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【経済】【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(5):◆俄かに吹き出した解散風◆


〇政権基盤強化へ年明け説から前倒し思惑〇

一部の政治ジャーナリストが、「二重国籍解散だ」との見方を流している。どうも、安倍首相周辺と言うより、二階幹事長周辺のようだが、内外情勢の変化から、「年明け説」から前倒しの可能性が出てきた。選挙日程では10月23日に東京10区、福岡6区の補選が予定されており、その結果を見てからとの見方が一般的だが、26日召集の臨時国会(会期は11月末まで)は冒頭から緊張感が漂おう。

民進党代表選の過程で、前原氏は「(12月のプーチン来日で)平和条約交渉、北方領土問題で進展があれば、安倍首相が勢いを駆って、年明け通常国会冒頭で解散することは十二分にある」と述べ、年明け解散説を念頭に置いていることを示した。7月の衆参ダブル選を断念した安倍首相だが衆院解散時期を模索しているとの見方は優勢だ。300超の議席は、タイミングを誤れば(国民のリバランス感覚が作用し)大幅減に追い込まれるリスクがあると見られている。安倍首相にとっては、験が良い12月選挙(12月18日投開票説、大安は11月13日、12月11日)で5連勝を狙いたいのではないか、との読みだ(12月選挙で勝てば来年1月の党大会で任期延長が具体化する公算)。

蓮舫新代表は二重国籍問題の対応を誤っているとの批判の声が強い。代表選中も民進党支持率が低下しており、「風が吹く」公算は小さいと見られ、解散の好機と映る。加えて、年明け通常国会は天皇陛下御譲位問題が大きな課題になると見られる(保守陣営分裂リスク)。さらに、「トランプ大統領」に備える必要が出てきた(例えば、防衛相へのベテラン登用、TPP交渉のできる経済再生相への交代など)。小池新党への早めの対処を要因に挙げる向きもある。また、10月中国共産党大会後の不透明感、場合によっては11~1月の米政治空白期間での北朝鮮との軍事衝突リスク(15日、北朝鮮外相は米国の挑発に新たな攻撃を行う用意があると言明、米国の圧力に北朝鮮が暴発するリスクがある)など、足元で体制を再強化する必要性は高いとの見方が背景にある。

一般的には、政治思惑から解散総選挙は円安・株高の維持に働くとの見方になる。売り方にとっては売り込み辛い材料と受け止められる。経済的には空白リスクがあるが、今年度予算執行の大幅前倒しを行い、大型補正予算を予定している。配偶者控除見直し、中小企業賃上げ要請などを進めるのも、総選挙を意識していると勘繰れなくもない。株価嵩上げにまで通ずるか注目される。


以上



出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(16/9/16号)

《TM》

 提供:フィスコ

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