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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「もうはまだなり、まだはもうなり」

株式評論家 富田隆弥

◆寒波が東京を襲ったが、マーケットには熱風が吹き続けた。トランプ・ラリーに沸く米国は、NYダウが1万9000ドルに乗せ、長期債利回りが2.35%に上昇、為替(ドル円)は112円台に。それを受けて日経平均株価は1万8382円、為替は113円台へと加速し(11月24日現在)、年初来高値(1月4日終値1万8450円、ザラバ高値1万8951円)が指呼の間に迫ってきた。

◆トランプ効果のほか米国経済の好調、円安に伴う日本企業の業績改善観測など、上昇相場の背景にはさまざまな要因がある。ただ、日経平均のサイコロジカル・ラインが9勝3敗、RCIが97%(9日、13日線)、東証1部の騰落レシオが225%になるなどテクニカル指標には過熱が相次ぐ。そんな中を「もうはまだなり…」と言わんばかりの快走だ。相場は「流れに従う」のが基本であるから、上昇基調が続くのなら1年前の12月高値2万0012円や昨年6月高値2万0952円指向も「ない」とは言えない。

◆だが、テクニカルの過熱を無視した上昇には、後に咎めが出ることが危惧される。いわゆる「山高ければ谷深し」で、やはり適度に調整を挟みながらの上昇が理想的と言える。だが、マーケットが理想通りに動いてくれるとは限らない。上昇ピッチを徐々に加速させ、腰を伸ばして移動平均線から大きくカイ離して仕上げ局面を迎えることもある。いまは徐々にそうした領域に近づいているようにも思える。

◆チャートでは、株価やテクニカルのほかに「日柄」や「過去」を考慮する時もある。例えば、昨年の11月。サイコロジカル・ラインの9勝3敗以上が11月26日まで15日間続き、騰落レシオやRCIも過熱状態が続いた。そして、米国利上げ(12月16日)を控えた12月1日に日経平均は2万0012円の戻り高値を打った。今年も似た状況にあると言えるだろう。また、年末商戦や冬のボーナスで盛り上がるこの時期(11月下旬~12月上旬)に高値を付けるケースは少なくない。今年は9月安値から9週を、6月二番底からは5ヵ月を経過した。

◆こうした日柄や経験則(アノマリー)を踏まえると、勢いづく相場も「まだはもうなり…」となる局面が訪れる可能性があることを頭に入れておきたい。そして、もし調整を入れた時にそれが「スピード調整」なのか、「転換」を示しているのかをトレンドでチェックすることだ。それが「流れに従う」上で重要なことである。

(11月24日 記、毎週土曜日10時に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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