシングと一緒にパウチ容器に入ったチルドサラダ「つぶしておいしいたまごのサラダ」を昨年2月に発売したが、予想を上回る売れ行きから今年4月には「つぶしておいしいたまごとポテトサラダ」、9月には「つぶしておいしいたまごとマカロニサラダ」を相次いで発売しラインアップを拡充した。会社側では「シリーズ3品で年6億円の販売を予定している」(広報担当)というが、足もとは当初計画を上回る売れ行きとなっているようだ。

●「かつや」は肉好き個食需要を取り込む

 個食に対応しているのは、食品業界だけではない。外食業界では、とんかつ店「かつや」を展開するアークランドサービスホールディングス <3085> が好調だ。同社では客単価を750円と一般的なとんかつ屋と比べて2~3割低くすることで肉好きの「個食」需要を取り込んでおり、15年12月期の既存店売上高は前の期比2.3%増で着地。今16年12月期も8月を除き前年実績を上回って推移している。

 また、吉野家ホールディングス <9861> も11月までの累計で既存店売上高は1.0%増、通期でも2期連続の前年比プラスを目指している。

株探ニュース

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