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【市況】米国株式市場見通し:イタリア国民投票を注視

NYダウ <日足> 「株探」多機能チャートより

4日にイタリアで憲法改正を巡る国民投票が実施される。投票が否決されれば、レンツィ首相が辞任する可能性が高まり、経営不振に苦しむ国内大手銀行の資本増強に遅れが生じることになる。また、欧州連合(EU)に対して懐疑的な政党への支持が拡大すれば、英国のようにEU離脱を問う国民投票が実施されるだろう。Brexitや米大統領選ほどではないものの、政治的・経済的混乱による先行き不透明感が長期的に米株式市場への重しとなることも想定される。週明けは株価が大きく変動する可能性もあり、注意が必要だ。

先週発表された11月雇用統計が予想を上回る堅調な内容となったほか、地区連銀経済報告(ベージュブック)で緩やかな経済成長が示されたことで12月の利上げはほぼ確実となった。先週発表された消費者信頼感指数やISM製造業景況指数は、予想を上回る好調な内容となったが、雇用・所得環境の改善が反映されているものと考えられる。大統領選終了による不透明感の解消が反映される11月以降の経済指標を通じて米国経済の拡大基調が確認されれば、株価上昇に繋がるだろう。

今週は、自動車用品小売のオートゾーン(6日)、住宅建設のトール・ブラザーズ(6日)、会員制卸売のコストコ・ホールセール(7日)、税務サービスのH&Rブロック(7日)、リゾート施設運営のベイル・リゾーツ(9日)などの企業決算が予定されている。コストコの6-8月期決算ではガソリン価格の低下と為替変動の影響を除くと、国内部門、海外部門ともに既存店売上高が上昇した。足元の小売に関連する指標は概ね好調な内容を示しており、個人消費も回復に向かいつつあることから、決算内容への不安は限定的だ。

経済指標では、11月ISM非製造業景況指数(5日)、10月貿易収支(6日)、10月製造業・耐久財受注(6日)、10月卸売在庫(9日)などが予定されている。10月の非製造業景況指数は新規受注と雇用が減速を受け、市場予想を下振れた。しかし、米経済指標は概ね良好な内容が続いているほか、大統領選の終了で不透明感も払拭されたことから11月分は持ち直しが期待できる。

(Horiko Capital Management LLC)

《FA》

 提供:フィスコ

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