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【通貨】為替週間見通し:12月利上げ期待でドルは底堅い動きに

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

■米金利先高観強まり、ドルは約8カ月ぶりの113円台

先週のドル・円は一段高。米金利先高観が一段と強まり、一時113円90銭まで上昇した。トランプ次期政権下でインフレが進行し、米長期金利は大幅に上昇するとの思惑が広がっていたが、米国株の続伸を好感したドル買いも観測された。急速なドル高・円安について日本政府は特に懸念を表明していないこともドル買いを促す一因となったようだ。

ただ、来週28日に予定されていた石油輸出国機構(OPEC)加盟国と非加盟国の協議が中止となったことから、30日のOPEC総会で減産合意は微妙な状況となった。リスク選好的なドル買い・円売りは週末前に一服。25日のニューヨーク市場では112円65銭から113円31銭で推移し、結局113円11銭でこの週の取引を終えた。

なお、ドル高・円安の進行は日本の輸出企業にプラスになるとの見方から、海外の資産運用大手が日本株への投資を再開しているとの見方が浮上している。投資判断をオーバーウエートに引き上げる動きも散見されているが、為替相場への影響については当面中立との見方が多いようだ。取引レンジ:110円27銭-113円90銭。

■12月利上げ期待でドルは底堅い動きに

今週のドル・円は底堅い動きが続く見込み。11月1-2日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を見る限り、次回12月12-13日開催のFOMC会合での利上げ決定が確実視されている。7-9月期米国内総生産(GDP)改定値や11月米雇用統計などの主要経済指標が想定内の内容であれば、12月利上げを見込んだドル買いが強まる見通し。

また、トランプ次期政権による拡張的な財政政策(景気刺激策)によりインフレ率の上昇が予想されており、来年以降の利上げペースがやや速まるとの見方も、引き続きドル買いを促す要因となりそうだ。ただ、米連邦準備理事会(FRB)関係者などの金融当局者から米金利の急激な上昇をけん制する発言があれば、長期金利は急低下し、ドル上昇のペースは緩やかになる見込み。

11月30日開催の石油輸出国機構(OPEC)会合に向け、主要産油国による供給過剰解消に向けた取り組みが注目されているが、サウジアラビアが28日に予定されていた石油輸出国機構(OPEC)非加盟国との会合に参加しないと報じられており、OPEC総会での減産合意は微妙な状況となった。減産協議で合意できれば、原油高・ドル高の相場展開となる可能性があるが、今回のOPEC総会で減産についての合意が形成されない場合、株価やクロス円レートは下落し、ドル・円相場を下押しする材料となる。

【米・7-9月期国内総生産(GDP)改定値】(11月29日発表予定)
29日発表の7-9月期米国内総生産(GDP)改定値は、速報値の前期比年率+2.9%に対し+3.0%と予想されている。3%台の成長率となれば2014年7-9月期以来となり、12月利上げを後押ししそうだ。

【米・11月雇用統計】(12月2日発表予定)
12月2日発表の11月雇用統計は、失業率4.9%(前回4.9%)、非農業部門雇用者数は前月比+18.0万人(同+16.1万人)、平均時給+0.2%(同+0.4%)と予想されている。想定の範囲内であれば12月利上げ観測は後退せず、ドル買い材料になるとみられる。

予想レンジ:112円00銭?115円00銭

《FA》

 提供:フィスコ

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