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【市況】国内株式市場見通し:FOMCでのロケット点火を意識したエネルギー充填の週

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより

先週の日経平均は上昇。1日には一時18746.28円と1月4日以来の水準を回復している。石油輸出国機構(OPEC)総会で減産合意がまとまるかが注目されるなか、11月30日OPEC総会では8年ぶりに減産合意となり、NY原油先物相場が上昇。外国為替市場では円相場が1ドル114円台へと円安に振れたことが好感された。

米国では週末に雇用統計を控えていたが、前哨戦となるADP雇用報告のほか、ISM製造業景況指数等が堅調となるなか、予想通りの結果により12月利上げを後押しするとの見方に。イタリアの国民投票を控えて週末には利益確定が先行するものの、メガバンクなどに対する海外勢の買いが継続。日本株市場は、こう着ながらも売り込みづらい需給状況だった。

今週は雇用統計のほか、イタリアの国民投票の結果を受けたスタートになろう。雇用統計については、農業分野以外の就業者数は、17.8万人増、失業率は4.6%と、9年ぶりの低い水準に改善した。市場予想の18万人増を若干下回っているが、連邦準備制度理事会(FRB)が今回の雇用統計を踏まえ、12月13-14日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)において1年ぶりに利上げを行う条件が整ったという見方が大勢を占めている。

イタリアの国民投票では、波乱の展開も意識されるが、市場ではブレグジットとドナルド・トランプ氏の次に来るのはイタリアとの見方もされていた。既に警戒感が強まっているなかではあるが、結果を受けた日本市場のマーケットインパクトは相当大きいとみられるほか、その後も週明けの欧米市場の反応を見極めるなか、予想されているとはいえ、週前半は波乱の展開が待ち受けていそうだ。

今回のイタリアの憲法改正の是非を問う国民投票を整理すると、上院が有する権限の大幅縮小と315人から100人への議員定数削減を中心とする見直しを巡る国民投票である。承認されれば、全ての権限が下院に委ねられる。これにより法律制定が簡素化され、経済改革が容易になる見通し。国民投票で提案された改憲による改革はイタリアに恩恵をもたらすため、株式市場にとっては憲法改正が賛成多数となることが望ましいだろう。賛成多数となればレンツィ首相は辞任せず、同首相の下で経済改革プログラムは継続されることになる。

一方で、改憲が大差で否決され、総選挙が実施される運びとなれば政治不安が高まることは間違いないだろう。経営再建中の大手行モンテ・パスキが大きな痛手を受けるなど、金融不安が高まる。レンツィ首相辞任により、2017年には総選挙が行われ、その後の国民投票によってEU離脱への動き等も警戒されてくる可能性がある。来年3月にはオランダで総選挙、5月にフランス大統領選挙、6月にフランス国民議会選挙、9月にはドイツ連邦議会選挙が控えるなか、欧州全体への不安に広がる可能性も考えられよう。

イタリア国民投票が通過し、市場の落ち着きがみられるようだと、改めてトランプ政権に対する期待等から物色意欲が強まることになろう。翌週のFOMCで利上げ実施となり、円相場のドル高・円安、減産合意でまとまった原油相場の安定を背景に、年末相場に向けた先高観が強まるとみておきたい。日経平均は先週の上昇で目先的なピーク感は意識されている。しかし、これといった押し目がない状態が続いており、押し目買い意欲は強いだろう。海外勢は3週連続での買い越しとなるなど、日本株買いへの基調は変わっていない。逆日歩銘柄の増加など、需給面では上へのトレンドが出やすいと考えられ、イタリア・ショックの局面があるようなら、押し目買いの好機となろう。先週はメガバンクの強い値動きが目立っていたが、トランプ政策に対する期待等が強まるなか、引き続き市場の関心を集めやすいだろう。その他、トランプ氏の「大成長路線」を背景としたインフラ関連への物色も意識されよう。来週のFOMCでのロケット点火を意識したエネルギー充填の週といったところか。

経済スケジュールでは、5日に日銀黒田総裁が講演、消費動向調査、米ISM非製造業景況指数、ユーロ圏総合PMI、中財新サービス業PMI、6日に米貿易収支、ユーロ圏7-9月GDP(確定値)、7日に独鉱工業生産、豪7-9月GDP、8日に7-9月国内総生産(改定値)、景気ウォッチャー調査、中貿易統計、9日に米卸売在庫、中消費者物価指数などが予定されている。

《FA》

 提供:フィスコ

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